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診療科・部門案内

血液・リウマチ・感染症内科

当科のご紹介

当診療科には、血液疾患、膠原病疾患、感染症疾患をそれぞれ担当する3つの診療グループがあります.いずれの診療グループにおいても、高度に専門的な知識と技術をもって、診断や治療が難しい患者さんに先進的な医療を提供しています。

血液グループ

当グループは白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、骨髄腫などの造血器腫瘍の他、再生不良性貧血、各種赤血球・血小板疾患、凝固異常など全ての血液疾患に対応しています。治療は最新の知見とガイドラインに基づいて行っており、日本成人白血病研究グループ(JALSG)など全国規模の研究グループとも緊密に連携しています。各種臨床試験や新薬の治験を積極的に行い、新しい治療法の確立を目指しています。また関連施設を含めた共通治療プロトコールを作成するなど、施設間での治療の均てん化も進めています。神奈川県の中心施設として造血幹細胞移植も多数行っており、移植症例数は開院以来延べ647件(同種移植:400件、自家移植:247件;令和5年9月末現在)に達しています。また県内唯一のCAR-T細胞療法認定施設として悪性リンパ腫や急性リンパ性白血病に対するCAR-T細胞療法を積極的に推進しています。

リウマチ・膠原病グループ

当診療グループでは約2,000名の患者さんを定期的に外来で診療しています。近年続々と開発されてリウマチ・膠原病診療の進歩に貢献している生物学的製剤や分子標的治療薬を約250名に使用しています。先進医療Bとして全身性強皮症の難治性皮膚潰瘍に対する血管再生療法の開発を手掛けているほか、様々な教室と共同でベーチェット病や自己炎症性疾患の研究に取り組んでいます。関連する血液疾患や感染症疾患について、同じ診療科内の血液グループ、感染症グループと協力しながら診療できる環境にあります。また、合同リウマチ外来では整形外科、リハビリテーション科、小児科、乾癬外来では皮膚科とそれぞれ連携して患者さんの総合的なサポートに努めています。

感染症グループ

神奈川県エイズ診療中核拠点病院として現在300名を超えるHIV感染患者さんを定期的に外来診療しています。後天性免疫不全症候群(AIDS)発症例に対する入院加療にも対応しています。また近年増加傾向にある梅毒の診療や院内各診療科からの感染症コンサルテーションに対応しています(主治医診療科医師からの直接相談)。

患者さんへ

当診療科は、初診時に紹介状が必要です。

当院の血液・リウマチ・感染症内科は、血液・免疫にかかわる幅広い分野の内科疾患を担当しています。血液疾患、膠原病疾患、感染症疾患を担当する3つの診療グループはそれぞれ高度な専門性を持ち、先進医療や治験などを含め最新の医療を提供しています。また、これら3つの診療グループは診療科内で互いに密に連携しており、診断が難しい場合や合併症が生じた場合などで総合的な診療が行える環境にあることが当診療科の特長です。当診療科は全身に症状がでる疾患が多い分野であることから他の診療科との連携も重視しており、各診療科との合同外来などを通して全人的な診療を提供しています。
当院は大学病院として急性期診療を担当しており、厚労省の指針に基づいて病状が安定した患者さんはかかりつけ医(診療所)への逆紹介を推進しております。

主な対応疾患と診療内容

急性白血病は未熟な白血球が悪性化しておこる血液がんの一種です。血液検査や骨髄検査で白血病細胞が見られるほか、正常な血液が作られなくなり貧血や血小板減少がおこります。治療は抗がん剤を用いて白血病細胞を極力減らし、一部の症例では造血幹細胞移植を行います。個々の状態に応じて、通常の抗がん剤のほか抗体医薬、分子標的薬、細胞療法などを用い最適な治療を行います。

MDSは骨髄で正常な血液が作られなくなる病気で、白血球減少、貧血、血小板減少がおこります。一部の症例は白血病に進展することがあります。貧血や血小板減少に対しては輸血や薬物治療を行います。白血病細胞が増えてきた場合は抗がん剤を使って異常細胞の増加を抑える治療をします。根治的治療として造血幹細胞移植を行うこともあります。

