ペプチド受容体放射性核種療法(PRRT)とは核医学治療(RI内用療法)の一つです。神経内分泌腫瘍(NET)には、ソマトスタチン受容体というホルモン受容体を異常に多く発現している性質があることを利用して、腫瘍細胞内から放射線治療をするために、ソマトスタチン受容体に結合するソマトスタチンアナログとラジオアイソトープ(RI)であるルテチウム(177Lu)を合成した薬剤が、ルテチウム-177オキソドトレオチド(ルタテラⓇ)です。このお薬を患者さんに静脈注射で投与することにより、お薬が血流にのって腫瘍細胞内にとりこまれ、腫瘍内部から放出されたβ線が腫瘍細胞のDNA障害を起こすことで抗腫瘍効果を発揮します。
当院では、15年程前から海外の大学と連携してPRRTの国内導入に取り組み、 国内で初めてPRRTを実施し、現在も診療を継続しておこなっております。
PRRTの特徴として、神経内分泌腫瘍が様々な臓器で再発・転移していても治療できる点があがります。まず、腫瘍がソマトスタチン受容体をどの程度有して(発現して)いるのか、特別な核医学画像診断で検査します。その結果、治療の適応があると判断された場合PRRTを行います。
PRRTでは患者さんに放射性薬剤を投与して治療するため、投与後は体内から発する放射線量が退室基準以下になるまで、特別措置病室で隔離された状態で入院していただきます。
現在のところ、投与前日に入院していただき、投与後の隔離期間を含め、2泊3日程度入院していただきます。当院の特別措置病室は、個室内に核医学治療用のトイレを備えており、快適にお過ごし頂けるよう改修を終えています。