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第4期 戦略的研究推進事業「研究開発プロジェクト」(2019~20年度)

第4期 戦略的研究推進事業「研究開発プロジェクト」(2019~20年度)

この事業では、学長のリーダーシップのもと、大学の強みとなる研究領域やターゲットを明確化しながら、積極的かつ戦略的に研究費を投入することで研究活動の一層の加速化を図り、大型研究費の獲得や研究成果の早期の社会還元を目指しています。
 
分野 研究テーマ 研究者
研究概要
再生医療
 
 
ヒト細胞製造システムを用いた肝芽大量製造工程の構築
ヒト肝芽の製造工程では、ヒトiPS細胞由来肝内胚葉細胞・血管内皮細胞・間葉系幹細胞などの複数種の細胞を大量に製造した後、これらの細胞を共培養する。本学内の細胞プロセシング施設(Cell processing facility, CPF)内に導入した細胞製造システムは複数のアイソレーター、ならびに大量の資材を管理のためのストックユニットを有する独自のシステムであり、従来の細胞製造とは全く異なる新たな製造ラインを構築することが必須となる。そこで、このシステムの構築・運用を図り、臨床研究プロトコルおよび標準操作手順書の作成を行う。
谷口 英樹
(臓器再生医学)
精巣組織の機能と精子形成を維持できる培養系の開発
生体組織片を生体内にある状態(形態・機能)のままに培養下で維持する培養系の開発により、in vitro精子形成の完成と、他組織への応用を目指す。特に体外ヒト精子形成に応用できる培養基盤技術開発を目的とする。このことにより、再生医学研究で行われているOrganoid等の再構築組織片も培養下で長期間維持できるようになり、人体の組織の体外培養とその実験系の開発につながる。
小川 毅彦
(創薬再生科学)
創薬グライコプロテオミクス基盤技術の開発とその応用
細胞タンパク質や血液中のタンパク質の多くは糖鎖修飾を受けている。糖鎖は分化、増殖、接着などにおいて重要な役割を果たしていること、及び、細胞の状態や生体内環境によって変化することが知られている。現在、様々なバイオ製品の開発が進んでいるが、糖鎖は製品開発において重要ポイントの一つになっている。例えば、iPS細胞など再生医療等製品の開発と製造においては、糖鎖は未分化能の維持や分化の方向性・成熟度と関係があると考えられており、分化の効率化、各種分化細胞の選別、品質評価に利用できることが期待されている。バイオ医薬品開発では、糖鎖の制御が重要課題になっている。また、多くの腫瘍診断マーカーは糖タンパク質を標的としている。
そこで、本研究では、細胞や血液中の糖タンパク質の糖鎖を網羅的に解析するための基盤技術を開発する。具体的には、糖タンパク質の濃縮法、LC/MS/MSの最適化、及びデータ処理の効率化をめざす。さらに、それらの技術をiPS細胞由来神経細胞、抗体等バイオ医薬品、及びがん患者血清等の糖タンパク質解析に応用し、iPS細胞由来神経細胞の品質評価法・効率的分化法、バイオ医薬品の品質評価法・管理法、及びがん診断マーカーの開発などにつなげる。
 
 川崎 ナナ
(創薬再生科学)
ゲノム

遺伝子
遺伝性疾患の診断技術の向上に関する研究
様々な遺伝性疾患(家族性腫瘍糖を含む)のゲノムDNA診断技術の高度化に関する研究を進める。現状のイルミナ社の次世代シーケンサーを用いた全遺伝子解析技術での難病の遺伝子異常解明率は33%である。つまり6割以上の症例では依然未解明の状態が続いている。これを打開するため新たなロングリードタイプのシーケンサーを導入し全ゲノム解析等を開始し未解明の疾患・症例の原因解明につなげる。新たなシーケンスプラットフォームでこれまで見えてこなかった病的ゲノム異常が明らかになると期待される。
松本 直通
(遺伝学)
がん
 
