臨床検査部
臨床検査部長:山崎 悦子 |
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日本臨床検査医学会 臨床検査専門医・管理医 |
日本内科学会 総合内科専門医 |
日本血液学会専門医・指導医 |
造血細胞移植認定医 |
がん治療認定医 |
臨床検査部方針
臨床検査部は検体検査室(一般、血液、臨床化学免疫血清、微生物、外来採血)と生理検査室(心電図、呼吸機能、神経生理、脳波、超音波検査)にぞれぞれの専門資格を持つ技師を配し、診療科医師の依頼に応じて多数の検査に対応し、できるだけ迅速に正確な検査結果を提供し、診療に寄与することが最大の業務です。検査部の質を担保する国際的基準であるISO15189認定を2010年に取得しています。検体検査室のライン整備はじめ常にハード面、ソフト面を見直していくことで、ルーチン業務の効率化、省力化、迅速化を進め、診療科のより多様なニーズに応えらえるよう日々努めています。
そのほか、血糖自己測定の指導やNSTへの参画などの臨床業務に加え、医学生、技師専門学生の実習、入職後の技師、研修医の卒後教育においては、検査部内の医師と技師がそれぞれの専門知識、技量を生かし、指導に当たっています。さらに、国際治験を含めた臨床試験の検体および生理検査、2014年に学内で立ち上げられた血清バイオバンクへの検体準備と提供、検査部内機器の研究利用促進による各診療科との共同研究など、研究に関しても側面的にサポートしています。大学附属病院の検査部として臨床、教育、研究のすべての面に貢献し、その責務を果たし、信頼を受けることが私たちの目標です。
ISO15189
2010年1月18日に臨床検査部は輸血細胞治療部とともに、公立大学病院として初めて、全大学病院中11番目に臨床検査に求められる国際基準であるISO15189:2007の認定を取得し国際的レベルに達していることを示しました。
2013年11月の更新ではISO15189:2012年版の審査を受け、全国で最初の施設としてISO15189:2012の認定更新が認められました。
この規定では検体採取、搬送、検査受付、検査測定から結果報告までのすべての過程で国際的なマネジメントシステムの要求事項を満たす必要があります。業務手順はすべてマニュアル化され、インシデントあるいはエラーが生じた場合はその原因を究明するだけでなく、該当箇所の手順書を見直し、是正措置を検討し、さらにはその是正措置の妥当性を観察していくことが義務づけられています。また、職員間での内部監査機構もあり、部長や技師長もその監査対象者になります。国際基準を遵守することで検査の品質も保証されています。臨床研究中核病院は、ISO15189を含む国際認証が必須条件です。また、平成28年度の診療報酬改定では、「国際標準検査加算」として、入院患者1人につき40点の加算が新設されました。当検査部がISO15189資格を維持していくことにより、日常臨床で品質の高い検査を診療医、患者様に提供できるだけでなく、各診療科の研究的臨床試験にも寄与できるものと考え、国際認定を受けた臨床検査部・輸血細胞治療部として努力していきます。
シンボルマーク
臨床検査部紹介
中央採血室
採血ブースは10台で全て電動昇降採血台とし、患者さんの様々な状況に対応しています。採血業務支援システムを活用した安全対策や感染対策も強化しています。また、入院患者さんの採血管発行や、年々増加している臨床治験・研究の採血にも柔軟に対応しています。
採血は検査結果提供の出発点です。患者さんのご理解とご協力のもと、安全で正確な採血業務に努め、チーム医療の一部門として信頼される採血室を目指しています。
臨床化学免疫血清検査室

臨床化学免疫血清検査室では肝・腎機能等を調べる生化学検査や各種ホルモン、腫瘍マーカー、感染症等を調べる免疫検査を行っています。感染症についてはB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、HIVの3項目でPCRを用いた遺伝子検査も実施しています。また、糖尿病患者さんが日々使用する自己血糖測定器(SMBG)の管理を行っています。臨床化学免疫血清検査室では患者さんに接して検査をすることはあまりありませんが、血液や尿、体腔液など提供された検体のその先には患者さんひとりひとりの命につながる情報があります。正しい検査情報を提供できるよう、職員一同自己研鑽に励みながら日々の業務に取り組んでいます。
血液検査室