リンパ腫はリンパ組織にできるがんの一種です。リンパ節腫脹が多く見られますが、消化管、脾臓、脳、骨、皮膚など様々な組織に病変を作ることがあります。治療には抗がん剤、抗体医薬、放射線などが用いられますが、再発した場合にはこれらの他、分子標的薬、造血幹細胞移植、細胞療法などの中から個々の状態に応じて最適な治療が行われます。

多発性骨髄腫は形質細胞とよばれる抗体を作りだす細胞のがんです。このため骨髄腫ではM蛋白とよばれる異常な抗体が血液や尿中に検出されます。免疫システムの異常の他、貧血、腎障害、骨折などが見られます。治療には抗がん剤、抗体医薬、放射線などが用いられますが、再発した場合にはこれらの他、分子標的薬、造血幹細胞移植、細胞療法などの中から個々の状態に応じて最適な治療が行われます。

ITPは免疫の異常により血小板が体内で過剰に破壊されるためおこる疾患です。血小板が減少することにより、紫斑・点状出血などの出血症状が見られることがあります。治療はステロイド、免疫ブロリン、脾臓摘出、トロンポポエチン受容体作動薬などがあり、症状の改善と血小板数の安定を目指します。

リウマチ・膠原病グループ

関節リウマチは関節の滑膜という組織に炎症が起きる自己免疫疾患です。関節の破壊が進行しないように炎症をコントロールすることが大切です。近年つぎつぎと開発されている分子標的薬(生物学的製剤およびJAK阻害薬)によってこれまで炎症のコントロールが難しかった患者さんにおいても病勢が抑えられるようになってきており、当院でも多くの患者さんが分子標的薬を使用されています。関節超音波検査は関節の炎症をとらえることに優れており、診断や病勢のモニタリングに利用されています。

皮疹や関節痛、腎障害、精神神経症状など全身の様々な臓器に炎症を起こす自己免疫疾患です。出現する症状は患者さんによって様々ですが、出現する症状や重症度に応じてステロイドや免疫抑制薬を使用します。疾患そのものによる臓器障害と治療薬による臓器障害の両方が最小限になるように治療を最適化することが重要です。全身性エリテマトーデスに対しても生物学的製剤が開発されるようになりました。新薬の承認をめざす治験もさかんに行われており、当院もそのいくつかに参加しています。

皮膚をはじめ全身の臓器が線維化により硬くなる自己免疫疾患です。四肢の血流障害による皮膚潰瘍、間質性肺炎、肺高血圧症、逆流性食道炎などの合併症に対して、皮膚科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科の専門医と連携して治療を行います。一部の症例ではリツキシマブなどの免疫抑制療法が疾患の進行を抑える効果があることもわかってきました。当院では、難治性の皮膚潰瘍に対して新たに毛細血管を作り出して潰瘍を治癒させる再生医療を先進医療として提供しています。

皮膚と筋肉に炎症が起きて皮疹や筋肉痛、筋力低下が生じる自己免疫疾患です。皮膚症状がある場合を皮膚筋炎、そうでない場合を多発性筋炎とよびます。ステロイドによる治療が中心となりますが、間質性肺炎を合併する場合には免疫抑制薬を含めた強力な治療が必要になります。発症に悪性腫瘍の合併が関係していることもあり、悪性腫瘍の検索が必要です。また、悪性腫瘍が合併している場合には悪性腫瘍の治療で筋炎が改善することがあります。筋症状に対しては、治療開始早期からのリハビリテーションも重要になります。

多くの自己炎症性疾患ではコルヒチン、消炎鎮痛剤を使用します。また、発作予兆時にステロイド15~20mgを頓服頂くことがあります。炎症が治まらない場合には免疫抑制剤を使用します。ベーチェット病では抗TNF抗体インフリキシマブやアダリムマブ、PDE4阻害剤アプレミラストが保険適応です。成人スチル病ではIL-6受容体抗体トシリズマブが使用可能です。家族性地中海熱などの一部の疾患は特定疾患に指定されており、重症度によって医療費助成の対象となります。家族性地中海熱ではIL-1βの阻害剤であるカナキヌマブが使用可能です。また、VEXAS症候群疑いに対しては研究でUBA1の遺伝子検査をやっています。

