基本方針
当院は特定機能病院であり、高度な専門的治療を行う患者さんが入院されます。また、複数疾患を合併する患者さんやご高齢の患者さんも多く、褥瘡発生のリスク(危険度)が高い状況です。このような状況を受けて、平成14年より褥瘡対策チームを立ち上げ、褥瘡の予防、発生率の低下、治癒率の向上を目標に活動をしています。特に院内褥瘡発生率(日本褥瘡学会の褥瘡発生率の計算式を活用)は1%以下とすることを数値目標としています。
褥瘡(じょくそう)とは?
いわゆる「床ずれ」です。寝たきりなどの状態などで、ご自身で体の向きを変えたり動かしたりできない際に、同じ場所に圧がかかり続け皮膚に血流が十分いかなくなることで、皮膚が壊死し潰瘍になります。そのため骨が突出した部位など圧力がかかりやすい部位に褥瘡ができやすくなります。
どういう人にできやすいの?
- 寝たきりなどの状態にありご自身で体を動かすことができない方
- 麻痺や関節の拘縮などがある方
- 痩せて骨が突出している方や、円背のある方
部門の概要
(1)褥瘡対策チームの組織上の位置付け
褥瘡対策チームは組織横断的医療チームの一部門に位置づけられます。「組織横断的」という名前の通り、複数の職種の職員により構成されています。具体的には、医師、皮膚・排泄ケア認定看護師、看護師、薬剤師、理学療法士、栄養士、(事務局として医事課職員、看護師長)が協力してチーム活動を行っています。
(2)活動内容
- 毎週1回のチームカンファレンスと褥瘡保有患者のラウンド
- 月1回の褥瘡対策チーム定例会
- 褥瘡対策ニュースの発行(年6回):2008年から継続し発行中
- 褥瘡対策チーム主催の勉強会(年3回)
- 褥瘡(予防)対策・運用・ケアマニュアルの改正など
実績
令和4年度1年間で50回のラウンドを行い、231名の患者さんへの介入、サポートを行いました。新型コロナウイルス流行のため、院内での勉強会についてはe-learningの形式を採用し、例年通り3回の開催し、2253名の受講がありました。褥瘡対策ニュースについても6回発行し、褥瘡の啓蒙活動を行いました。
昨年度の院内褥瘡発生率(日本褥瘡学会の褥瘡発生率の計算式を活用)は1.008%となり、目標としていた1%以下にあとわずかになりました。今後も褥瘡の発生予防・治療に努め、入院中のみならず退院後も含めた患者さんのQOLの向上をサポートしていきたいと考えています。