難治がんの微小環境からみた新規バイオマーカーおよび治療法の開発
早期発見や治療法の進歩が目覚ましい癌診療ではあるが、現在でも依然として治療抵抗性で予後不良の癌腫が存在し、新たな突破口となる治療法が求められている。以前から癌およびその周囲の間質を構成する細胞が密接な相互作用を持つことが知られていた。種々の間質構成細胞が作り出す微小環境において、癌は免疫抑制状態に置かれていることも明らかになりつつある。近年、制御性T細胞や、リンパ球表面のPD-1が免疫抑制のメカニズムを担うことが認知され、新たな治療薬も実臨床で使用されており、癌免疫治療は新たな時代に突入したと考えられている。
教室では、2009年から難治癌に対して化学療法や放射線治療と外科手術を組み合わせる集学的治療を行ってきた。その切除標本の解析により大腸癌多発肝転移や膵癌では腫瘍周囲の間質に集簇する制御性T細胞、細胞障害性T細胞、肥満細胞の多寡が予後を左右することを報告してきた。そして、免疫抑制性の自己細胞が局所集簇する機序を明らかにするためプロテオーム解析を行ったところ、このような顕著な腫瘍局所浸潤リンパ球の変化を示す腫瘍では特定のたんぱく発現が見られることを発見した。また、先行研究によって全身のsubclinicalな炎症が局所の免疫環境に影響を与えることが明らかになりつつある。
今後このたんぱくや他の幾つかの候補たんぱくの機能を解析することによってがん免疫治療における新たなバイオマーカーとなることが期待される。また、これらのたんぱくの機能解析を通して新規がん免疫(補助)療法に繋がると期待している。すなわち、全身の炎症反応のコントロールによって局所の免疫機能が改善し、ひいては抗腫瘍環境が正に転ずるのではないかと考えている。
折舘 伸彦
(耳鼻咽喉科・頭頸部外科学)
DNAポリメラーゼθの機能解明と制御
我々は最近、非相同末端連結(NHEJ)経路とDNAポリメラーゼθを同時に欠損させると、非相同組換えによるDNA修復が起こらなくなることを明らかにした(Nat. Commun., 8:16112, 2017)。本研究では、この成果に基づく独自の手法を活用して、DNAポリメラーゼθの機能解析と活性阻害物質の探索を進める。DNAポリメラーゼθの発現は、さまざまな種類のがんで上昇しており、悪性度、予後と高い相関がみられることから、こうしたがんでDNAポリメラーゼθを阻害できれば高い殺細胞効果が期待できる。また、DNAポリメラーゼθ活性阻害物質は、ゲノム編集の新規ツールとしても有用である可能性が高い。
 
 足立 典隆
(生命環境システム科学)
神経

難病
神経難病の病態解明とバイオマーカー・治療法の開発
本プロジェクトによるSCD、ALS動物モデルの解析を通じて、神経難病の治療薬開発に使用可能な新たなモデルを確立する。そして、実際にグリア細胞を標的とした治療にチャレンジするとともに、疾患の診断、治療のバイオマーカーとなる分子を同定し、さらなる神経難病の病態機序解明や新たな診断・治療戦略への展開を図る。
田中 章景
(神経内科学・脳卒中医学)
神経・神経疾患の新しいPET診断法開発
様々な脳の活動や病態に関与していると考えられているAMPA受容体のイメージングを、ヒトで可能とするPETイメージング剤の開発に、世界で初めて生理学教室にて成功した。今後、放射線医学教室と共同して、横浜市立大学附属病院にて患者を対象とした臨床試験を行う。また患者の評価やリクルートに関して精神科や神経内科、患者管理に麻酔科、身体機能評価にリハビリテーション科の協力を得る。本研究により脳の様々な病態におけるAMPA受容体の関与を明らかにしたい。また、脳卒中等により損傷を受けた脳機能が回復していく過程の脳代償野を特定することができるマーカーとして本プローブを確立し、リハビリテーション効果を客観的に画像診断できる方法を開発していく。さらに、脳腫瘍において鑑別が困難であるとされているグリオーマと悪性リンパ腫の本PET probeを用いた非侵襲的鑑別方法の確立を目指す。さらに、肺癌の鑑別は生検が基本となっているが、最も悪性度が高いとされている小細胞癌の本PET probeを用いた非侵襲的鑑別方法の確立を目指す。
高橋 琢哉
(生理学)
内分泌・免疫・自律神経系制御系におけるドーパ性神経伝達機構の解析
生命科学分野において、新たな生理活性物質の同定とその生理・病態における役割の解明は、最重要課題の一つである。ドパミン前駆体L−ドーパ(ドーパ)はパーキンソン病(PD)の特効薬である。我々は1986年以来、ドーパが、神経伝達物質として作用するドーパ仮説を提唱し、それを支持する知見が集積している。2014年には、in vivoラット孤束核(nucleus tractus solirarii, NTS) におけるドーパの降圧・徐脈応答を媒介するドーパ受容体候補分子としてGPR143を同定した。本研究は、1)我々がその樹立に成功したGPR143遺伝子を欠損するGPR143ノックアウトマウスないしラット(GPR143-KO)の表現型解析を通じて、内分泌・免疫・自律神経系制御系におけるドーパ性神経伝達機構の解析を行うこと、2)GPR143-KO動物の解析により、ドーパには、ドパミンへの変換を介さないGPR143非依存性の作用が存在する事実を明らかにしており(未発表)、GPR143以外の新規ドーパ受容体の同定とドーパ神経伝達物質仮説の最終証明を目指すことにある。 
五嶋 良郎
(薬理学)
植物
 
