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当院の取組み

複数の医療機関を支援する遠隔ICUシステムについて

横浜市立大学では、複数の病院の集中治療室の医療情報をネットワーク通信でつなぎ、中心となる病院に設置する「支援センター」から集中治療専門の医師等が患者さんをモニタリングし、遠隔で現場の医師等に助言する遠隔ICU事業に取り組んでいます。

支援センター

遠隔ICU事業の取組状況

遠隔ICU事業は、医療の質の向上や医師等の働き方改革の推進を目的としており、令和元年度に厚生労働省や横浜市の補助金を活用し、横浜市立大学附属病院、横浜市立大学附属市民総合医療センター及び横浜市立脳卒中・神経脊椎センターの間のシステム構築などを行いました。

令和2年度は、10月より平日・日中帯を中心(9:00~19:00)に、横浜市大附属病院に設置した「支援センター」から、横浜市立大学附属病院のICU8床・HCU8床、横浜市立脳卒中・神経脊椎センターのHCU6床の患者さんに対する診療支援を開始しました。また、横浜市立市民病院のICU18床(ICU・CCU・EICU)へのシステムを構築しました。

令和3年度は、4月より支援センターの運用時間を平日(8:30~21:00)、休日(8:30~17:00)までとし診療支援の拡張を実施しました。また、システムの追加として附属病院のCCUを実施しました。

令和4年度は、4月より支援センターの24時間365日運用を開始することで、診療支援の更なる拡張を行い、支援センターから支援先の集中治療室に直接電話できることや支援内容を電子カルテ上に付箋として記載できるようにするなど、スタッフへの負担軽減を目的とした運用の変更を行いました。 

令和5年度は、いままでの運用実績(経営指標・診療指標・働き方改革)をもとに評価指標調査を実施、事業効果を立証し令和6年度の診療報酬収載に向けて取り組む予定です。

支援センターの業務内容及び遠隔ICUシステムの機能

支援センターには、医師1名、看護師1名、医師事務作業補助者1名が常駐し、生体情報モニター、患者さんの映像、電子カルテなどの情報を参照しながら、ビデオラウンド※1による診療支援や連携先病院からの診療・看護ケアの相談への助言を行います。また、定期的にカンファレンスに参加し、アドバイザー的な役割を果たす取組も行います。
遠隔ICUシステムの機能には主に4つの特徴があります(下図参照)。

遠隔ICUシステムのイメージ

※1 遠隔ICUシステムにより、医師等が遠隔で回診を行い、患者さんの病状を確認すること。
※2 重篤な患者さんの治療に必要な指示や記録等に特化したICUなどの医師や看護師をサポートする情報システム。

遠隔ICU事業に期待される主な効果

遠隔ICUの導入効果として、医療の質の向上、労務効率の改善やタスクシフト・タスクシェア等による医師や看護師の働き方改革の推進が図られることが期待されています。また、新型コロナウイルス感染症のような新興感染症が発生した場合に、感染リスクがある患者さんを遠隔で観察できるため、医療従事者の感染リスクの防止や感染防護着等の消費削減などにつながります。
今後、事業効果の検証を行いながら、連携先病院の拡大に加え、少ない人員で稼働している夜間休日の負担軽減のために運用時間の拡大を検討していきます。併せて、集中治療領域において蓄積されるデータの利活用を進め、重症化予測などの医学研究の発展に寄与することを目指します。

■記者発表資料