血液検査室では血球数算定検査(白血球数、赤血球数、血小板数、ヘモグロビン濃度など)、白血球分類、骨髄検査、凝固検査、フローサイトメトリーなどの検査を実施しています。血球数算定検査・白血球分類・骨髄検査は白血病や骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫などの発見・診断に必要な検査です。当院の血液検査室では、異常細胞を発見した際に血液専門医や病理医、臨床検査技師で細胞を観察してディスカッションをしており、迅速に正確な結果を報告できるように努めています。
凝固検査ではワルファリンのモニタリングの指標となるPTや、APTT、FDP、Dダイマーなどの測定、血友病や抗リン脂質抗体症候群などの判断に関わるクロスミキシング検査、血小板の機能を調べる出血時間や血小板凝集能の検査を行っており、様々な疾患に対応することができます。
さらに、当院では造血幹細胞移植や神奈川県初のCAR-T細胞療法を実施しており、その治療を行う上で必要なCD34陽性細胞数、CD3陽性細胞数の検査も行っています。
一般検査室

一般検査室では、主に尿、糞便、体液、脳脊髄液の検査を担当しています。
尿の異常は腎臓・泌尿器系疾患だけでなく、全身性の各種疾患との関連があります。尿糖や蛋白などの尿中成分の検査、顕微鏡で有形成分や細胞の検査を実施しています。
糞便の検査は便潜血の検査と寄生虫の検査を行っています。便潜血の検査では消化管出血、特に大腸などの出血を検査します。寄生虫の検査は便を顕微鏡で観察し、寄生虫そのものや寄生虫の卵がないか探します。
脳脊髄液や体液・関節液の検査なども担っています。他の検査室では扱えない種類の検査もする“なんでも屋さん”のような検査室です。
医生物検査室

医生物検査室では、患者さんから提出された検査材料から感染症の原因となる微生物を検出しています。検査には、一般細菌検査、抗酸菌検査、遺伝子検査、抗原検査があり、一般細菌検査は顕微鏡で観察し菌を推定する「塗抹検査」、培地に検査材料を塗り微生物を発育させる「培養検査」、発育した菌の種類を調べる「同定検査」、微生物に薬(抗生物質)が効くかどうかを調べる「薬剤感受性検査」を行っています。当検査室では、最新同定検査機器である質量分析装置を用いて病原菌を適確に同定し、迅速に結果報告が出来るように日々努めています。
抗酸菌検査は塗抹検査だけではなく、培養、同定、薬剤感受性検査も院内で行っています。培養検査では主に結核菌を培養していますが、非結核性抗酸菌も検出するために、材料によって2通りの温度で培養を実施しています。薬剤感受性検査は結核菌、非結核性抗酸菌、迅速発育の非結核性抗酸菌検査にも対応しています。また、入院前や病棟で結核を疑う場合には遺伝子検査を実施しています。
抗原検査では、16種類の細菌やウイルスの検査を行い迅速に結果報告することで、感染症診断に役立てています。
医生物検査室は耐性菌やウイルスなどで「院内感染を起こしているかも」と最初に気がつくことができる重要な検査室です。そのため、チーム医療として感染制御部とは密に連携をとっており、病棟での耐性菌検出時や抗原検査の陽性時には報告を行い迅速に院内感染対策ができるように努めています。
生理機能検査室

生理機能検査室では、臨床検査技師が機械を使って患者さんの身体の状態を把握する検査を行っています。
当院では心電図検査、呼吸機能検査、血圧脈波検査(ABI検査)、超音波検査、脳波検査、筋電図検査の検査を実施しています。
【心電図検査】
心臓の中では電気信号により、心臓の筋肉(心筋)を収縮させています。その微弱な電気を拾い、波形として記録したものが心電図です。基本となる安静時心電図検査は、ベッドに仰向けになり安静な状態で記録します。両手脚、胸に電極をつけて数秒間記録をし、その波形をみて不整脈や虚血性心疾患などの異常がないかを調べます。心疾患は日本人の死因第2位であり安静時心電図検査は、一般的な健康診断や人間ドックなどでも広く行われています。心電図検査ではその他にトレッドミル運動負荷心電図、24時間ホルター心電図なども行っています。
【呼吸機能検査】
肺の大きさ・気管支の異常・肺の弾性力などの肺の機能を調べます。波形をみて、その診断や重症度、治療効果を調べるのに役立ちます。全身麻酔による手術前検査としても行われます。
【血圧脈波検査(ABI/PWV検査)】
両手(上腕)、両足(足首)の血圧を測定することで、動脈硬化の状態を調べる検査です。
【超音波検査】
