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放射線診断科 加藤真吾講師の執筆した論文が2023年のAHA/ACCの慢性冠動脈疾患ガイドラインに引用 -心筋パーフュージョンMRIでハイリスク患者を検出-

横浜市立大学附属病院放射線診断科 加藤真吾講師(研究当時:神奈川県立循環器呼吸器病センター 循環器内科)らの研究グループは、心筋虚血を非侵襲的に正確に評価できる画像診断法「心筋パーフュージョンMRI」により、広範な虚血を有する冠動脈疾患の患者は虚血のない患者と比較して、有意に高い有害心イベント発症を認めました。すなわち、心筋パーフュージョンMRIで虚血を評価することで、濃厚な治療が必要なハイリスクの患者を検出できることを示しました。(J Am Coll Cardiol, 2017*1)
冠動脈疾患において、血管の狭窄を評価するだけでなく、血管の支配する心筋の虚血の有無を評価することは非常に重要とされています。心筋パーフュージョンMRIは、心筋虚血を非侵襲的に正確に評価できる画像診断法です。(図1)

この研究の重要性が評価され、アメリカ心臓協会(American Heart Association, AHA)、米国心臓病学会(American College of Cardiology:ACC)が共同で発刊する慢性冠動脈疾患のガイドライン*2 に引用されました。

このガイドラインの中で、“慢性冠動脈疾患を有し、診療ガイドライン推奨の治療にもかかわらず症状や機能的能力に変化がみられる患者において、心筋パーフュージョンMRIは心筋虚血の有無や程度の評価およびリスクの層別化、治療方針を決定するのに有用である”との記載部分に、本論文が引用されています。世界中の循環器診療の基礎となるAHA/ACCの診療ガイドラインに引用される研究を発表できたことは、大きな成果であると考えられます。
心筋パーフュージョンMRIは欧米では盛んにおこなわれてきた検査ですが、日本国内では実施している施設は限られており、横浜市立大学附属病院は検査実施可能な数少ない大学病院の1つです。

図1:薬物負荷心筋パーフュージョンMRIでは前壁中隔~下壁に心筋虚血を認める(矢頭)。 安静時の心筋パーフュージョンMRIでは異常所見は消失している。 冠動脈造影検査では右冠動脈の閉塞と左冠動脈の狭窄を認め、心筋パーフュージョンMRIでの虚血領域と一致している。 心筋パーフュージョンMRIは冠動脈疾患の心筋虚血の評価において高い有用性をもつ検査である。

*1:論文情報
タイトル:Stress Perfusion Coronary Flow Reserve Versus Cardiac Magnetic Resonance for Known or Suspected CAD
著者:Shingo Kato, Naka Saito, Tatsuya Nakachi, Kazuki Fukui, Tae Iwasawa, Masataka Taguri, Masami Kosuge, Kazuo Kimura
掲載雑誌:Journal of the American College of Cardiology (2017)