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連携NEWS「人生100年時代の膝関節温存手術」

~関節鏡視下半月板修復術を併用した膝関節骨切り手術~

2022年3月25日公開

診断・治療

医療の進歩に伴い、平均寿命が長寿化しており、シニアのスポーツ愛好家の方のみならず、健康の維持のためにも全ての人が元気に歩行、運動ができることが求められてきています。膝関節の痛みをきたす変形性膝関節症は日本において全人口の40-60%が罹患している国民病とも言える病態であり、健康寿命の低下に大きな影響を与えています。レントゲンにおいて変形性膝関節症を認める患者さんは、40歳以上になってくるとみられるようになってきます。近年になり、変形性膝関節症の進行には、内側半月板の後根断裂を代表とする半月板損傷が関与していることが知られるようになってきました。レントゲンではあまり所見がないため、鎮痛薬などの保存的治療となる場合が多く見受けられます。痛みは一時的には改善するため、運動等が再び可能となる患者さんが多いのですが、半月板の機能不全が残存するため、軟骨の摩耗が進行し将来的に人工膝関節置換術となるリスクが上昇してしまいます。比較的若年者の患者さんに対しては膝関節機能を温存するために手術を勧めています。

単純レントゲンでは軽度の内側の関節裂隙の狭小化を認めてるのみであり、診断をつけることができません。


MRIを撮影すると、赤矢印の所で示すように半月板が後根部で断裂しているのがわかります。


当院においては4KフルHDの関節鏡での治療を行っており、病変部が鮮明に観察することができます。関節鏡の多くの処置は駆血を行わずに可能ですので、低侵襲に修復が可能です。骨に特殊な縫合糸を挿入し、逸脱した半月板を縫合したり、断裂した部位の半月板をガイド下に作成した骨孔を通して元の位置で固定します。


多くの患者さんでは下肢のアライメント不良があるため、専用ソフトウェアを使用して、理想的なアライメントの作図を行います。膝蓋大腿関節の接触圧の上昇を避けるために、脛骨粗面下骨切り術を行っています。人工骨を挿入した後に、金属のプレートとネジで強固に固定を行います。


注意点・フォローの仕方

半月板修復術を行った場合は、後療法に時間を要します。当院において2週間程度入院ののち、リハビリテーション病院で4週間程度リハビリテーション加療を行っていただいてから、当院にて外来フォローアップをいたします。ご紹介いただいた近隣の先生方には術後6週から2カ月程度経過し、状態が安定した時点でリハビリテーション加療の継続を含めて、逆紹介をさせていただいております。
膝関節温存手術は骨癒合を認める4ヶ月~半年程度まで、痛みがすぐには改善しない患者さんを散見いたしますので、痛みに応じて慌てずにリハビリテーション加療の継続をお願い出来たら幸いです。

患者さんを紹介する際の必要な情報や基準について

40歳以上の中高年の患者さん(特に女性)においては、階段昇降や、犬の散歩、段差を飛び越える動作などの軽い衝撃をうけた際に、膝の裏側にいつもと違う、強い痛みが出現した場合は、内側半月板後断裂を合併しいている可能性があります。その場合、変形性膝関節症が急速に進行する可能性があり、レントゲンでは診断がつかないため、MRI検査をお勧めしております。また3カ月程度の保存的加療をおこなっても、膝痛が改善しない患者さんにおいても、MRI検査をお勧めしておりますので、気兼ねなくご紹介をいただければ幸いです。初診時に患者さんと相談の上、MRI検査の日程を調整いたします。検査後、保存的加療の継続となった場合は、画像をつけて逆紹介をさせていただきます。

逆紹介後のフォローアップで気を付けて欲しいこと

半月板の再断裂の可能性があるため、スクワットや蹲踞の動作を半年間程度制限しております。またスポーツ復帰や運動を再開する時期は当院受診時に主治医とよく相談の上、決定させていただいております。
また術後3カ月間程度、ニーブレースや装具を使用している症例があります。

診療科からのメッセージ

多くの疾患同様、膝関節温存手術も早期に診断し適切な治療を行うことで治療成績が向上します。しかし、患者さんのニーズや、仕事を休めるかなどの社会的な背景も手術療法に踏み切るかどうかの大きな要因になります。また変形性膝関節症においては、保存的加療のみで症状が改善し、手術を回避できる患者さんも大勢いらっしゃいますし、人工膝関節全置換術にて早期に社会復帰を希望される患者さんもいらっしゃいます。
近隣の諸先生方と密に連携を取りながら、一人一人の患者さんに最適な治療方法を提案させていただきます。コロナ禍のため、face to faceでの連携を取ることが難しい社会事情ではありますが、今後は様々な媒体を使用して連携を密に取れるよう努めてまいります。何卒よろしくお願いいたします。


整形外科
高川 修 医師


2005年 信州大学医学部卒業
2005年 信州大学 初期研修医
2007年 神奈川県立足柄上病院 
2009年 横浜市立大学医学研究科博士課程
2013年 横浜市立大学附属病院 助教
2014年 横浜市立市民病院 
2017年 横浜市立大学附属市民総合医療センター 助教


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