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アクティブ・ラーニング推進プログラムレポート「神奈川県における外国につながりを持つ生徒の教育支援活動」(エスニシティ論)(1)

2015.06.22
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アクティブ・ラーニング推進プログラムレポート「神奈川県における外国につながりを持つ生徒の教育支援活動」(エスニシティ論)(1)

本プロジェクトは、外国につながる子ども(国籍を問わず外国にルーツを持つ子ども)が抱える教育問題、とりわけ中学から高校への進路選択について、大学生による教育支援がいかに可能か考察するものです。現在、日本人生徒の高校進学率が98%というなか、神奈川県内の外国人生徒の高校進学率は統計的に把握することも難しく、40~70%程度と言われています。また高校進学を果たしても、学習困難や進路の問題など多くの課題が指摘されています。これらの課題に対しては、国や自治体の政策のほか、子どもやその家庭を見守る地域社会における幅広いサポートネットワークが求められています。
そこで、ゼミ活動を通して、大学生がこの問題に対し、いかに実践的に関われるのかを模索するため、2015年度は本学の「アクティブ・ラーニング推進プログラム」に申請し採択されました。本ゼミではこのような取り組みを2011年度より開始しており、NGO組織である「多文化活動連絡協議会」との協力関係を築きながら、神奈川県内における外国につながる子どもたちへの教育支援活動を多方面にわたり実施してきました。
本年度は4月より、2年生のゼミを中心に、文献購読を通して基礎的な知識や問題点の習得を続けています。5月26日には、カナダ日系3世で外国籍県民かながわ会議第9期委員長である中村ノーマン氏をゲストに迎え、地域社会による子どもたちの支援の意義について学びました。
ゼミと平行して、毎週日曜日には5月31日から約1か月間にわたり、大学生が外国につながる子どもへの学習支援を実際に体験するインターンシップ(学習支援教室「わかば」)も開始しています。
6月7日には、「外国につながりを持つ子どもの高校進学を考えるフォーラム」が「多文化活動連絡協議会・横浜市大坪谷ゼミによる共催」という形で開催し、司会や会場設営のほか、昨年度、一昨年度ゼミで同じように学んだ3、4年生が、支援活動にかかわる個人報告を行いました。(於:川崎市国際交流センター ホール)
事前に神奈川新聞に記事が掲載されたこともあり、当日は50名の来場者がありました。三浦淳川崎市副市長のほか、山田泉法政大学教授、川崎市議会議員、川崎市の管理職、市職員、川崎市国際交流協会職員、県議会議員、かながわ国際交流財団の職員、県内の学習支援団体の構成員、外国人を含む市民、多文化共生センター東京職員、他大学の学生等が来場し、子どもたちがおかれている状況や支援の必要性について大学生のことばで発信する非常に貴重な場となりました。またフロアからのコメントや交流の機会も多く、学生たちは学内の授業だけでは得ることのできない知的かつ実践的な刺激を大いに受けることができました。
アクティブ・ラーニングには、「サービスラーニング(service learning)」といってボランティア活動を正課授業に取り入れた教育的取り組みも含まれるといいます。地域社会やコミュニティのニーズに対応した活動を通して、学生自身の問いから社会問題の解決を果たす経験は、社会人として必要なスキルを修得する機会ととらえることができます。
今後は外国につながる生徒たちの高校進学へ向けた支援に対し、より実質的かつ継続的にどうゼミ生が関われるのか、さらにはより広い市民に向けた意識啓発等への取り組みを課題としていきたいと思います。
(2015.6.22 国際総合科学部国際教養学系国際文化コース 准教授 坪谷美欧子)
※ アクティブ・ラーンング推進プログラムは、平成25年度文部科学省「地(知)の拠点整備事業」に選定された本学の「環境未来都市構想推進を目的とした地域人材開発・拠点づくり事業」の中での取組です。
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