 
コムギにおける雑種強勢・新種誕生原理解明
・パンコムギは、ヒトの5倍以上のゲノムサイズを持ち、三つの祖先種から形成された6倍体であることから、ゲノム科学における最後の砦とされてきた。
・近年のゲノム解読技術の進捗により、こうした複雑なゲノム構成を持つ植物でも様々な解析が可能となってきている。
・木原生物学研究所・川浦研究室では、パンコムギの祖先種である4倍体コムギ(BBAAゲノム種)と2倍体タルホコムギ(DDゲノム種)のいくつかの組み合わせの中から、両親種には見いだされない顕著な耐塩性を示す系統を見いだしている。
・両親には見られない形質を示す子孫が現れる現象は、雑種強勢と呼ばれ農業分野では最重要課題の一つである。
・本研究では、雑種強勢成立のメカニズムに関していくつかの作業仮説を検証するとともに、上記組み合わせの3倍体子孫を倍加させ6倍体合成パンコムギを作出する仮定で固定されたと考えられ、かつ量的遺伝子である耐塩性遺伝子座に関して、次世代シーケンサーならびにexpression Quantitative Trait Locus法(eQTL法)を用いて同定する。
木下 哲
(植物エピゲノム科学)
 
花粉管から放出された精細胞のポジショニング制御における卵細胞の細胞外領域の役割の研究
精細胞は繊毛などの移動手段を持たないにも関わらず,花粉管から放出された流れに乗って,正確に重複受精の場である卵細胞と中央細胞の間の領域にたどり着く,我々はこれまで,シロイヌナズナの受精の瞬間をとらえた顕微鏡観察から,未受精の状態にはなかった精細胞を受け入れるための場,いわば「受精領域」というべき空間が卵細胞と中央細胞の間に出現することを示してきた.受精領域が現れる場所とタイミングから考えて,受精領域は精細胞の正確な放出先を決定するために重要な役割をはたすと推測された.しかし,受精領域をつくる仕組みについての報告は未だ世に出ていない.本研究では,卵細胞と中央細胞の間にのみ散在しているパッチ状の細胞外構造が,精細胞の放出後の受精領域の出現に必須であるとの仮説を立て,それを検証するための3つの実験をする.一つ目はガラス針から細胞内に液体をわずかに注入をすることで,花粉管の放出を模倣する細胞工学的アプローチである.これにより,決まった場所に受精領域が出現するかどうか調べる.二つ目は卵細胞を覆うパッチ状の細胞外構造をなくすアプローチである.三つ目として,卵細胞と中央細胞の細胞膜を共有結合によって固く接着させた植物を作製し,パッチ状構造の形や受精領域の出現,精細胞の放出先に異常が現れるかどうか調べる.
丸山 大輔
(植物エピゲノム科学)
植物ゲノム科学を利用したオーキシン生合成の制御基盤の確立
植物ホルモンは、植物の成長と分化を制御しており、農業現場でも様々な局面で利用されている。その中でもオーキシンは植物の生育を様々な局面で制御しており、最も重要な植物ホルモンである。天然型の主要なオーキシンはインドール酢酸(IAA)である。当研究室は大規模ゲノムデータを活用して、世界に先駆けてオーキシン生合成阻害剤を発見した。また、その改良型薬剤の開発でも世界をリードしてきた。本プロジェクトではこの研究をさらに加速し、最先端の研究成果を目指す。具体的には以下の3つの項目の研究を実施していく。1つはこれまでに開発したオーキシン阻害剤をさらに高活性に改良すると共に、その作用機構を共同研究を通して開発する。2つ目は阻害剤の標的酵素の機能解析である。3つ目は新規なエピジェネティック制御因子がオーキシン生合成制御に果たす役割について研究する。
嶋田 幸久
(植物エピゲノム科学)
感染症・免疫
 
