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HOME > 教員からのメッセージ − At the Heart of YCU > いろいろな場面でリーダーとなる看護師を育てたい - 渡部節子教授

いろいろな場面でリーダーとなる看護師を育てたい - 渡部節子教授

個人から集団、病院から地域まで横断的に求められる感染看護

感染症患者さんや易感染患者さんのサポートには精神的なケアと独自の看護技術が必要

感染看護には、患者さんのケアに独自の特徴があります。感染症患者さん易感染者さん(感染しやすい患者さん)の一部の方は、感染症病棟や無菌室といった隔離された場所で治療が行われます。お見舞いも制限され、外からは隔絶される環境のため、看護師は精神的不安をサポートすることがより求められるのです。

内服を継続していただくこともとても大切です。一般的に服薬しなければその影響は自分に返ってくるだけですが、感染症患者さんが服薬しなければ感染拡大の恐れがあります。AIDS患者さんの場合、現在のところ一生内服を継続しなければなりませんが、内服を中断することにより耐性菌が出現し、途中で薬を変更しなければなりません。看護師は日々の生活の中でいかに内服を継続していただけるか患者さんと共に考え、支援していく必要があるのです。

渡部 節子(わたべ・せつこ)
医学群 教授
(学部)医学部看護学科 
(大学院)医学研究科看護学専攻
 
研究者情報 
感染看護学(HIV/AIDS等)が専門。まだ全国で15名しかいない感染看護の専門看護師の育成に尽力している。

感染看護は全領域だけでなく、福祉・保健施設や在宅にも役割を持つ

看護師を始めとする医療従事者は院内感染から患者さんや自分自身の身を守るために個人防護具の使用や感染予防技術を実践できなければなりません。そのため感染看護専門看護師は医療従事者全体に対して手洗いや個人防護具としてのマスクや手袋の装着など適切な時期に適切な方法で実践できるように教育を行っていくことも必要となります。院内感染予防は医療従事者一人ひとりの努力の積み重ねの結果と思います。

感染看護専門看護師は、医師・薬剤師などとチームを組み施設の管理的役割も担っています。特に病院は院内感染のリスクがあり、全病棟、外来スペース、手術室、検査室など病院全体の施設管理はもちろん、医療従事者を感染から守ることも必要となります。地域では老人ホームなどの福祉・保健施設や在宅も対象になってきます。特に最近は医療処置が必要な方が在宅療養されるケースが増加していることからも感染看護の重要性が高まっています。感染症に罹患する人は、老若男女、全ての人が対象となるため、求められる知識は非常に広い分野に及びます。

人権への配慮は、感染予防と同様に大切。差別撤廃へ向けた看護を創造したい

偏見・差別をなくしていくことも看護師の役割

感染看護の世界は人権の問題と深い関係にあります。感染症患者さんに対する偏見・差別といった問題です。偏見・差別により、患者さんは病気そのもの以外でも苦しむことになり、ときには社会的な死を意味するものにもなりかねません。

我々の研究においてもHIVの検査結果を本人の意思が確認されないままに家族や職場に上司に伝えられるなど“人権無視”の実態が明らかになっております。結婚や就職など人間としての大きなイベントさえも差別を受けている現状があります。私は学生に人権の問題については、力を入れて教えています。

感染症患者さんへ適正な看護支援を行っていくことはもちろん、偏見・差別をなくしていくことも、医療従事者に求められる役割であり、私も看護の立場から差別撤廃に向けた未来を創っていきたいと思っています。

リーダーシップをもった看護師が育つ環境が市大にはある

共通教養を通して、対応力を磨く

看護を大学で学ぶことは、大きな意味があります。

1つのポイントとしては、金沢八景で他の学部生と共に共通教養を学ぶ機会があること。他学部や他学科の学生や教員との交流を通して、多様な考え方や価値観を持っている人がいることがわかります。

実際、患者さんは一般の人たちなので、対応するためにはいろいろな考え方があることを知っておく重要な期間だと思います。

原理原則を学び、応用力をつける

もう一つは、How toを直接学ぶのはなく、原理原則が学べるということ。How toを学べば、看護師の国家試験は受かるかもしれませんし、卒業後もすぐに動くことができる看護師になれるかもしれません。しかし、臨床現場で求められるものは、状況に合わせて実践できる応用力です。原理原則を徹底して学ぶことによりHow toを自ら導き出すことで、応用力が身に付きます。

根拠に基づき「自分で考えて、自分で判断して、自分で行動する」ことで、看護力が伸びる土台ができるものと考えます。

本学科で主に看護実習を行う横浜市立大学附属2病院は、先端医療を行っており、次々と新しい知識や実践が求められます。How toだけでは対応できません。ここは未来の看護に求められる力を身につけ、リーダーシップを持った看護師が育つ環境だと思います。

感染看護の専門看護師は全国で15名。市大からも多く送り出したい

現在、感染看護分野における専門看護師は全国で15名しかおりません。一県や一地方に、たった一人といった割合です。なぜこんなにも少ないかというと、専門看護師へのハードルは高く、大学の4年間を終えた後、臨床現場で3年以上の専門分野の経験を積み、さらに2年間大学院(CNSコース)で学んでからしか試験を受けることができないからです。合格しても5年ごとに資格の更新をしなければならず、専門看護師として在りつづけることも容易ではないのです。

それに、感染看護専門看護師教育課程を有している教育機関は全国に10校しかありません。その中の一校が横浜市立大学なのです。私としてはここからできるだけ多くの専門看護師を送り出していきたいと思っています。

(2012.10.29更新)

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