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【活躍する市大生】第38回日本生物学的精神医学会・第59回日本神経化学会大会で優秀発表賞を受賞した廣川さん、中村さん

2016.11.22
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  • 学生の活躍

第38回日本生物学的精神医学会・第59回日本神経化学会大会で優秀発表賞を受賞した廣川さん、中村さん

 2016年9月に開催された第38回日本生物学的精神医学会・第59回日本神経化学会大会で、生命医科学研究科生体機能医科学研究室の廣川智子さん、医学研究科分子薬理神経生物学、神経内科学の中村治子さんが優秀発表賞を受賞しました。受賞されたお二人に、今回の受賞について伺いました。

ポスター発表の概要についてお教えください。

廣川さん

我々が生活する上で重要な役割を持つ脳や脊髄といった中枢神経系は、一度損傷すると機能の再建が非常に困難であり、残念なことに、根本的な治療法が未だに確立されていません。そこで私は、所属する研究室で発見された神経回路形成因子Lateral Olfactory Tract Usher Substance(LOTUS)は神経再生を促進する分子機能を有することから、LOTUSを神経損傷の根本的な治療法に利用できるかについて検討しています。具体的には、脊髄損傷モデルマウスを用いてLOTUSの神経再生促進作用を利用した治療法開発に日々取り組んでいます。その結果、LOTUSが遺伝的に欠損したマウス(LOTUS遺伝子欠損マウス)では脊髄損傷後の機能回復が非常に遅滞するのに対して、LOTUSが神経細胞に過剰に発現しているマウス(LOTUS過剰発現マウス)では機能回復が有意に促進されることが明らかとなりました。今回は、このLOTUS発現の遺伝的背景の違いによって脊髄損傷後の機能回復の様子が逆転するといった興味深い結果について発表を行いました。
学会は福岡市で3日間開かれ、そこで初めて出会った他大学の院生や研究者と懇親会や発表の場などで大変親しく交流することができました。学会終了後には、それらの人たちと一緒に学問の神様として知られる太宰府天満宮に出向き、全員の研究がさらに進むようにお参りもしてきました。学会において、最新の研究成果を学ぶのは勿論のこと、新たに他大学の院生や研究者と知り合えたことは、今後の研究生活のモチベーションアップに繋がり、非常に有意義な学会参加となりました。 

中村さん

1995年、当研究室の五嶋教授が神経細胞軸索ガイダンス分子であるセマフォリン3Aの下流に存在するリン酸化蛋白質であるCRMP2を世界で初めて同定されました。その後、CRMP2はアルツハイマー病、統合失調症などの様々な神経変性疾患・精神疾患との関連が指摘されており、治療ターゲットとしても注目されてきています。我々は、CRMP2欠損マウスの作製に成功し、行動解析、前頭前野におけるプロテオミクス解析を行いました。その結果、CRMP2欠損マウスは行動解析で過活動、低不安状態、社会性の低下を認め、プロテオミクス解析では、神経・精神疾患で関連が指摘されている蛋白質の発現変動が認められました。CRMP2の研究は今後神経・精神疾患の病態解明に重要であることを示しました。今回、日本生物学的精神医学会・日本神経化学会大会でCRMP2欠損マウスの表現型について発表させていただきました。学会では、臨床研究者と基礎研究者が一体となって情報交換を行い、精神・神経疾患の原因と治療法の開発につながる多くの研究が活発に発表されました。私は、学会最終日にポスター発表を行いました。発表では、CRMP2の神経発達における役割の重要性、研究内容を分かりやすく説明し、今後の神経・精神疾患の病態解明において本研究で得られた知見は重要であることを伝えることを心掛けました。 

今回の受賞についての感想、今後の抱負について教えてください。

廣川さん

修士課程の時代から継続して行っている研究成果が、このような形で評価されたことをとても嬉しく思います。さらに同じ研究室から発表を行った高橋慶太さんも受賞されたことから、日頃から熱心に、学生の自由な意見にも耳を傾けながら研究を指導してくださる竹居教授に感謝するとともに、レベルの高い研究室に所属できたことを誇りに思います。また、賞を頂くことはできましたが、発表での質疑応答では悔いが残る部分も多くあり、自分の弱点を知ることができ、「今後より一層努力して行こう」と自分を見直す良い機会となりました。
今後は「LOTUSを用いた神経再生治療薬の創成」を最終的な目標に、より臨床に近い研究に力を入れ、少しでも早く治療薬としてLOTUSを用いることができるように研究を進めていきたいです。また、この研究室で習得した物事を論理的に組み立て、それを実証する手段を考えて証明していく力を発揮し、社会でも活躍していきたいと思っています。 

中村さん

当研究室におけるCRMP2の研究を評価いただき、大変光栄です。神経内科医として日頃神経変性疾患の方を拝見する機会が多くあります。神経変性疾患の発症はご本人のみならず、病気の発症がご家族の生活にも強い影響を及ぼしています。現在では有効な治療法がない疾患が多く存在しますが、臨床医として患者さんの診察を行う上で学ぶことを基礎医学研究に生かしていきたいと考えております。今後は、CRMPを含めた神経化学の研究を継続し、さらなる研究によって神経変性疾患の治療法の開発を目指していきたいと考えています。

—廣川さん、中村さん受賞おめでとうございます。

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