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【活躍する市大生】第48回アジア太平洋公衆衛生学術連合国際会議(APACPH2016)で「Young Poster Award」を受賞した西口翔さん

2016.11.17
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  • 学生の活躍

第48回アジア太平洋公衆衛生学術連合国際会議(APACPH2016)で「Young Poster Award」を受賞した西口翔さん

 2016年9月16日(金)~9月19日(月)に帝京大学板橋キャンパスで開催された「第48回アジア太平洋公衆衛生学術連合国際会議(APACPH2016)」で、医学研究科医科学専攻(博士課程)の西口翔さんが「Young Poster Award」を受賞しました。
受賞について西口さんにお話を伺いました。

今回の学会では、どのような内容を発表されたのでしょうか?また、どのような点が今回の受賞につながったのでしょうか?

今回の学会では、我々の調査によって特別養護老人ホームの看取り介護が過去11年間で増加していることが明らかになったと発表致しました。さらに、その理由として看取り介護加算制度という政策の関与があったとわかったことを強調させていただきました。
日本では高齢化が進み、どこで亡くなるかという問題が生じてきています。世界と比較して日本では病院で亡くなる人が多く、高齢者施設や在宅で亡くなる人が少ない現状でした。高齢者施設の中でも、認知症などで介護を要する一方、あまり病気を持っていない方が多く入所する特別養護老人ホームでは、施設内で看取り介護を受けたいと思い入所される方がもともと多くいらっしゃいました。しかし、なかなか施設内で看取り介護を受けられない現状がありました。そこで2006年に、特別養護老人ホームにおいて、看取り介護加算制度という政策が介護保険法の介護報酬改定により始まりました。これまでの研究では、この制度の効果を明らかにしたものはなかったため、今回の発表では特別養護老人ホームの看取り介護加算制度の有効性を示した点が受賞につながりました。 

「APACPH」とはどのような組織なのでしょうか?

 「Asia-Pacific Academic Consortium for Public Health(APACPH)」はアジア・太平洋地域の公衆衛生学校連合体で、アジア・太平洋地域の公衆衛生水準の向上を目的として1984年に設立されました。アメリカ、オーストラリア、日本、韓国、中国、フィリピン、インドネシア、タイ、マレーシア、台湾など23か国から81校(2016年現在)の公衆衛生分野の学校が参加しています。

今回の学会に参加することになった経緯や、参加された際の感想、エピソード等あれば、お聞かせください。

 教室の先生方の協力のおかげでまとまった今回の研究を公衆衛生分野の他国の方にも見ていただける機会がなかなかなく、このAPACPHが2016年日本の帝京大学で開催されることを知り、応募しました。私の発表が他国の方に興味を持っていただけるかとても不安でした。しかしながら、ポスター発表の際、アジアの先生方がたくさん集まり、自分のポスターを見て質問をしてくださいました。自分の英語力のなさでなかなかうまく返答できませんでしたが、たくさんの質問をいただけたことがこれまで研究を頑張ってきたことへの何よりのご褒美でした。

参加にあたって、事前準備など特に意識した点や工夫した点があれば、お聞かせください。また、苦労した点と、それをどのように乗り越えられたかも教えてください。

 特別養護老人ホームの看取り介護に関しては、国がデータ管理をしていないため、研究者が独自に調査する必要があります。そのため、神奈川県内の特別養護老人ホーム計380施設にアンケート票を送りました。一般的に、アンケート票に返答してくださる方は3割程度と多くはありません。そのため、より現場を反映した研究とするため神奈川県内の行政機関(県庁、横浜市、川崎市、相模原市、横須賀市)の方々にこの研究に協力いただきました。依頼文に行政機関名を記載できたことで、6割を超える施設の方から返答をいただくことができました。協力いただいた方々に、この場をお借りして感謝申し上げます。
また、せっかくたくさんの施設の方に協力いただいたこの研究を、今回の発表でどのように他の国の方々にも役立つものとしてまとめるか苦労しました。この点については、菅谷渚助教(社会予防医学)をはじめとした指導教員の皆様からたくさんのアドバイスをいただきました。深く感謝申し上げます。

受賞された際の研究室の皆さんや先生の反応はいかがでしたか?

指導いただいた教員の先生方ならびに様々な形で調査に協力をいただいた事務員の方々、皆さんが喜んでくださりました。

研究室では普段どのような研究・勉強をされているのでしょうか?

 博士課程の大学院生として特別養護老人ホームの看取り介護をテーマとして調査研究を行っています。

西口さんの将来の夢や、目標を教えてください。

 私は医学部を卒業して10年とまだまだ未熟者です。医師として目の前の患者さんから様々なことを教えていただくことがあります。その学んだことを時には後輩達に教えて、時には共に学び一緒に成長することが何よりの喜びです。また、目の前の患者さんだけでなく、さらにフィールドを広げて地域全体や日本全体あるいは世界に還元することができる研究は非常にやりがいがあります。その時々に応じて臨床、教育、研究をバランスよく行いながら、様々な人の役に立つことで常に成長し続けていきたいと思っています。

菅谷渚助教からのコメント

西口さんは日々の臨床業務から研究テーマを着想し、過去の研究からきちんと裏付けをした上で調査をし、各施設から頂いた貴重なデータを地道に解析して、現場に役立てたいという熱い思いを持って成果を発信しました。そういった西口さんの思いや努力が受賞という形で評価されたことを、私を含めた教室員一同大変喜んでおります。今回の発表の中で西口さんの研究成果が、国内の看取り介護加算制度の有効活用だけでなく、看取り介護について同様の問題を抱える国外のケースにおいても、有用な情報となったと期待しております。 
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