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【活躍する市大生】日本物理学会2016年秋季大会で領域10学生奨励賞を受賞した鈴木さん

2016.10.27
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  • 学生の活躍

日本物理学会2016年秋季大会で領域10学生奨励賞を受賞した鈴木さん

 2016年9月に開催された日本物理学会2016年秋季大会で、生命ナノシステム科学研究科 物質システム科学専攻 前期課程2年の鈴木凌さん(橘研究室)が領域10学生奨励賞を受賞しました。鈴木さんに、今回の受賞について伺いました。

今回の大会では、どのような内容を発表されたのでしょうか?

「斜方晶リゾチーム結晶の微小硬さと塑性変形」というタイトルで口頭発表を行いました。リゾチームとは、タンパク質であり、身近なところでは卵の白身や風邪薬に含まれる抗菌作用のある酵素のひとつです。そのようなタンパク質分子から構成される結晶の硬さと変形メカニズムの解明について発表しました。
タンパク質結晶はこれまでの材料とは大きく異なる特徴が多くあります。例えば、炭素から成るダイヤモンドと比較すると、結晶を構成している分子が数十~数百倍大きいことや結晶内にたくさんの水が入っていることなどが挙げられます。しかしながら、このような特徴を持つタンパク質結晶がどのような物性を示すのか?といった具体的な研究は世界中を探してもほとんどありません。その原因の一つが大きな結晶を作ることが難しいといった理由です。一方で、研究室では世界最大級のタンパク質結晶を作ることができます。大きな結晶を用いることで、力学的な性質の評価が可能となり、そのような先導的な研究が評価されたのではないかと思います。
日頃からご指導いただいている橘先生、村田先生、そして研究室メンバーに感謝致します。 

今回の大会に参加された際の感想をお聞かせください。

今回の大会も含め、日本物理学会では4回目の口頭発表でした。というのも、日本物理学会の領域10は結晶の欠陥に関するプロフェッショナルが集まる場です。自分の発表のみならず他の研究者のお話を聴講し、新しい知見が得られることを楽しみに参加しています。今回の大会でも率直な疑問から深い内容までご質問いただき、高いレベルで議論できたと思います。 

口頭発表に向けて、事前準備など特に意識した点や工夫した点、苦労した点があれば、お聞かせください。

報告内容はすでにまとまっていたため、聞き手の方々にいかに面白く興味深く聞いていただけるかを意識しました。具体的には、そもそもタンパク質結晶に馴染みがない方がほとんどであるので、研究背景で引き付けることを意識しました。質問が出ない発表というのは聞き手が理解していないケースが多いため、今回の発表では活発な議論ができたことから聞き手の方々に伝えることが出来たと考えています。

 

受賞された際の研究室の皆さんの反応はどうでしたか?

ご指導いただいている橘先生、村田先生からお祝いの言葉を頂きました。とても嬉しく思います。研究室メンバーも喜んでくれました。 

研究室では普段どのような研究・勉強をされているのでしょうか?

 タンパク質結晶の力学的な物性評価は世界中でもあまり例がありません。そのため、これまでの無機材料などに行われてきた評価や解析を参考に自分たちの研究を進めています。しかし、タンパク質結晶だから故の特徴もあり、これまでの材料との違いに注目し、タンパク質結晶の本質を解き明かそうと日々タンパク質結晶と向き合っています。

鈴木さんの将来の夢や、目標を教えてください。

まずは今目の前にある課題に全力で取り組むことが必要であると思います。未解明な点が多いタンパク質結晶の性質を解き明かしていきたいと考えています。現在修士2年ですが、来年から博士課程への進学も決まっており、さらにギアを上げて研究に没頭するつもりです。自分たちが取り組んでいる研究は基礎研究です。「短期間の研究で役に立つものを!」もしくは、「これは何に使われる?」といった現在の日本の風潮からすると、基礎研究に対する風向きはあまりよいものではないかもしれません。しかし、基礎研究こそが応用研究の基盤であると思います。日本だけでなく世界をリードできるような研究者を目指し、今は、今の研究を楽しみながら全力で取り組みたいと思います。

 

橘勝教授からのコメント

 今回、鈴木君が研究発表を行った日本物理学会は、自然科学分野の最高峰の学会の一つで、ノーベル物理学賞受賞者も数多く輩出しています。本学会は、他の学会に比べて学会賞は少ないのですが、最近、いくつかの領域で学生賞が設けられました。今回、鈴木君が受賞した学生奨励賞も、昨年度から新たに設けられた学生賞になります。実は、昨年度の第1回学生奨励賞も当研究室の学生が受賞しています。研究室としては2年連続の受賞となり、学生の日頃の努力が学会でも高く評価されたことを大変嬉しく思っています。鈴木君の研究テーマは、「タンパク質結晶の力学的性質」に関する研究で、少し大げさにいうと固体物理学における新たな領域を開拓する研究になります。未開な領域ということで実験の難しさもありますが、その反面、研究の醍醐味を思う存分味わえるテーマでもあります。鈴木君は来年度から博士後期課程に進学することにもなっており、今回の学生奨励賞を励みに、より一層活躍してくれることを期待しています。
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