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医学研究科微生物学教室 梁 教授らの研究グループが癌幹細胞の細胞株の確立に成功!

 微生物学の梁 明秀教授のグループは、癌の発症、再発、転移、薬剤耐性の元と考えられている癌幹細胞性質を有する細胞株の確立に成功しました。この細胞株は自己再性能(*1)や多分化能(*2)などの癌幹細胞の性質を保持しながら、通常の細胞培地で簡便に培養が可能で、免疫不全マウスに移植した場合には上皮系や間葉系の複数種の癌細胞が混在した腫瘍組織の形成が見られました。本細胞株はヒトの上皮系非癌細胞由来の初めての人工癌幹細胞であり、癌幹細胞を標的とした薬剤スクリーニングやバイオマーカー探索への活用が期待されています。

背景

 癌の治療には、化学療法、免疫療法、放射線療法などで癌細胞の死滅化を行いますが、再発することが問題になっており、この原因としてこれらの治療法では癌細胞の死滅化はできますが、微量存在する癌幹細胞が生き残り再発すると考えられております。従いまして、この癌幹細胞を死滅させる薬物の創生が望まれておりました。しかしながら、従来の手法では腫瘍組織から癌幹細胞のみを取り出して培養したり、癌幹細胞の性質を有する細胞株を樹立することが困難であったため、今まで癌幹細胞を標的とした治療薬の開発ができませんでした。

研究手法と成果

 梁教授のグループは不死化されたヒト乳腺上皮細胞を用い、それに山中因子といわれているリプログラミング因子(*3)を導入後、一度初期化した細胞を組織癌幹細胞レベルまで分化誘導させることにより、多種類の組織型癌細胞に分化できる新たな癌幹細胞株の樹立に成功しました。これら一連の研究成果が、アメリカの癌専門の科学誌『Oncogene』の2013年1月14日の電子版(http://www.nature.com/onc/journal/vaop/ncurrent/index.html#14012013)に掲載されました。

今後の期待

 梁教授のグループが確立した技術は、乳腺上皮細胞のみならず、前立腺上皮細胞や皮膚細胞からも癌幹細胞株の樹立に成功しており、今後は各組織由来の癌幹細胞株の樹立を行い、癌幹細胞株のライブラリーを作製することを目指しています。本癌幹細胞株を活用することで、これまで技術的に難しかった癌幹細胞の性状解析やバイオマーカー探索、さらには癌幹細胞の自己増殖や未分化能を標的とする新たな薬剤の開発などに結びつく可能性があります。
 なお、今回樹立した癌幹細胞株につきましては、製薬企業などとの共同研究を通して新規の抗癌薬の創出に寄与することを期待するとともに、細胞株自体の販売についても某企業と協議を行っています。
 また、本研究は、国立成育医療センター、京都大学iPS研究所などとの共同研究です。

<用語解説>

(*1)自己再生能
 自らと全く同じ細胞を作り出す能力。自己複製能とも言い、幹細胞が未分化を維持したままで増殖できる性質。
(*2)多分化能
 分化多能性とも言い、広範な細胞へ分化することができる能力。iPS細胞は胎盤以外の全ての細胞に分化が出来る能力(Pluripotency:分化万能性)を有するが、癌幹細胞の場合は関連する一部の細胞種に分化できると考えられる。
(*3)リプログラミング因子
 体細胞の核内で特定の細胞種に特異化した遺伝子の発現状況を一端リセットして、全ての細胞に分化しうる状態に戻すことができる因子。京都大学の山中教授らは、Oct4, Sox2, Klf4, c-Mycの4つの遺伝子が体細胞の核内をリセットして、多能性幹細胞(iPS細胞)に変換させることに成功した。