超音波検査は体内臓器の画像検査をリアルタイムに行うことが出来ます。超音波のため被曝(ばく)等の身体への影響はなく、非侵襲的に行うことができます。超音波を出す探触子(プローブ)と呼ばれる部位を皮膚に押し当てて行います。この際皮膚との間に空気が入らないようにゼリーを塗ります。必要時には呼吸や息止め、検査箇所に応じて食止めの協力をお願いしています。検査時間は部位や内容により異なります。 主に、腹部超音波検査(肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓、脾臓)、心臓超音波検査、体表超音波検査(乳腺、甲状腺)、血管系超音波検査(頸動脈、大動脈、末梢動静脈)などを行っています。その他に、造影超音波検査や経食道超音波検査なども行っています。
【脳波検査】
脳電気活動の時々刻々の変化を頭皮上の電極から誘導して記録したものです。脳波の適応は様々ですが、特にてんかんの診断に有用です。
【筋電図検査】
筋肉や神経に異常がないかを調べる検査です。筋肉が収縮する時や、神経を電気的に刺激した時などの信号の伝わり方を記録します。
チーム医療
栄養サポートチーム(NST)
栄養サポートチーム Nutrition Support Team (NST)は、患者さんに最適な栄養管理を提供するために、医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、リハビリテーション技師、臨床検査技師などで構成された多職種の医療チームです。
NSTにおける当院臨床検査技師の役割は、栄養状態の目安となる検査を事前に把握・測定し、臨床症状とあわせて考察し、患者さんの回復のためにできる栄養管理をサポートすることです。
チーム全体で患者さんの栄養状態を評価し、適切な栄養補給方法や、有用な栄養管理方法を提案します。患者さんの栄養状態改善・治療効果向上・合併症予防・QOL向上・在院日数短縮を活動目的としています。
感染制御部
感染制御部は医師・看護師・薬剤師・臨床検査技師・事務職員により構成されています。
感染制御部における臨床検査技師の主な仕事は、新型コロナウイルス感染症対策をはじめ、院内の各病棟や各外来の環境ラウンドや環境整備の確認などを実施しています。また、AST(抗菌薬適正使用支援チーム)のカンファレンスに参加し、細菌検査の実施状況や検出菌、耐性菌の情報を提供することで院内の抗菌薬の適正使用に貢献しています。その他に月に一度の感染対策委員会、感染対策推進部会を通し院内の感染対策の周知や、感染対策マニュアルの改訂・周知を行っています。
さらに他病院との感染対策相互ラウンドを実施し、連携・支援を行っています。
糖尿病関連
糖尿病教育入院時に、検査項目の理解・解釈、自己血糖測定器の使い方などを患者さんに説明しています。
また、糖尿病患者会【よこいちみらいの会】に参加し、啓発活動を行っています。当患者会は、医療多職種(医師・看護師・栄養士・薬剤師・理学療法士・臨床検査技師)と患者さんで構成されています。一般患者さんも参加可能な糖尿病教室を年に3回と11月の糖尿病デーのイベントを実施しています。また、糖尿病に関わる課題などを話し合い、患者さんへのサポートにつなげています。
治験
治験は治験実施計画書に則って行われ、臨床検査は治験の有効性・安全性の評価に貢献しています。
治験における臨床検査技師の主な仕事は、治験受託のための事前ヒアリングに参加し治験実施計画書に規定されている臨床検査項目の確認を行っています。
受託後は各治験実施計画書に規定されている臨床検査項目が適正かつ円滑に実施されるように調整を行っています。
臨床試験管理室と連携して治験のホームページに臨床検査の精度管理に関する事項を掲載しています。
検査件数
部門/年度 | 2016年度 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 |
---|---|---|---|---|---|---|
一般 | 224,945 | 224,789 | 221,618 | 220,408 | 205,157 | 207,687 |
血液 | 1,473,695 | 684,333* | 640,091* | 626,249* | 595,403* | 627,689* |
臨床化学免疫血清 | 4,033,145 | 4,065,599 | 3,944,564 | 3,974,036 | 3,721,450 | 3,731,077 |
微生物 | 54,714 | 51,277 | 44,958 | 52,453 | 52,553 | 54,129 |
