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内視鏡センター

内視鏡センター 内視鏡センター長 窪田 賢輔

内視鏡センター長 窪田 賢輔
Kensuke Kubota M.D.
Professor of Medicine,
Director of Endoscopic Unit,
Yokohama City University Hospital
専門:膵胆道疾患(膵がん)の内視鏡診断・治療(Therapeutic ERCP/Interventional EUS)
日本内視鏡学会評議員、指導医/学会誌査読委員
米国内視鏡学会(ASGE)International Active Member

診療案内

以下の内視鏡診療の対応が可能です。 
*緊急内視鏡診療(消化管出血・消化管閉塞・胆道閉塞・閉塞性膵炎)
*内視鏡的腫瘍切除術(ESD、LECS:食道・胃・十二指腸・十二指腸乳頭部・下部消化管)
*内視鏡的膵・胆道ドレナージ術
*超音波内視鏡診断・ドレナージ術(FNA・EUS-CD・EUS-HGS・EUS-CDS・EUS-GBD)
*術後腸管の内視鏡・バルーン内視鏡
*気管支鏡、EBUS(超音波気管支鏡)
*内視鏡的胃瘻挿入術(PEG)

特殊検査・処置・入院・手術のご案内

以下、合併症がなければ、3日から1週間以内の入院となります。いずれも予期しない合併症のため、緊急外科手術や集中管理を要する場合があります。

術式名称:上下部消化管腫瘍に対するESD(=内視鏡的粘膜下層剥離術)
所要時間:30分から2時間程度(病変によって異なります)。
説  明:静脈鎮静下で行います。早期癌でリンパ節転移のない病変が適応です。病変により全身麻酔下で行います。外科と共同して行うこともあります。
出血・消化管穿孔・腹膜炎のリスクがあります。

術式名称:超音波内視鏡下膵・胆道ドレナージ(EUS-BD, EUS-GBD, EUS-PD)
所要時間:30分から1時間以内
説  明::静脈鎮静下で行います。通常の内視鏡的ドレナージが、困難な症例について行います。胃や十二指腸から超音波内視鏡を用いて、直接、胆管・胆嚢・膵管にアプローチを行います。
出血・胆汁・膵液漏出による腹膜炎のリスクがあります。

術式名称: 内視鏡的十二指腸乳頭部腫瘍切除術
所要時間:30分から1時間以内
説  明::静脈鎮静下で行います。悪性の疑いのある十二指腸乳頭部腫瘍について行います。
膵炎・出血・消化管穿孔のリスクがあります。

当科の特徴

内視鏡センターは神奈川県下の最先端医療を担っております。施設には、内視鏡室8室(うちX線透視室1室)を有し、リカバリー室も備えています。その内視鏡検査・治療数は年間1万数千件にのぼりますが、医師(内科、外科)、看護師、技師、事務といった各パートがそれぞれの専門分野の業務を果たしながら相互に協力し合い、質の高い検査・治療を目標に実施しています。当センターでは肝胆膵消化器内科と消化器内科の2グループが互いに協力しながら内視鏡診療を行っており、呼吸器分野では超音波内視鏡(EBUS)の導入を行い、最先端の診療を行っています。

診療の理念/目標

理念

1) 内視鏡による先進医療を行い、横浜市民の健康に貢献する。
2) 先端医学研究を通じinnovationを誘導し、横浜市に貢献する。
3) 若手医療人材・専門医・看護スタッフの育成を通じ、よりよい医療を横浜市民に還元する。

