腎臓・高血圧内科
診療科部長/主任教授
田村 功一
診療案内(高度先進・専門的治療と地域連携・二人主治医制の推進)
慢性腎臓病(慢性腎炎・IgA腎症・膠原病-血管炎腎障害・ネフローゼ症候群・糖尿病性腎臓病・腎硬化症など)、慢性腎不全に対する専門的治療:
腎生検による確定診断に基づく治療方針策定(免疫抑制薬治療・IgA腎症への扁桃腺摘出−ステロイドパルス療法)、SGLT2阻害薬・MR阻害薬による直接的治療、腎性貧血治療・MBD(骨代謝)治療・尿毒素吸着薬・血圧管理(RA系阻害薬・ARNI)・食事栄養指導などチーム療法による包括的腎臓病治療、糖尿病透析予防外来、腎不全療法選択外来(血液透析、腹膜透析、腎移植)、透析合併症治療(血液透析用シャント不全・閉塞、腹膜透析合併症など)、血液透析・腹膜透析導入と透析アクセス手術(腹膜透析−血液透析ハイブリッド療法に対応)、多発性嚢胞腎・遺伝性腎疾患(ファブリー病)への特異的治療(トルバプタン・酵素補充療法)、腎臓病関連新薬の治験
急性腎障害[溶連菌感染後急性腎炎・急速進行性腎炎・膠原病-血管炎腎障害・ネフローゼ症候群・TMA(TTP、HUS、非典型HUS)]、急性腎不全に対する専門的治療:
腎生検による確定診断に基づく治療方針策定・緊急的血液透析療法、血漿交換療法、血球除去療法、腹膜透析療法、抗補体(C5)モノクローナル抗体製剤療法
高血圧、治療抵抗性高血圧、腎血管性高血圧、内分泌性高血圧(原発性アルドステロン症・クッシング症候群・褐色細胞腫)に対する専門的治療:
診察室外血圧測定(自由行動下24時間血圧測定・家庭血圧)を活用した血圧変動評価を参照してのテーラーメード至適血圧管理、副腎静脈採血検査による局在診断に基づく原発性アルドステロン症に対する治療、治療抵抗性高血圧に対する治験
地域連携・二人主治医制の推進:
当院にて急性期治療が施行後は、紹介いただきましたかかりつけの先生との二人主治医制を推進しています。
主な特殊検査・処置・入院・手術のご案内
術式名称:経皮的腎生検
所要時間:入院4−5日間程度
説 明:腎生検の目的は、腎臓病の組織病理学的確定診断を行って腎障害の原因・病態を把握し、専門的治療方針を策定することであり、腎臓病治療におけるゴールドスタンダードの検査です。カンファレンス等も通じて適応を適切に判断して施行しています。
術式名称:血液透析・腹膜透析導入のためのアクセス手術と透析導入
所要時間:各々入院4−6日程度
説 明:血液透析では前腕など上肢部位にて動静脈内シャント造設・グラフト植込み術、腹膜透析では透析カテーテル腹腔内設置術を行います。透析導入は療法選択外来受診なども経て計画的に行うために、アクセス手術後は一旦退院可能な場合が多くなっています。
術式名称:原発性アルドステロン症の副腎腺腫局在診断のための副腎静脈採血検査
所要時間:入院4日程度
説 明:高血圧患者全体のうち5−7%を占めるとされ心血管腎合併症リスクが高いとされる原発性アルドステロン症の手術適応の確定診断のための検査です。
術式名称:血液透析用ブラッドアクセスに対する経皮的血管形成術(内シャントPTA)
所要時間:入院2日程度
説 明:血液透析を行うために設置された内シャントや人工血管の狭窄部位に対して、カテーテルでアプローチをして、バルーンや血管内留置ステントを用いて狭窄部位を拡張させる手術です。
当科の特徴
腎臓・高血圧内科の特徴は、血液浄化センターと連携して、患者さんの立場に立った医療の実践です。腎臓・高血圧内科/血液浄化センターとしての主な対象疾患や治療は上記に記載していますが、最近増加している糖尿病性腎臓病を中心とした慢性腎臓病に対する集学的治療や急性腎障害に対する緊急的血液浄化療法などにも対応しています。
かかりつけの先生からの紹介の多い、蛋白尿・血尿の初診患者さんは、腎機能検査、免疫学的検査、尿蛋白定量検査のほか、超音波検査やCTスキャンなどの非侵襲的検査を積極的に行い、治療方針を決定しています。急性腎炎、慢性腎炎(IgA腎症、巣状糸球体硬化症、膜性腎炎など)、ネフローゼの診断に必要とされる腎生検は、適応をよく吟味し施行します。
病理部の充実により、光学顕微鏡・免疫染色に加え、電子顕微鏡診断を行っています。また、腎生検の結果、IgA腎症患者さんには、扁桃摘出術−ステロイドパルス療法を行っています。さらに、国内で初めて慢性腎臓病治療薬として承認されたSGLT2阻害薬、および糖尿病性腎臓病の適応が新規に承認されたMR阻害薬による専門的治療も行っています。
近年では、高血圧、糖尿病、動脈硬化などによる糖尿病性腎症や腎硬化症が原因となって、慢性腎臓病が進行し腎移植や透析療法が必要となる末期腎不全患者さんが増加しています。特に高血圧治療が重要であり、診察室血圧測定に加えて、診察室外血圧測定(家庭血圧、自由行動下血圧測定)も併用して詳細な血圧変動評価を行い、24時間にわたる理想的な降圧治療を行っています。腎臓病患者さんの教育入院プログラムもあり、短期間の教育入院の効果として透析回避のための治療の内容と意義についての理解の深化による治療効果の向上があります。さらに、生活習慣病~保存期~透析・移植期にわたるシームレスで堅牢な診療連携体制構築・腎臓病対策推進のために、行政・医師会(横浜CKD連携協議会など)・学会とその関連組織(日本腎臓病協会など)・AMED等との連携事業も推進しています。
紹介していただく時の留意事項
・初診の患者さんの診察は、腎臓・高血圧疾患専門の医師が、月曜日から金曜日の毎日午前中に行っています。また、普段かかりつけの先生からのファックス、電話によるご連絡によります紹介患者さんの初診予約も可能です。
かかりつけの先生からの初診予約申込先:地域連携室 病院代表045-787-2800(内線8995)、受付時間 平日9:00~17:00
・腎臓・高血圧内科/血液浄化センターでは、通常の外来に加えて、365日24時間対応での救急・急患診療・透析コロナ入院調整も行っています。
腎臓・高血圧内科/血液浄化センター ホットライン:(代)045-787-2800 内線5567
・腎臓病患者さんの紹介にあたっては、田村功一教授が代表世話人を務める横浜CKD連携協議会(横浜市医師会-横浜内科学会関連組織)が作成している簡易紹介基準も活用しています(下図)。
この簡易紹介基準では、日本腎臓学会と日本医師会による紹介基準よりも簡略化して使いやすくしています。

専門外来・セカンドオピニオン
・腹膜透析療法外来:火、木 ・血漿交換・血漿吸着療法外来:火、木
・血液透析療法外来:月~土 ・腎硬化症外来:火午後
・糖尿病透析予防外来:水、金 ・腎不全療法選択外来:木午後
・嚢胞腎・ファブリー病外来:木午後 ・セカンドオピニオン外来:火、金