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当院の取組み

177Lu-DOTATATE(商品名:ルタテラ )を使用した核医学治療について

 横浜市立大学附属病院では、ルタテラを使用した神経内分泌腫瘍に対する新規治療法である、PRRT(ペプチド受容体放射性核種療法)を実施しております。
 

ペプチド受容体放射性核種療法(PRRT)とは

ペプチド受容体放射性核種療法(PRRT)は、放射線内用療法の一つで、特に神経内分泌腫瘍(NET)では、ソマトスタチン受容体をターゲットとしたPRRTが欧州を中心に30年以上前から施行されていました。ルテチウムオキソドトレオチド(ルタテラ®)は、腫瘍細胞の膜に発現するソマトスタチン受容体に結合するソマトスタチンアナログと、ラジオアイソトープであるルテチウム(177Lu)を内包させたキレート剤とから合成されており、腫瘍内部で放出されるβ線により、腫瘍細胞のDNA障害を起こし、抗腫瘍効果を発揮する放射性医薬品です。

執筆者:臨床腫瘍科 小林 規俊 准教授
【m3 記事「希少がんに希望の光!放射線を用いた新たな治療法の登場」より抜粋】

PRRT ペプチド受容体放射性核種療法イメージ

ペプチド受容体放射性核種療法(PRRT)とは核医学治療(RI内用療法)の一つです。神経内分泌腫瘍(NET)には、ソマトスタチン受容体というホルモン受容体を異常に多く発現している性質があることを利用して、腫瘍細胞内から放射線治療をするために、ソマトスタチン受容体に結合するソマトスタチンアナログとラジオアイソトープ(RI)であるルテチウム(177Lu)を合成した薬剤が、ルテチウム-177オキソドトレオチド(ルタテラ)です。このお薬を患者さんに静脈注射で投与することにより、お薬が血流にのって腫瘍細胞内にとりこまれ、腫瘍内部から放出されたβ線が腫瘍細胞のDNA障害を起こすことで抗腫瘍効果を発揮します。

当院での治療について

当院では、15年程前から海外の大学と連携してPRRTの国内導入に取り組み、 国内で初めてPRRTを実施し、現在も診療を継続しておこなっております。
PRRTの特徴として、神経内分泌腫瘍が様々な臓器で再発・転移していても治療できる点があがります。まず、腫瘍がソマトスタチン受容体をどの程度有して(発現して)いるのか、特別な核医学画像診断で検査します。その結果、治療の適応があると判断された場合PRRTを行います。
PRRTでは患者さんに放射性薬剤を投与して治療するため、投与後は体内から発する放射線量が退室基準以下になるまで、特別措置病室で隔離された状態で入院していただきます。
現在のところ、投与前日に入院していただき、投与後の隔離期間を含め、2泊3日程度入院していただきます。当院の特別措置病室は、個室内に核医学治療用のトイレを備えており、快適にお過ごし頂けるよう改修を終えています。

  • 当院の特別措置病室は、遮蔽鉛を壁に埋め込んであり、病室内は他の一般個室と同じ見た目です。窓からの眺望もよく、快適にお過ごしいただけます。
  • 特別措置病室には個室内に水洗トイレを設置しています。通常は患者さんご自身による畜尿が必要となりますが、当院ではトイレの排水が専用の排水処理設備に流れるため、患者さんご自身による畜尿は必要ございません。