我々内視鏡センタースタッフは、横浜、三浦そして神奈川県内の消化器、呼吸器の難治性疾患の患者さまのお役に立ちたいと考えております。内科-外科ともに密に連携しながら高度な診療を展開しています。かかりつけ医師の先生方、更には地域基幹病院と病診連携も大切です。高齢化・AIの進歩などで今日の医療情勢も変化しています。患者様に負担の少ない、短期間、低侵襲でかつ経済効率が医療に要求されております。何とか最短、低侵襲、低予算で難治性疾患の診療ができないか、考え行動しています。十分行き届かない点も多々あると思いますが、内視鏡を有効利用し、皆さまとともに病気に立ち向かっていこうと考えております。
当センターでは肝胆膵消化器内科教室と消化器内科教室の2グループが、互いに協力しながら内視鏡診療を行っております。呼吸器分野でも超音波内視鏡(EBUS)の導入し、最先端の診療を行っています。外科チームの協力を得て、腹腔鏡内視鏡合同手術(LECS)をGISTや十二指腸腫瘍などに対し、積極的に行っております。
さらに安全管理に重点を置いており、院内安全管理室、病院長の指導のもと、安全かつ合併症を最小に抑えた医療を目指しております。
現在は新型コロナ感染症の対応を行いながら、慎重に内視鏡診療を継続しております。当センターは2020年の第1波から、特にがん患者さまの内視鏡、消化管出血・黄疸症例の緊急内視鏡も、制限することなく通常通り行っております。
今後も当センターは、医療の最後の砦として、神奈川県民、横浜市民の皆さまの要望にお答えできるよう、努力・邁進して参ります。
更に2023年1月より当センターを中心に、大きさ10㎜以下の膵癌を診断すべく、“YCU横浜早期膵癌診断プロジェクト”を始動致しました。

内視鏡センタースタッフ

専門医を中心とした内視鏡診療を行っております(専門医による2-3次読影)。
原則として、月曜日内視鏡カンファランスを行っております。
毎月、病理専門医を招聘し、内視鏡-病理カンファランスも行っております。
2か月毎に内視鏡医(内科、外科)、看護師、放射線技師、薬剤師、機器洗浄専門スタッフ、医療事務スタッフ-全員で集まり、問題点を協議し、安全管理、医療改善に努めております(内視鏡センター運営部会;原則 第三月曜日17時30分より)。

内視鏡センター専任スタッフ
窪田 賢輔  教 授 日本消化器内視鏡学会評議員、指導医、専門医 米国内視鏡学会会員
細野 邦広  准教授 日本消化器内視鏡学会 指導医、専門医
日暮 琢磨  講師  日本消化器内視鏡学会 指導医、専門医
長谷川 翔  助教  日本消化器内視鏡学会 専門医
三澤 昇   助教  日本消化器内視鏡学会 専門医
二瓶 真一  診療指導医 日本消化器内視鏡学会 専門医

診療内容の紹介

各分野の責任者を指定し、その指導のもと、安全管理を行い、高度な先進医療を行っております。

1 胆膵分野         責任者 窪田 賢輔 / 入江邦泰
2 上/下部内視鏡分野     責任者 日暮琢磨/ 金子裕明
3 呼吸器分野        責任者 小林信明
4 胃瘻(PEG)・小腸内視鏡   責任者 細野邦広 (術後腸管の内視鏡)

1 胆膵分野

内視鏡的診療において国内でも最高レベルの診療、研究を行っております。主に内視鏡(ERCP、EUS)を用いた診断、治 療を得意としています。消化器外科と密に連携しながら高度な診療を行っています。膵癌に対する最適な医療を、最大の目標に掲げております。地域基幹病院と病診連携も行っています。専門医による高度医療を目指しており、神奈川県下における胆膵疾患の診断、治療の中心的役割を担うべく、日夜 努力をしております。 2012年からは膵胆道の処置内視鏡件数は全国でも有数です。また他院で施行困難なERCP、及び胆道内視鏡処置を積極的に行い、高い成功率をおさめています。またEUS-FNAを積極的に行い、一般的に診断困難である膵疾患において高い診断能を誇ります。以下の内視鏡診断、治療も行っております(成功率90-100%)。

*超音波内視鏡下穿刺吸引術による膵胆道腫瘍・胃粘膜下 腫瘍の診断(EUS-FNA)
*ERCPによる胆膵疾患の診断・治療(IDUS)
*術後腸管症例のsingle balloon内視鏡検査、治療(年間100-200例;国内トップクラスの症例数と成功率)
*内視鏡的胆嚢ドレナージ術
*経口膵胆道鏡(POPS、POCS)
*ラージバルーンによる総胆管結石切石術

当科で実施している特殊な内視鏡治療(成功率80-90%以上)
*内視鏡的十二指腸乳頭部腫瘍切除術(早期癌も含む);これまで120例以上施行。
*超音波内視鏡下膵嚢胞、膿瘍ドレナージ術;これまで150例以上施行。
*超音波内視鏡下膵、胆道ドレナージ術(EUS-BD,EUS-PD);これまで280例以上施行。
*超音波内視鏡的腹腔神経ブロック術;これまで10例施行。
*IPMN(膵管内乳頭腫瘍)に対するEUSによる精密検査、造影EUSを毎週6−20例施行。