新興・再興感染症に対する新たな診断・治療・予防法の開発
昨今の新興・再興感染症の流行は国際的な懸案事項であり、感染の蔓延を防止するためには、現場における迅速診断の実施が必須である。本研究課題では、我々が独自に開発したタンパク質合成技術を駆使して、ウイルスタンパク質を標的とするモノクローナル抗体を作製し、臨床現場即時検査;Point of Care Testing(POCT)として活用できる新規ウイルス検出法を開発する。また、感染症発生動向および分子疫学解析に基づいた感染伝播の予測を行うことで、感染予防や治療法の開発に役立てる。感染症情報については、国立感染症研究所および各都道府県衛生研究所(川崎市健康安全研究所など)との連携を強化する。また、新興感染症に対する診断キット作製において関東化学との連携により、実用化に向けた橋渡し研究が実現できる。
近年の抗体工学の発達により抗原特異性を保ったまま抗体分子を小型化することができ、他の機能タンパク質と融合させることで、標的因子近傍で機能するエフェクタータンパク質としてデザインすることが可能となった。本研究課題では、細胞環境を自由に設計できるNotchレセプターを改変した合成Notch (SynNotch) の技術を応用し、病原性ウイルスを特異的に認識するサーベイランス細胞を構築し、新たな細胞治療法の開発に役立てる。 
梁 明秀
(微生物学)
ベーチェット病・自己免疫疾患の研究
ベーチェット病や他の眼炎症性疾患(サルコイドーシス、フォークト・小柳・原田病、強直性脊椎炎)について基礎医学的および臨床医学的評価を実施し、各々の疾患の病態解明を行う。

水木 信久
(眼科学)
 
肝疾患 NAFLD/NASH病態における腸内細菌と遺伝因子
NAFLD/NASHには様々な因子がその病態に関わっているとされる(Multiple parallele hits theory)。しかしながら、その全貌はいまだに明らかとなっていない分子生物学的手法が発達し、様々な疾患において腸内細菌や遺伝因子の関与が明らかとなっている。NAFLD/NASHにおける腸内細菌(メタゲノム解析、便中ムチン、血中エンドトキシン)や遺伝因子(ゲノム解析、メチル化解析、RNAシーケンス)を明らかにし、病態の解明、さらには新規治療の開発に役立てることを目的とする。
中島 淳
(肝胆膵・消化器病学)
 物質材料化学 有機超弾性体の開発
横浜市立大学発の発見から新しい学問基礎を自ら構築し、基礎・応用への展開性を考慮した研究を推進し、本大学が理学研究において学問的に高く評価される新基幹学術領域の確立を行う。
高見澤 聡
(物質科学)
 先端融合
 
 
 
 
データ活用による証拠に基づく政策立案 (EBPM) と経営 (EBMgt) に関する研究:業績測定とインパクト評価の効果測定
本研究の目的は、データ活用によるエビデンスに基づく政策立案 (evidence-based policy making: EBPM) と経営 (evidence-based management: EBMgt) の推進するために、EBPMやEBMgtのエビデンス、すなわちエビデンスを用いた場合のインパクトを明らかにすることである。具体的には、EBPMやEBMgtの推進が効率的な資源配分と説明責任の向上という行政・経営管理の強化に寄与するかについて実証的に明らかにする。これまで構築したデータベースおよび実務家との関係性を生かし、1) EBPMおよびEBMgtに関する概念整理、2) EBPMの有効性に関する実証実験、3) EBMgtに関する実証実験、を実施する。
黒木 淳
(会計学)
コミュニケーションデザインを活用した疾病予防に関する戦略的研究
本研究では、健康・医療分野における、世界で初めての取り組みである、コミュニケーションデザイン・センターの事業の拡張を試みる。YCUが提唱してきた広告医学という研究概念を核として、コミュニケーションの持つ力の最大化および、社会実装を通じ、自然に健康づくりが促進されるツール開発や商品化を試みる。以上を通じて、新しい医療概念を再構築し、デザインの手法を核として、人びとのWell-beingの実現へ向けた実践体系の確立を目指す。
武部 貴則
(先端医科学研究センター)
水道インフラアセットマネジメントのビッグデータ活用による高度化
人口減少社会の到来の下ででも持続可能な水道サービスの維持が全国の自治体に求められている。高度成長期に大量に敷設された配水管路の大量更新が、財政負担の増大を招くため、自治体の水道事業運営におては、客観的な根拠説明が可能な計画策定が欠かせない状況にある。
そこで、水道サービスの維持に必要な老朽管路の更新投資総額の圧縮と、長期にわたる投資額の平準化という政策課題に対して、データ分析技術による管路寿命予測の精密化と長寿命運用に伴う漏水事故増加の未然防止のための保守業務の最適化の実現をめざす。

