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HOME  > 研究者情報  > 研究成果コンテンツ  > 貝の微生物感染防御に働くレクチンMytiLec-1の遺伝子配列を決定

貝の微生物感染防御に働くレクチンMytiLec-1の遺伝子配列を決定

〜スイスの海洋創薬雑誌『Marine Drugs』誌に掲載〜

研究成果のポイント

○ムラサキイガイが微生物に感染すると体内で作られその増殖を抑えるMytiLec-1というレクチンタンパク質をコードする遺伝子配列がわかりました。
○この遺伝子配列を用いて、食用二枚貝であるムラサキイガイ養殖時の微生物感染診断法や、海洋環境指標のマーカーの開発が期待されます。

研究者

○横浜市立大学大学院生命ナノシステム科学研究科教授大関泰裕(糖鎖生物学)、同博士課程大学院生 イムティアジ・ハサンならびに日本学術新興会 特別研究員 小出康裕らの研究チーム
○トリエステ大学(イタリア)研究員 マルコ・ゲルドル博士(ゲノム遺伝学)

研究の背景

細胞は糖鎖で覆われています。レクチンは糖鎖と結合するタンパク質(糖鎖に結合する抗体を除く)の総称で、微生物や細胞表面の糖鎖と結合し、その増殖を調節することが知られています。レクチンはウイルス、細菌、植物から動物まで、幅広く存在していますが、二枚貝を含む軟体動物は、病原微生物に感染すると体内からその糖鎖と結合するレクチンを分泌し、これが防御に働いていると予想されていましたが、その実体は未解明でした。
MytiLec-1は、食用二枚貝ムラサキイガイに見つかった、α-ガラクトースという糖に結合する新種のレクチンです(1。欧州の共同研究機構は、ムラサキイガイの病原微生物感染でその体内にレクチンが増産されることを発見しました(2。

研究の概要と成果

本研究によりMytiLec-1の遺伝子とmRNAの配列を決定し、トランスクリプトーム解析という方法を用いたところ、微生物が感染するとMytiLec-1のmRNA転写量が増加することから(下図A)、MytiLec-1レクチンの増産が起きていることが明らかになりました。
MytiLec-1を大腸菌などの病原細菌に加えると、その糖鎖と結合し互いを凝集させて、細菌増殖を有意に低下させました(下図B)。このことから、MytiLec-1がムラサキイガイの感染防御に働くことが示唆されました。
ムラサキイガイには、MytiLec-1に加え類似のレクチンMytiLec-2とMytiLec-3が存在することも分かり、防御の方法に応じて使い分けているのではないかと考えられます。

今後の展開

今回決定されたMytiLec-1の遺伝子配列の転写量を調べることで、水産分野で食用ムラサキイガイの健康度を調べたり、海域環境の健全性を評価するマーカーに役立てたりすることが可能と考えられます。
MytiLec-1, 2, 3がそれぞれどういった場合に発現しているかを明らかにすることで、貝類における糖鎖を介した生体防御のしくみの詳細が明らかになると期待されます。また、ムラサキイガイなどの二枚貝は環境指標生物として重要視されていますので、そのモニタリングにも役立てられると期待されます。

図 ムラサキイガイの部位別のMytiLec-1 mRNA転写とMytiLec-1添加による大腸菌の凝集塊

図 ムラサキイガイの部位別のMytiLec-1 mRNA転写とMytiLec-1添加による大腸菌の凝集塊
(A)外部環境と接触の多いエラと外套膜で常時多量のMytiLec-1 mRNAが転写されており、大量のMytiLec-1が作られていると考えられる。
(B)大腸菌にMytiLec-1 (20 μg/mL)を加えると、数分で菌の凝集塊ができ、増殖も抑制された。
 

参考文献

1) Fujii Y, Dohmae N, Ozeki Y et al. J Biol Chem 287, 44772-44783. (2012)
2) Gerdol M, Venier P. Fish Shellfish Immunol 46, 17-38. (2015)

研究費情報

本研究は、日本学術振興会 科学研究費補助金(基盤研究C、 研究課題番号25450306と横浜市立大学基礎研究費を受けて行われました。

論文情報

タイトル:"cDNA and gene structure of MytiLec-1, a bacteriostatic R-type lectin from the Mediterranean mussel (Mytilus galloprovincialis)"
著者:Imtiaj Hasan, Marco Gerdol, Yuki Fujii, Sultana Rajia, Yasuhiro Koide, Daiki Yamamoto, Sarkar M. A. Kawsar, Yasuhiro Ozeki
掲載雑誌:Mar. Drugs 14巻、5号、92、2016年

お問い合わせ先
(本資料の内容に関するお問合せ)
大学院生命ナノシステム科学研究科 教授 大関 泰裕
http://researchmap.jp/1124/
Tel : 045-787-2221
E-mail: ozeki@yokohama-cu.ac.jp
(取材対応窓口、資料請求など)
研究企画・産学連携推進課長 渡邊 誠
Tel 045-787-2510