臨床研究

2016年より“10mm未満膵嚢胞性病変の多施設前向き研究”に参加しており、横浜市内、神奈川県内より膵嚢胞性病変(IPMNなど)の患者さんを多数受け入れております。2018年より“IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)”について他施設共同研究を主幹施設として行っています。
2023年より“超音波内視鏡とDual Energy CTによる横浜市南部地域における早期膵癌診断プロジェクト2023-前向きコホート研究”を開始しております。

新患外来担当(火曜日 午前中:窪田 賢輔);以下の疾患に関し、国内でもトップクラスの症例、治療経験を有しています。膵癌の診断(ERCP、超音波内視鏡)、膵管内乳頭腫瘍(IPMN)、慢性膵炎、自己免疫性膵炎(AIP)、IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)、十二指腸乳頭部腫瘍(術前診断、内視鏡的切除術)。(特に膵臓が心配な患者様、まずお話しをお伺いいたします。) その他の曜日でも専門医が対応しております。

Fig 1.EUS-guided rendezvous ERCP困難例での超音波内視鏡的膵管ドレナージ術

Fig 1.EUS-guided rendezvous ERCP困難例での超音波内視鏡的膵管ドレナージ術

Fig 2. 肝門部胆管がんに対する術前Multi inside stent

Fig 2. 肝門部胆管がんに対する術前Multi inside stent

Fig 3.EP 内視鏡的十二指腸乳頭部腫瘍切除術 これまで120例以上施行。

Fig 3.EP 内視鏡的十二指腸乳頭部腫瘍切除術
これまで120例以上施行。

Fig 4. 吻合腸管症例に対するSingle baloon内視鏡 成功率95%以上。

Fig 4. 吻合腸管症例に対するSingle baloon内視鏡 成功率95%以上。

“YCU横浜早期膵癌診断プロジェクト“について

2023年1月4日から開始されました。少しご説明いたします。

このため、市大病院では本プロジェクトを立ち上げました。尾道総合病院の花田敬士副院長(YCU横浜早期膵癌診断プロジェクト2023 特別アドバイザー)の考案された“尾道方式”を取り入れ、先生からご指導を頂いております。

EUSとは胃または十二指腸内部から、超音波で膵臓をくまなく調べる精密検査です。通常15-20分ほどかかるため、鎮静剤を投与し、患者さまはお休みになったまま受けることができます。他の検査で診断できない小さな病変も、見つけることができます。

膵臓癌が心配な患者さまに置かれましては、かかりつけ医の先生にまず、ご相談下さい。本プロジェクトは、原則として金沢区・栄区・磯子区にお住まいの方が対象となります。

2 上下部内視鏡分野

食道・胃・大腸の消化管腫瘍に対して、基本である通常内視鏡観察に加えて超音波内視鏡観察やNBIや拡大内視鏡等を用いた画像強調内視鏡観察を併用し、質的診断、範囲・深達度診断に際して正確な内視鏡診断が実現出来るように日々の内視鏡診療を行っております。
また、内視鏡切除により根治が期待できる早期消化管悪性腫瘍に対しては、広範囲病変や瘢痕症例などの内視鏡治療困難病変に対してもESDを積極的に行っております。


3 局所遺残再発食道がんに対する光線力学的療法(Photodynamic therapy: PDT)

この治療は食道がんの化学放射線療法後または放射線療法後に食道局所に病巣が遺残または再発した方を対象としています。現在、食道がんの化学放射線療法後または放射線療法後に遺残あるいは再発した患者さんに対して、標準的治療として確立されたものはありませんが、一般的におこなわれているのは外科手術または抗がん剤治療ですが、体への負担が大きいという問題があります。光線力学的療法(Photodynamic therapy: PDT)は、腫瘍組織に集まりやすい光感受性物質を静脈内に注射した後に、腫瘍組織にレーザ光を照射することにより、腫瘍組織に集まった光感受性物質が反応をおこし、腫瘍組織にダメージを与える治療法です。そのため、レーザ光が照射された腫瘍部位以外には障害が少ないという特徴があり、また効果が現れるのが比較的早く、8割くらいの患者さんに腫瘍縮小効果が得られることより、近年注目されている治療法です。一方で、光感受性物質により光線過敏症を起こすことがあり、注意が必要です。
横浜市立大学は光線力学療法(PDT)を神奈川県で実施している数少ない施設の一つになります。

