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診療科・部門案内

消化管外科

当科のご紹介

「国立がんセンタークオリティ」で消化管の外科治療や化学療法を提供します。

当科は、2026年4月に、国立がん研究センター中央病院で胃外科科長を長年にわたって務めてきた吉川を主任教授/診療科部長として迎え、「旧消化器一般外科」と「旧消化器外科の消化管グループ」が統合し、消化管外科として生まれ変わりました。良性疾患から悪性腫瘍まで幅広く診療しており、食道・胃・小腸・大腸疾患を中心に、ヘルニアや消化管に発生するあらゆる疾患の手術を行っています。
ロボット手術や化学療法の豊富な経験を持つ吉川のもと、腹腔鏡手術やロボット支援手術などの低侵襲手術を積極的に導入していることが当科の特徴です。特に、手術用ロボット4台を生かしたがんに対するロボット手術では、通常のマルチポート手術を基本としつつ、シングルポート(ダビンチSP)を用いたより低侵襲な手術も実践しています。
また、進行がんや再発がんに対しては、抗がん剤治療(化学療法)をはじめ、放射線治療や免疫療法を組み合わせた集学的治療を行い、国内屈指の専門家が患者さん一人ひとりに最適な医療を提供します。
さらに、大学病院として高度医療を実践するだけでなく、臨床研究や医師主導治験を通じた新たな診断・治療法の開発にも積極的に取り組んでいます。私たちは「診療・研究・教育」を三本柱とし、地域医療に貢献するとともに、世界へ発信できる消化管外科を目指しています。

患者さんへ

当診療科は、ご予約なしでも受診できます。

当科では、食道、胃、大腸などの消化管疾患やヘルニアに対して、それぞれの専門分野をもつ医師が連携し、患者さん一人ひとりに最適な診療を提供しています。
本邦では、ご高齢の患者さんや多くの持病(余病)を持っている患者さんが増えています。心臓が悪い、透析している、多くの薬剤を内服しているなど、リスクの高い患者さんに対しても、院内の関連診療科と密接に連携し、安全で質の高い医療を提供します。
また、腹腔鏡手術やロボット支援手術などの低侵襲(体に優しい)手術に積極的に取り組んでおり、特にロボット手術の豊富な経験を有する医師がそろっています。お臍(へそ)の傷一か所だけから手術ができる最新の「ダビンチSP」を用いた手術も提供しています。さらに、手術前後の化学療法や栄養管理、リハビリテーションを含めた総合的な治療体制を整えています。患者さんが安心して治療を受けられるよう、スタッフ一同、丁寧でわかりやすい医療を心がけてまいります。

主な対応疾患

胃癌は日本で多くみられるがんの一つですが、早期に発見し適切な治療を行うことで高い治療効果が期待できます。当科では、内視鏡検査やCTなどによる正確な診断を行い、病期や患者さんの全身状態に応じて最適な治療方針をご提案します。
早期胃癌に対しては腹腔鏡手術やロボット支援手術を積極的に導入し、進行胃癌では手術に加えて化学療法や免疫療法を組み合わせた集学的治療を実施しています。また、再発胃癌に対しても最新の薬物療法を含めた治療を行い、患者さん一人ひとりに寄り添った医療を提供しています。

GIST(消化管間質腫瘍)は、胃や小腸などの消化管に発生する比較的まれな腫瘍です。治療の基本は手術であり、当科では腫瘍の大きさや部位に応じて、腹腔鏡手術やロボット支援手術などの低侵襲手術を積極的に行っています。
また、進行例や再発例に対しては分子標的薬を用いた薬物療法を組み合わせ、一人ひとりの病状に応じた最適な治療を提供しています。豊富な治療経験をもとに、根治性と胃の機能温存の両立を目指した治療を行っています。

胸部食道癌に対してはほぼ全例に胸腔鏡・ロボット支援下手術を行なっており、気管・大動脈など重要な臓器に対して腫瘍が浸潤している切除不能局所進行食道癌(ステージ4a)であっても根治的放射線化学療法を行い、残った腫瘍を切除するサルベージ手術も行なっています。肝臓、肺といった遠隔臓器に転移がある場合も免疫チェックポイント阻害薬を用いた薬物療法を積極的に行なっております。

肥満手術としての腹腔鏡下スリーブ胃切除術も開始しました。内科的治療で改善しない場合はぜひご相談ください。

大腸癌(結腸癌+直腸癌)は本邦で罹患数1位、死亡数2位のがん種です。
結腸癌に対しては、患者さんの身体への負担をできる限り軽減しながら、根治性の高い治療を提供することを目指しています。
当科ではロボット支援下手術を積極的に導入しており、拡大視野と精密な操作性を生かすことで、血管周囲のリンパ節郭清をより正確かつ安全に行っています。また、小さな創で手術を完結できる完全体腔内吻合も積極的に取り入れ、術後の痛みの軽減や早期回復、美容面にも配慮した低侵襲手術を実践しています。
他臓器転移を伴うStage IV結腸癌に対しても、消化器内科、臨床腫瘍科、放射線治療科と連携し、手術、薬物療法、局所治療を適切に組み合わせた集学的治療を行い、一人ひとりの患者さんに最適な治療を提案しています。