山﨑 眞見
(データサイエンス学部)
マルチオミクスを活用した新規プロテオーム解析技術の創出
病理所見や臨床所見に基づく脳腫瘍の正確な分類は、治療方針を決定する上で重要である。そこで、本研究では、横浜市立大学が独自に樹立した病態再現性の高い様々なヒト由来脳腫瘍細胞株(patient-derived cell,PDC)を活用して、マルチオミクス解析から各PDCの表現型を決定するタンパク質を絞り込み、これらタンパク質を標的とする新たな血清プロテオーム解析技術(TargetDIA法)を確立する。さらに、この解析技術を利用して、従来のプロテオーム解析技術では検出困難であった血中の脳腫瘍関連タンパク質を高い確率で同定し、頭蓋外から侵襲を伴わずに患者の病態を正確に把握・分類し、治療方針を決定する、脳腫瘍のための体液診断バイオマーカーの開発を目指す。 
木村 弥生
(先端医科学研究センター)
ビッグデータ解析におけるデータサイエンス手法の応用
データサイエンスの一環として健康・医療に直結する重要課題に取り組み、ビッグデータ分野を研究するが、特に、アカデミアによるPMDA医療情報データベース研究や、先天異常発生状況の推移とその影響に関する要因分析、母子健康保持増進に関わる感染性疾患スクリーニングなど、治療効果や因果関係に関する推論を正しく導けるようにするための体系的な方法論の構築を目指す。副作用発症の予測、診断法の評価など、データベースに基づく臨床疫学研究を展開する。
山中 竹春
(臨床統計学)
 注目
 
立体構造解析に基いたDNA維持メチル化の分子機構解明とその応用 
ヒトは多種多様な細胞の集団から成りますが、この多様性の維持にはDNAメチル化が深くかかわっています。哺乳類ではCG配列中のシトシンにメチル化が起こります。遺伝子プロモーター領域のDNAメチル化は遺伝子発現の抑制に関与します。細胞は固有のDNAメチル化パターンにより細胞に不必要な遺伝子の発現を抑制し、細胞特有の形や機能を獲得します。重要なことに、ゲノム配列と同様にDNAメチル化は次世代の細胞に受け継がれていきます。しかし、DNAメチル化がどのようなメカニズムで正確に受け継がれていくのかは不明な点が多いです。本研究では、DNAメチル化が受け継がれていく仕組みを構造生物学的な観点から明らかにしていきます。また、DNAメチル化の異常がもたらす疾患の治療薬の開発に向けた、薬剤探索を行います。
有田 恭平
(構造生物学)
ビッグデータを活用した家計の行動分析
本研究の目的は、消費に関する大規模パネルデータや小売店の売り上げ情報を用いて家計の意思決定を分析する点にあります。特に本研究では、家計のさまざまな異質性に焦点を当て、集計データでは必ずしも明らかになるとは言えない異質な家計の実態について、民間調査会社が保有する大規模家計簿データやPOSデータの分析によって明らかにします。異質的な家計の実相については所得格差や消費格差などの文脈で近年、強い関心が寄せられています。家計の異質性に関心が寄せられる背景として、以下の3点が挙げられます。まず、(1)いわゆる「中間層」の消滅が格差の拡大として認識され始めたこと、(2)経済政策を講じた場合でも理論通りの効果が発現しなくなった結果、経済成長率が低迷していること、(3)大容量高頻度のデータ(ビッグデータ)が分析可能になってきたことが挙げられます。これまでの経済理論は、夫婦に子供2人という4人家族を家計の典型的な姿とみなし、分析を進めてきました。しかし時代が変化するにつれ、分析方法にも修正が迫られています。本研究では、民間調査会社が保有するビッグデータを活用することで、従来のデータでは迫り切れなかった異質的な家計の実態を明らかにすることを目的にしています。
 中園 善行
(経済学)

研究費