感染症グループ

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に対する治療の導入およびHIV感染症のため免疫不全に陥り発症した各種AIDS指標疾患(結核、ニューモシスチス肺炎、クリプトコッカス髄膜炎等)に対する治療も行っています。

主な検査・設備機器

骨の中にある骨髄を検査します。骨髄は血液の工場ともよばれ、白血球・赤血球・血小板ののもとになる未熟な細胞が存在しています。腹ばいの状態で腸骨とよばれる骨盤の骨に麻酔をした上で針を刺し、骨髄液や骨髄の組織を採取します。採取した検体は顕微鏡で細胞の形を詳しく調べるほか、染色体や遺伝子、細胞表面のマーカー蛋白質などを調べます。外来で行われ、検査の所要時間は10-15分程度、準備と検査後の安静時間を含めて1時間程度かかります。

リンパ腫や骨髄腫などにおけるリンパ節の腫れや腫瘍など、全身の病変を調べるために行います。腫瘍に集積するアイソトープを注射して1時間ほど安静にした後、全身のスキャンを行います。

超音波装置を用いることにより、関節リウマチなどにおける関節炎の有無や程度を侵襲なく詳細に調べることができます(外来、所要時間30分程度)。

関連情報

施設認定

診療実績

血液グループ

  2018年 2019年 2020年 2021年 2022年
急性骨髄性白血病(新患数) 5 8 10 5 14
急性リンパ性白血病(新患数) 3 2 6 5 6
リンパ腫(新患数) 57 62 53 70 61
多発性骨髄腫(新患数) 8 8 13 8 8
骨髄異形成症候群(新患数) 17 27 16 18 20
ITP外来患者数(月平均) 57 53 46 53 50

造血幹細胞移植

  2018年 2019年 2020年 2021年 2022年
自家移植 13 11 6 5 9
同種移植 11 8 18 15 15
24 19 24 20 24

リウマチ・膠原病グループ

診療患者総数

  2018年 2019年 2020年 2021年 2022年
関節リウマチ 1086 1175 1154 1146 1169
全身性エリテマトーデス 327 348 346 362 360
全身性強皮症 152 148 146 150 151
皮膚筋炎 117 123 124 134 130
ベーチェット病 192 217 220 237 253

その他,シェーグレン症候群,リウマチ性多発筋痛症,RS3PE症候群,脊椎関節炎(強直性脊椎炎,乾癬性関節炎,反応性関節炎など),血管炎症候群(高安動脈炎,巨細胞性動脈炎,結節性多発動脈炎,顕微鏡的多発血管炎,多発血管炎性肉芽腫症,アレルギー性多発血管炎性肉芽腫症,IgA血管炎など),IgG4関連疾患,成人発症スチル病,若年性特発性関節炎,再発性多発軟骨炎,サルコイドーシス,家族制地中海熱,VEXAS症候群などの診療実績あり。

感染症グループ

HIV感染症:年平均20~30名の症例が紹介され、過去5年間で129名の方が当院を新規に受診されています。この中には後天性免疫不全症候群(AIDSエイズ)発症例も多く、食道カンジダ症、ニューモシスチス肺炎、クリプトコッカス髄膜炎、トキソプラズマ脳症、活動性結核、非結核性抗酸菌症、サイトメガロウイルス感染症、進行性多巣性白質脳症、カポジ肉腫、原発性脳リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、HIV脳症、HIV消耗性症候群といった多岐に渡る症例を診療しています。

  2018年 2019年 2020年 2021年 2022年
HIV感染症(AIDS発症例) 29 (10) 22 (2) 25 (6) 26 (8) 27 (5)

対応疾患・診療内容の詳細