転移性肝癌
転移性肝癌とは
転移性肝癌は、他の臓器に発生した癌が肝臓に転移した病気です。中でも大腸癌・直腸癌は肝転移を生じやすく、肝切除を行うことで長期生存が期待できる代表的な疾患です。
近年では化学療法の進歩により、従来は切除困難と考えられていた症例でも、治療後に肝切除が可能となる症例が増えています。
当科における転移性肝癌治療
当科では、大腸癌・直腸癌肝転移を中心に、転移性肝癌に対する肝切除を積極的に行っています。
腫瘍の数や大きさ、肝内での分布、残肝機能、原発巣や肝外病変の状態などを総合的に評価し、患者さん一人ひとりに最適な治療方針を決定しています。
また、消化器内科、腫瘍内科、放射線診断科、放射線治療科などと密接に連携し、化学療法を組み合わせた集学的治療を提供しています。
当科の特徴
当科では、初回肝切除だけでなく、再発に対する再肝切除や二期的肝切除、血管合併切除・再建を伴う高難度肝切除にも積極的に取り組んでいます。
また、腹腔鏡下肝切除を積極的に導入し、患者さんの身体的負担を軽減するとともに、安全で質の高い手術を目指しています。
術前にはMeVis社との共同研究による3D画像解析技術を活用し、肝臓や血管の立体構造を詳細に評価した上で、安全かつ精密な肝切除を行っています。
さらに、ロボット支援下肝切除の導入を予定しており、今後も低侵襲手術のさらなる発展に取り組んでいきます。
診療実績
横浜市立大学肝胆膵外科グループでは、1991年から2025年末までに大腸癌・直腸癌肝転移に対して1,089例の肝切除を施行してきました。
2025年には49例の肝切除を施行し、近年では約50%の症例に腹腔鏡下肝切除を導入しています。
また、近年は在院死亡例を認めず、Clavien–Dindo分類Ⅲa以上の重症合併症率は6.7%と良好な周術期成績を維持しています。初回肝切除症例の5年生存率は54.7%であり、安全性と根治性の両立を目指した診療を行っています。
大腸癌肝転移に対する肝切除件数の推移
