がんゲノム診断科
診療科部長(兼)
中島 秀明
診療科担当部長
加藤 真吾
診療案内
がん遺伝子パネル検査(以下、がんゲノム検査)を専門的に扱う診療科です。
がんゲノム検査は、がん細胞の遺伝子変化から、新たな治療法の選択肢を模索する検査です。
当診療科では、日本で保険適応となる前から、米国のがんゲノム検査を導入し、運営してきました。その豊富な経験から、患者さんにも診療医科主治医の先生にも分かり易い説明を心掛けています。
取り扱っている検査(がん遺伝子パネル検査)のご案内
所要期間:検体発送後1.5~2ヶ月
説 明:組織または血液の検体を用いて、がん遺伝子の変化を網羅的に解析し、新たな治療法の検索を行います。
(1)検査名称:FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル
説 明:腫瘍組織検体を用いて検査を行います。
(2)検査名称:FoundationOne Liquid CDx がんゲノムプロファイル
説 明:血液検体を用いて検査を行います。
(3)検査名称:OncoGuide™ NCCオンコパネル システム
説 明:腫瘍組織検体と血液検体の両方を用いて検査を行います。
当科の特徴
当科では、がんゲノム解析により新たな治療法の選択肢を模索する、がんゲノム検査を提供しています。がんゲノム検査は、2019年6月より保険承認され、当院でも2020年2月より保健検査を開始しています。2020年春頃より、がんゲノム検査が受けられる施設が徐々に増えてきましたが、まだまだ限られた施設での運用となっております。
当院では、他の施設に先行して、自費検査としてのがんゲノム検査を2016年より導入しています。この豊富な経験から、より具体的な説明や、実際の症例の説明ができることが特徴の一つです。
現状のがんゲノム検査の保険適応は、希少がんでない限り、『標準治療終了後』となっています。このため、検査自体に約2カ月を要するこの検査では、がん種や患者さんの状態によっては検査提出のタイミングを逃してしまうこともあります。当院では、早いタイミング(化学療法開始と同時期など)で一度説明を行うことで、保険適応の基準を満たした際、迅速に検査できるように、準備を整えておく取組を推進しています。
当科へのご紹介やご受診に関して
現在、がん遺伝子パネル検査は、がんゲノム医療に関する拠点病院や連携病院でのみ実施可能となっています。
当院へ通院中の患者さんだけでなく、他院での治療を継続しながら、当院でのがんゲノム検査を受けていただくことが可能です。
横浜市立大学附属病院に通院されている患者様
主治医の先生、あるいは、がん相談支援センターにお問い合わせください。
外来を予約できます。
他院へ通院中の患者様
横浜市立大学附属病院の代表電話(045-787-2800)へ電話をかけ、
外来を『がんゲノムの外来を予約したい』とお伝えください。
※ 他院でがんゲノム検査を受けていない場合は、保険診療で受診が可能です。
対象となる疾患及び診療実績
対象となるのは、以下のすべてにあてはまる患者さんです。
・病理学的診断によって、悪性腫瘍であることが診断されている(血液腫瘍はのぞく)
・治癒切除不能または再発により、標準治療による根治が難しいと考えられる
・標準治療がない、標準治療が終了している、もしくは終了が見込まれる
・歩行可能で日常生活に支障がない
・がんの組織標本がある(生検検体でも可能)
臓器別検査数 2020年2月~2022年10月実績
治療到達度 2020年2月~2022年10月実績
がんゲノム医療拠点病院について
ゲノム医療を必要とするがん患者が、全国どこにいても、がんゲノム医療を受けられる体制を構築するため、国が定めた整備指針に基づき、国が指定します。がんゲノム医療中核拠点病院及びがんゲノム医療拠点病院と連携しつつ、遺伝子パネル検査による医療の提供、遺伝子カウンセリングの実施やがんゲノム医療に関する情報提供などの役割を担っています。
当院は、このたび厚生労働省の「がんゲノム医療拠点病院」に指定されました(指定期間:令和5年4月1日から4年間)。今回の「がんゲノム医療拠点病院」の指定は、当院のこれまでのがんゲノム医療の提供実績や体制が質の高いものであったと評価された結果と考えます。当院はこれまでの豊富な経験を活かし、今後も引き続き、がんゲノム医療を推進していきます。
◆本学のプレスリリース「令和5年4月より、附属病院が「がんゲノム医療拠点病院」に指定」
◆厚生労働省のプレスリリース「がんゲノム医療拠点病院の指定について」