直腸癌は骨盤内の狭い空間で行う高度な手術を必要とするため、高い専門性と精緻な手術手技が求められます。
当科ではロボット支援下手術を積極的に実施しており、多関節機能と高倍率の立体視野を生かすことで、がんの根治性を確保するとともに、排尿・性機能に関わる神経の温存、肛門の温存に努めています。
また、局所進行直腸癌に対しては、術前化学放射線療法を積極的に取り入れ、局所再発の抑制や根治性の向上を目指しています。隣接臓器へ浸潤した進行癌や局所再発に対する拡大手術にも対応しており、高度な外科治療を提供しています。
さらに、薬物療法や放射線療法を適切に組み合わせた集学的治療を実践し、各診療科が密に連携しながら、患者さん一人ひとりに最適な治療方針を提案しています。

鼠経ヘルニアに対する低侵襲手術(ロボット支援下・腹腔鏡下手術)を行っております。
鼠経ヘルニアに関して、新たにロボット支援下手術が保険収載されました。鏡視下観察によりヘルニアの正確なタイプ診断を経て、適切な剥離範囲決定・メッシュ選択を行います。

腹壁瘢痕ヘルニアに対する鏡視下手術を行っております。
eTEP、MILOSなど、従来の術式と異なる術後の腸管癒着や疼痛軽減に寄与する術式を提供いたします。

良性疾患である食道裂孔ヘルニアに対しても腹腔鏡下食道裂孔ヘルニア根治術も積極的におこなっています。難治性の逆流・嘔吐などの症状が続く方はぜひご相談ください。

主な検査・設備機器

当科の消化器外科では、「ダビンチXi」「ダビンチ5」「ダビンチSP」の3機種すべてを導入し、患者さん一人ひとりの病状に合わせた最適なロボット支援手術を提供しています。対象疾患である胃がん、食道がん、大腸がん、直腸癌、鼠径ヘルニアのすべてにおいて、基本となる「第4世代」の標準機ダビンチXi、または最新鋭のダビンチ5を用いた精密な手術が可能です。ダビンチXiは世界および日本の多くの病院で広く普及しており、高解像度な3D画像と手ぶれ補正機能による非常に精密な操作が特徴です。傷口が1cm前後と小さいため術後の痛みが少なく、早期の回復・退院が期待できます。

従来のダビンチXiの機能をベースにしながら、データ処理能力が1万倍以上に向上した最新鋭のシステムです。さらに、医師の操作する指先に組織の硬さや手応えをリアルタイムで伝える「フォースフィードバック(力覚フィードバック)」機能が新たに搭載されました。これにより、術者は「触覚」に近い感覚を得ながら、より高精度で安全な手術を行うことが可能になります。

ダビンチシリーズにおけるもう一つの革新的な選択肢が、単孔式システム「ダビンチSP(Single Port)」です。当科では胃がんと大腸がんの手術において導入しています。従来の機種が複数の小さな傷口を必要とするのに対し、ダビンチSPはわずか1か所の傷口(主におへそなど)からカメラと3本の鉗子を同時に挿入して手術を行います。傷口の数が最小限に抑えられるため、術後の痛みのさらなる軽減だけでなく、傷跡がほとんど目立たなくなるという「整容性」の面でも患者さんへの負担を大きく減らす設計となっています。

当科では、ストライカー社製の最新鋭な「腹腔鏡下手術システム」も完備しています。4Kの高画質カメラによる鮮明な視野で緻密な手術を行うだけでなく、「近赤外線光観察」を用いて臓器の血流やリンパ流をリアルタイムに評価できます。これにより合併症リスクを抑え、より安全で確実な低侵襲治療を実現します。

当科では、より安全で円滑な手術を執り行うため、「鏡視下手術専用の手術室」を4部屋完備しています。室内には、天井から複数のモニターが吊り下げられた最先端の「インテグレーションシステム」を搭載。術者やスタッフ全員が、常に最適な位置と角度で高精細な手術画像や患者さんの生体情報をリアルタイムに共有できます。機材の移動が不要で、機能的かつ高度に効率化された安全な手術環境を整えています。

関連情報

施設認定

診療実績

2026年8月に新設された診療科のため、現在診療実績を蓄積しております。質の高い医療を提供するとともに、今後、診療実績についても随時公開してまいります。