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HOME > 教員からのメッセージ − At the Heart of YCU > 最先端ゲノム解析の分野で、難病の原因となる遺伝子を解明しています -  松本直通教授

最先端ゲノム解析の分野で、難病の原因となる遺伝子を解明しています -  松本直通教授

2万個の遺伝子を一気に解析することができる時代に

私たちは、遺伝的な背景が強い病気について、その原因遺伝子を同定する研究を行っています。

今は、人の全遺伝子・全ゲノムがおよそ10日で解読できる時代となっています。2005年くらいから次世代シークエンサーと呼ばれるこれまでの常識を覆すような高出力型の機械ができました。これまで遺伝子を一つずつ解析していましたが、この機械を使うとヒト全遺伝子2.2万個を一気に解析できるようになります。

私たちの研究チームは全国に5班ある次世代シークエンサーの難病研究拠点の1つ※に選ばれています。これまでに病気の原因遺伝子を10個以上発見し、さらに多数の原因遺伝子が見つかりそうな状態ですが、若い時は「研究者として原因遺伝子を10個くらい発見したら引退だろう」と思っていました。

松本直通(まつもと・なおみち)
医学群 教授
(学部)医学部医学科
(大学院)医学研究科医科学専攻
遺伝学。数々の疾病の原因遺伝子を特定した成果は米国の科学雑誌『American Journal of Human Genetics』『Nature Genetics』などに掲載されている。 研究者情報

最近では、遺伝性の「難治性てんかん性脳症」「コフィン・サイリス症候群」「新型エーラス・ダンロス症候群」などの原因遺伝子を同定しました。また重症型もやもや病の遺伝的背景について明らかにしました。

※厚生労働省が平成23年度より取り組む「次世代遺伝子解析装置を用いた難病の原因究明、治療法開発プロジェクト」の拠点研究班に、松本直通教授のチームが選ばれています。

原因遺伝子の発見は極めて重要なステップ

原因遺伝子を発見することは、その病気の発症メカニズムを解き明かすプロジェクトの鍵となるステップです。症状を抑えるための対症療法や根源的な治療法を開発することに繋がっていきます。現在知られているヒトの病気は約7000種類程度あり、その半分はまだ解明されていません。これらの原因不明の難病にかかっている患者さんは少なからずいらっしゃいます。そういう患者さんやそのご家族は、原因がわからず大きな不安をかかえたまま、長い年月を過ごしていらっしゃいますが、病気の原因が解明されることで長年の不安について明快な答えを提供することができ、将来的には症状緩和や治療の可能性もあるため希望を提供することが可能です。

私は元々、産婦人科医をやっていたのですが、医者になって4年目くらいに胎児の出世前診断に携わったことがきっかけで、遺伝学に興味を持ちました。私の世代の医学部では十分なヒトの遺伝学教育がなされていませんでした。しかし実際の現場では実践的で高度な知識が求められていました。そこで、遺伝学について深く学ぼうと大学院へ入り、今もその研究を続けることになりました。

大学院卒業後は、医療系ベンチャーへの就職という道も

私の研究室には、さまざまなタイプの人が集まっています。医師活動の過程で遺伝子の研究に興味を抱き、あらためて学ばれている方、さらには医学部出身でない理系出身の学生さんなどです。

医学系研究の道はこれまでの大学等の教員ポストを目指す道以外に、最近では、医療系のベンチャー企業へ就職するなど、多様化しつつあるようです。特に私たちのところでは世界的なレベルで先端ゲノム研究を推進していますので、学生時代の研究内容の実績が買われて就職する学生もいます。

市大では、医師の方は臨床遺伝専門医の資格が取れるシステムが動いています。我々の研究室では毎日遺伝学についてディスカッションができる環境なので、4年もいれば遺伝学については相当な知識が身に付きます。遺伝子やその解析法、研究手法について高いレベルの理解力を得ることが可能です。

研究は自由度が高い分、自分自身で意欲を持つことが大切

私は、研究者は医者よりも精神的に自由度が高い職種だと思っています。自分自身で仕事のコントロールができるからです。加えて、常にインターナショナルな仕事ができ、医学研究の実績を積み上げていくことができます。自由でおおらかな人は向いていると思いますし、ユニークな人でも人嫌いな人でも大丈夫でしょう。しかし、その分、自分自身の研究への意欲が大切になってきます。

今、教育にはお受験に代表される、お膳立て文化が蔓延していると感じているのですが、特別なことはしなくても出てくる人は出てきます。自分でこだわりを持って取り組み、自分で何か新しいものをつかむことが大切なのです。

私は「本人の達成感で個人の幸せ度が決まる」と考えているのですが、自分で考え行動した経験が、その人の一生を支える価値になるはずです。人から言われてやるのではなく自分で考え実行に移し毎日を着々と歩んでいける研究者は、オリジナリティーを生み出せると思います。そういう人材がたくさん日本に育っていってほしいと思います。

(2012.6.15更新)

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