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乳腺・内分泌外科

甲状腺癌の治療について

甲状腺癌の疾患情報

甲状腺癌は、年間約1.7万人の方が新規に甲状腺癌と診断され、男女比1:3と女性に多い疾患であることが報告されています。甲状腺癌の治療は、手術・放射線・薬物療法を組み合わせた集学的治療を行います。甲状腺癌のタイプ(組織型)、進行度、遺伝子異常の有無などによって、患者さん一人一人の病態に合わせた治療法を一緒に考えて実践していきます。

治療までの流れ

甲状腺癌は、甲状腺を構成する濾胞細胞または傍濾胞細胞(C細胞)から発生します。濾胞細胞由来の甲状腺癌には、乳頭癌、濾胞癌、低分化癌、未分化癌があり、傍濾胞細胞(C細胞)由来の甲状腺癌には髄様癌があります。それぞれの組織型により特徴が異なるため、治療方針は、組織型とがんの進行度などを考慮して決定します。

治療までの流れの図治療までの流れの図

甲状腺癌の手術

甲状腺癌に対する手術は、現在でも根治を目指すために最も重要な治療法です。手術では、腫瘍の大きさや広がり、リンパ節転移の有無などを総合的に評価し、甲状腺の切除範囲(葉切除または全摘術)やリンパ節の郭清範囲を決定します。また、局所進行癌では、気管や食道、反回神経などへの浸潤を考慮した拡大手術が必要となることがあり、未分化癌や遠隔転移を有する進行癌では、分子標的薬や放射線治療などを組み合わせた集学的治療が行われます。
一方、近年では、リンパ節転移や遠隔転移のない1㎝未満の微小乳頭癌に対して、すぐに手術を行わず、定期的な超音波検査によって経過を観察するアクティブサーベイランス(積極的経過観察)も標準的な選択肢となっています。
このように、手術は甲状腺癌治療の中心である一方、近年は腫瘍の進行度や生物学的悪性度に応じて、手術の適応や術式を個別に決定することが重要となっています。

甲状腺癌の放射線治療

甲状腺癌の放射線治療には、放射性ヨウ素内用療法と外照射の2種類があり、それぞれ適応が異なります。
放射性ヨウ素内用療法は、甲状腺細胞がヨウ素を取り込む性質を利用した治療です。放射性ヨウ素を服用し、体内に残った甲状腺組織や甲状腺癌細胞を内側から治療します。主に甲状腺分化癌(乳頭癌・濾胞癌)全摘術後の再発リスクが高い患者さんや転移がある患者さんに行われます。
外照射は、分化癌では日常的に行われる治療ではありませんが、切除不能な局所病変や手術後に肉眼的残存病変がある場合、あるいは疼痛を伴う骨転移などに対する局所制御や症状緩和を目的として施行されます。

甲状腺癌の薬物療法

薬物療法は、手術で切除できない場合や、再発・転移を認める場合、あるいは放射性ヨウ素内用療法が効果を示さない場合に行われます。主に分子標的薬と呼ばれる薬が使用され、がん細胞の増殖や腫瘍に栄養を送る血管の形成を抑えることで病気の進行を遅らせます。また、BRAF遺伝子やRET遺伝子などの異常を有する甲状腺癌では、その異常を標的とした薬剤が高い効果を示すことがあります。薬物療法は病気の進行を抑え、症状を改善し、生活の質を維持することを目的として行われます。