消化器病センター内科

肝細胞癌は、癌の進行具合によって治療法が大きく異なり、当科では早期肝細胞癌のラジオ波治療から進行肝細胞癌の薬物治療まで幅広く対応しております。ラジオ波焼灼療法は一般病院では実施が難しいとされるような病変についても治療対象としております。
すなわち、超音波とCT/MRIの融合画像と造影超音波を使用し、人工的に胸水や腹水を作成しながら、従来の超音波のみでは、穿刺困難な病変や描出が難しい病変、サイズが3㎝を超える病変も治療しております。さらに進行したものでも薬物治療や放射線治療を組わせることで、予後の改善を目指しております。

早期食道癌・早期胃癌・早期大腸癌・早期十二指腸癌・表在性咽頭癌

近年の内視鏡技術の進歩により、早期胃癌をはじめとした早期消化管癌に対するEMR（内視鏡的粘膜除去術）、ESD（内視鏡的粘膜下層剥離術）が普及しておりますが、当院は県内で先駆けてESDを導入し、全国の数ある施設の中でもトップクラスの実績です。
中でも、抗血栓薬服用者などのハイリスク症例や、技術的に難しいとされる治療後遺残再発病変、また、潰瘍性大腸炎に併発した大腸腫瘍に対しても当院IBDセンターと討議し適応可能な症例に対してESDを行い、さらなる診断や技術の確立を目指しています。また、咽頭癌など咽頭領域の癌に対しても、耳鼻咽喉科と合同でESDを行っております。何よりも安全を第一に、患者さんにとって病気の根治性を損ねることなく低侵襲なより良い治療を提供できるよう心がけております。

GIST（消化管間葉系腫瘍）をはじめとする胃粘膜下腫瘍は、無症状で健診などの内視鏡検査で偶発的に発見される場合がほとんどです。当施設では、消化器外科と協力しながら同疾患に対してLECS（腹腔鏡・内視鏡合同手術）や先進医療である内視鏡的全層切除術（EFTR）を行っております。

Zenker憩室（食道憩室）は食道に発生する憩室の一つであり、つかえ感や嚥下時違和感といった症状が見られます。従来、憩室に対する治療は外科的憩室切除による経皮的アプローチが中心でしたが、近年では皮膚を切開することなく、内視鏡で経口的に行う内視鏡的憩室隔壁切開術があります。現在、全国でも限られた少数の施設で先進医療として行っており、当施設もその一つとなっております。

近年、罹患者数が増加している膵臓癌は、早期診断することにより長期予後が望めるため、精密な画像診断が最も重要です。横浜市では膵臓癌の早期診断を実現するためのプロジェクトを策定しており、当センターではプロジェクト発足時より基幹病院として参加しています。腹痛・背部痛などの症状をお持ちの方、糖尿病の新規発症・急な悪化を認めた方、健康診断などで膵腫瘍・膵嚢胞・膵管拡張などの所見を認めた方には、高精細の超音波内視鏡検査を実施し、膵癌が疑われたら超音波内視鏡下穿刺術により診断を確定します。また、進行した状態で発見された方にも、近年目覚ましく発展している化学療法を中心とした集学的治療を提供させていただきます。

総胆管結石は、急性膵炎や胆管炎などを合併する恐れがあり、内視鏡治療を行うことが推奨されています。当センターでは、高度な治療技術と最新の医療機器を駆使して、患者さんが安全に治療を受けていただけるよう胆道内視鏡専門医が診療を担当します。通常の治療法では困難な巨大結石に対しては、胆道鏡を用いた結石破砕を行います。また、胃切除後など手術後の胆管結石に対しては、小腸用のバルーン内視鏡を用いた結石除去を数多く実施しております。

胆道癌は、肝内胆管癌、肝外胆管癌、胆嚢癌、乳頭部癌が含まれており、日本人を含むアジアでの発生が多いことが報告されています。それぞれの疾患は、病変部位に応じた専門的な診断が必要になり、体外式超音波検査、超音波内視鏡検査、内視鏡的逆行性胆道造影検査、胆道鏡検査などを組み合わせて早期診断を実現します。