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呼吸器外科疾患に対するDA VINCIロボット支援下手術

呼吸器外科領域では、肺癌(原発性・転移性)、縦隔腫瘍、気胸などの代表的疾患に対して、1990年代後半より胸腔鏡下手術が普及しています。胸腔鏡手術のメリットは低い侵襲性と高い整容性であり、傷の小ささ、胸壁・筋肉・肋骨へのダメージの少なさによる痛みの軽減、術後早期の回復、入院期間の短縮がもたらされますが、直線的な鉗子を用いるため動作操作の制限という技術的欠点があります。胸腔鏡手術の持つ低侵襲性を保った上でその欠点を補完したロボット支援下手術は肺癌および縦隔腫瘍に対して2018年より保険適応となりました。当院呼吸器外科におけるdaVinciロボット支援下手術は2018年10月より開始し、2022年2月までに肺切除100例、縦隔腫瘍切除28例を実施し、合併症は非常に低率で、非常に良好な成績を得ました。

肺癌(原発性・転移性)に対するロボット支援下肺葉切除術・区域切除術

原発性肺癌は肺の細胞が悪性化した、いわゆる一般的な肺癌です。転移性肺癌(転移性肺腫瘍)は大腸癌、腎癌などの悪性腫瘍が肺に転移したものです。これらに対するロボット支援下手術の術式には、肺を切除する量の違いで肺葉切除・区域切除があります。特にリンパ節郭清や気管支縫合などの精緻な操作において、3D両眼視下に多関節鉗子を使用することができるロボット支援下手術は大変有効です。

原発性肺癌に対しては、患者さんの呼吸機能、病変の大きさと位置、CT画像所見、リンパ節転移の可能性などから、肺葉切除・区域切除のどちらの術式が適しているか決定します。多くの原発性肺癌は浸潤性(リンパ節転移や遠隔転移の可能性)を有するため、根治度の高い肺葉切除が推奨されます。区域切除は相対的に切除量が少ないため肺機能が温存できますが、根治度は肺葉切除より劣るため、早期癌やおとなしい癌に対して推奨されます。また、浸潤性があっても肺機能が低いため肺葉切除が困難な方に対して適応できます。区域切除には高い技術が求められますが、当院では得意としております。

転移性肺癌に対しては、原発巣(もとの癌本体)が治療により抑えられており、かつ他の遠隔転移がない場合に手術適応となります。病変の大きさや位置によって肺葉切除・区域切除のどちらの術式が適しているか決定します。

手術の傷は通常4~5箇所です。約3cmの傷が1か所と、その他はすべて約1cmの傷です。標準入院期間は、5〜8日程度です。退院後はすぐに日常生活に復帰できます。

ロボット支援下肺葉切除の傷の位置

<写真 ロボット支援下肺葉切除の傷の位置>

縦隔腫瘍(良性・悪性)に対するロボット支援下切除術

縦隔とは左右の肺に囲まれた場所の名前です。胸腺、リンパ腺、神経、迷入原始胚細胞を母地として縦隔のなかに発生する腫瘍および先天性嚢胞を縦隔腫瘍といいます。具体的には胸腺腫、胸腺癌、胸腺嚢胞、心膜嚢胞、神経原性腫瘍、胚細胞性腫瘍、嚢胞性腫瘍、胸腔内甲状腺腫などが挙げられます。

これらの縦隔腫瘍に対しては、縦隔腫瘍切除術もしくは胸腺全摘術が行われます。縦隔は狭いため、3Dカメラと複数の細いアームを用いて精緻な操作を行うことのできるロボット支援下手術は非常に有効です。以前は胸骨正中切開とせざるをえなかったような比較的大型な病変も、ロボット支援下手術で安全に、小さな傷で、骨を切らずに摘出することができます。当院では最大8cmまでの胸腺腫、成熟奇形腫に対して胸骨を切らずにロボット支援下で切除できた症例を経験しています。

手術の傷にはいろんなバリエーションがありますが、主に片方の側胸部やみぞおちに小さな傷が合計4つ程度のことが多いです。そのうちのほとんどが約1cmの傷です。標準入院期間は4〜7日間程度で、退院後すぐに日常生活に復帰できます。

ロボット支援下縦隔腫瘍手術の傷

<写真 ロボット支援下縦隔腫瘍手術の傷>

費用と実施医について

当院は現在肺癌・縦隔腫瘍のいずれも既に保険診療の施設認定を受けているため、保険診療となります。費用は通常の胸腔鏡下手術と同様となります。

実際のロボット支援下手術の執刀は、ロボット手術術者認定証を有し、当院で定めた術者基準を満たした者が行います。

担当医より

呼吸器外科領域のロボット支援下手術については、いつでも当科医師へお問い合わせください。主な担当医は、石川善啓、稲福賢司です。

問い合わせ先:外科外来
主な外来診察日:毎週火曜・木曜 9:30~16:00

石川善啓

<石川善啓>

da Vinci Xiによる肺葉切除の写真

<da Vinci Xiによる肺葉切除の写真>

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