4 カプセル内視鏡

小腸疾患は消化管の中では比較的まれな疾患ですが、カプセル内視鏡やバルーン内視鏡の開発により多くの疾患が見つかっております。当院ではこれまで診断に苦慮してきた小腸疾患をすみやかに診断し、治療できるような体制を整えております。大腸カプセルも積極的に施行しております。

Fig 1. カプセル内視鏡でみる小腸がん

Fig 1. カプセル内視鏡でみる小腸がん

Fig 2. 大腸カプセル内視鏡で観察した早期大腸がん

Fig 2. 大腸カプセル内視鏡で観察した早期大腸がん

5 呼吸器分野

気管支鏡検査は、肺や気管支など呼吸器の病気にかかった患者さんにとって重要な検査で、気管支の中を観察すると共に、組織や細胞を採取して正確な診断をつける検査です。具体的には、肺組織を採取する経気管支肺生検は、主に肺がんやびまん性肺疾患の診断のために用いられ、さらに、気管支腔内超音波断層法(EBUS)を用いることで、縦隔に分布するリンパ節の生検や、より小さい(早期の)肺がんの診断を可能にします。そのほかに、当院では、喘息の新規治療である気管支サーモプラスティや局所麻酔下胸腔鏡も、気管支鏡を用いた検査手技として実施可能です。
 また、当院では、間質性肺疾患の診断の正確性を高めるために、通称“クライオバイオプシー”と呼ばれる、二酸化炭素ガスを利用して凍らせたプローブで肺組織を凍結させ、引きちぎって採取する生検技法(TBLC)を今年度より新規導入しました。今後、TBLCの件数が増えることが予想されており、間質性肺疾患の早期診断と治療導入が可能となり、その診療レベルが飛躍的に向上することが期待されます。

Fig .超音波気管支鏡EBUSでみた縦隔リンパ節

Fig .超音波気管支鏡EBUSでみた縦隔リンパ節


6 胃瘻(PEG)

毎日午後に胃瘻専門外来を開いております。
新規のPEG造設は、毎週金曜日午前中に2件施行しております。

診療実績

横浜市立大学附属病院内視鏡センター 診療実績 2012-2021

ERCP:内視鏡的逆行性膵胆管造影
EUS-FNA:超音波内視鏡的穿刺術
ESD:内視鏡的粘膜切除術

地域の皆様へ

当内視鏡センターは内視鏡的治療において、国内最先端レベルの診療を行っております。横浜、三浦半島全域の患者様のお役に立てれば幸いです。一般市中病院、他の大学病院等で診断が難しく、内視鏡を使った治療ができなかった。何とかならないでしょうか-といった患者様。当センターにおいで下さい。通常の内視鏡と併せ、負担の軽い経鼻内視鏡から、胃や大腸腫瘍の内視鏡的切除術を行っております。また、診断が難しく、検査、治療の合併症が比較的多い、膵臓、胆管、胆嚢疾患の内視鏡検査、治療も得意としております。さらに最近患者数が著しく増加しております呼吸器疾患の内視鏡診断も積極的に行っております。

中核病院の先生方へ

横浜、三浦の基幹、中核病院の先生におかれましては、大変お世話になっております。当センターでは大学病院の特性を生かし、難治性または合併症の多い患者様の診療も積極的に行っております。診療困難な、術後腸管のバルーン内視鏡や、予期しない偶発症、合併症で先生方のお手を煩わせ、診療困難の患者様につきましても積極的に対応させて頂いております。どうぞご紹介頂けますようにお願い申し上げます。

開業、実地医家の先生方へ

地域の先生におかれましては、大変お世話になっております。当センターは学閥に無関係な、専門医による高度医療を目指しており、神奈川県下における内視鏡診断、治療の中心的役割を担うべく日夜努力をしております。どうぞ遠慮なさらずに当センターへご紹介頂ければ幸いです。上下部の出血、閉塞性黄疸などで緊急内視鏡を要する患者さまにつきましても、可能な限り対応させて頂く所存です。

学生、研修医の皆さんへ

施設見学など随時可能です。
医学部の学生さん、初期研修医の先生の見学を積極的に受け入れております。

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