生理機能 | 43,017 | 46,048 | 47,499 | 47,737 | 42,242 | 44,403 |
外部委託 | 126,621 | 117,349 | 107,363 | 100,124 | 91,458 | 101,389 |
外来中央採血室患者数 | 135,189 | 133,817 | 137,162 | 138,656 | 135,420 | 146,176 |
臨床研究
取得資格一覧
認定機関 | 資格名称 | 認定者数 |
---|---|---|
日本臨床検査同学院・日本臨床検査医学会 | 二級臨床検査士(臨床化学) | 2 |
二級臨床検査士(微生物学) | 3 | |
二級臨床検査士(血液学) | 15 | |
二級臨床検査士(循環生理学) | 5 | |
二級臨床検査士(呼吸生理学) | 1 | |
緊急臨床検査士 | 2 | |
遺伝子分析科学認定士(初級) | 4 | |
日本超音波医学会 | 超音波検査士(循環器領域) | 5 |
超音波検査士(消化器領域) | 6 | |
超音波検査士(血管領域) | 2 | |
日本検査血液学会 | 認定血液検査技師 | 4 |
認定骨髄検査技師 | 1 | |
日本臨床神経生理学会 | 日本臨床神経生理学会認定技術師(脳波分野) | 1 |
日本臨床神経生理学会認定技術師 (筋電図・神経電動分野) |
1 | |
日本臨床衛生検査技師会 | 認定心電検査技師 | 1 |
検体採取受講 | 26 | |
タスク・シフト/シェアに関する指定講習 | 1 | |
臨地実習指導者講習会受講 | 1 | |
日本不整脈心電図学会 | 認定心電図専門士 | 2 |
心電図検定1級 | 1 | |
日本臨床微生物学会 | 認定臨床微生物検査技師 | 1 |
感染制御認定臨床微生物検査技師 | 1 | |
日本臨床細胞学会・日本臨床検査医学会 | 細胞検査士 | 1 |
日本糖尿病療養指導士認定機構 | 日本糖尿病療養指導士 | 4 |
日本サイトメトリー技術者認定協議会 | 認定サイトメトリー技術者 | 2 |
日本臨床化学会 | 認定臨床化学・免疫精度管理保証 | 1 |
日本臨床試験学会(JSCTR) | 認定GCPパスポート | 1 |
スタッフ
医師
検査部長 | 山崎 悦子 | 日本臨床検査医学会臨床検査専門医・管理医 / 日本内科学会 総合内科専門医 |
日本血液学会専門医・指導医 | ||
桐越 博之 | 日本臨床検査医学会臨床検査管理医 / 日本内科学会 総合内科専門医 | |
日本超音波学会超音波専門医・指導医 / 日本消化器病学会専門医・指導医 | ||
白石 洋子 | 日本精神神経学会精神科専門医 | |
上村 大輔 | 日本内科学会 総合内科専門医 / 日本循環器学会専門医 | |
川崎 理加 | 日本内科学会 総合内科専門医 / 日本血液学会専門医 |
新しい医師の紹介

昨年度まで2年間、臨床検査部で非常勤専攻医をさせて頂いておりましたが、本年度より常勤の専攻医となりました。約20年間、血液内科の診療を行い、ベッドサイドで患者さんを診てきましたが、今後は臨床と検査をつなげられる臨床検査医として患者さんの役に立ちたいと考え、臨床検査専門医の研修を始めました。当院の臨床検査部はISO15189認定を取得している事、各検査部門に専門の医師や検査技師さんがいる事もあり、非常に勉強になる恵まれた環境で学ばせていただいております。臨床に役立つ臨床検査専門医を目指して研修に励んでおります。どうぞよろしくお願いいたします。
川崎 理加
臨床検査技師
技師長 | 矢島 智志 | |
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担当係長 | 佐藤 泰之 | |
担当係長 | 武田 倫明 | |
担当係長 | 黒沢 貴之 | |
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正規職員 | 45名 | |
非常勤職員 | 13名 |
採用情報
職員の声
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電話:045-787-2913(臨床検査部直通)
Eメール:ycu_labo@yokohama‐cu.ac.jp
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