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HOME > 教員からのメッセージ − At the Heart of YCU > 未来の発展に大きな可能性を秘めたカーボンの研究は面白い - 橘勝教授

未来の発展に大きな可能性を秘めたカーボンの研究は面白い - 橘勝教授

新エネルギー「燃料電池」の可能性を広げるカーボンナノウォール

私たちの研究は、原子や分子が規則正しく並んだ構造体、いわゆる「結晶」の作製とその新規物性の探索です。

中でも、私たちの取り組んでいるカーボン(炭素)系の研究は、未来材料として世界的にもトピックスとなっています。例えば、ダイヤモンドや鉛筆の芯に使われるグラファイトは、同じ炭素原子からできているのですが、色、形、値段も全然違いますよね。このように炭素原子からなる物質は、バラエティに富んでいて、まだまだ新しい物質が発見される可能性があります。


橘 勝(たちばな・まさる)
国際総合科学群 教授 (材料科学、固体物理)
(学部)国際総合科学部理学系物質科学コース
(大学院)生命ナノシステム科学研究科ナノシステム科学専攻
カーボンナノウォールを用いた燃料電池用白金触媒電極の開発は、米国科学雑誌「Journal of Applied Physics」(2011年11月15日)にハイライト論文としても紹介された。
研究者情報   授業シラバス 

その中のひとつが、カーボンナノウォールと呼ばれる新規ナノ物質です。カーボン系の物質の中でも、非常に面白い性質を持っています。発見当初から電池などへの応用を提案していたのですが、その応用研究も私たちの研究室で始めることになりました。その結果として、次世代のエネルギー「燃料電池」へ応用できることがわかり、新聞などの多くのメディアで取り上げられました。

燃料電池自体はコストさえかければできるものです。酸素と水素を使い、廃棄物は水だけなので、クリーンなエネルギーとして期待されています。しかし、その燃料電池をつくるには、高価な白金つまりプラチナが触媒として必要なのです。今回取り上げられたのは、私たちのカーボンナノウォールを利用すれば、少量の白金でも燃料電池がつくれる可能性があるという論文です。さらに、この研究がうまく進めば、燃料電池開発のベンチャーの立ち上げも可能になるかもしれませんね。

学生も研究者として、世界視点でトライしていくことが大切

学生を指導する上で、物の見方や考え方については、特に重視しています。研究者としてだけでなく社会へ出てからも、難題に直面したときにそれをどうやって捉え、解決していくかが大切です。

学生は、頭の柔らかいうちに必要な論理の組み立てを身に付け、柔軟性の中で知識を積み重ねるべきだと思います。また、学生には、若さゆえに怖いもの知らずで、何事にも挑戦できる体力と気力があるはずです。そこで、なるべく学会や国際会議で発表するように促しています。申し込むときはオーラル、つまり演壇に出ての口頭発表を申し込むように言っています。最初から展示のみへの参加は認めていません。国際会議には年に一人1回ぐらいは行かせています。

そして、学生には、日本の中の1研究室ということではなくて、世界の中の1研究室として何をやるべきかを常に意識させています。どの研究も世界基準です。当然論文も英語で書かないといけないので英語の勉強も必要ですが、そんなことより遥かに重要なことは良い研究をすることです。英語が多少下手でも、良い研究ならば外国の人も一生懸命聞いてくれます。上辺だけのプレゼンテーションの技法ではなく中身で勝負してもらいたいです。

そのためか、今は就職氷河期といわれていますが、うちの学生の就職状況はかなり良いと思います。実際、世の中には物質系メーカーが多いこともあり、需要があるようで、多くの学生が大手企業に就職していますね。

これからの研究には、物理・化学・生物・数学全ての知識が不可欠

研究の世界にも流行廃りがあり、20世紀は物理帝国主義みたいに言われていましたが、21世紀に入り今は生命科学や医学の分野にトピックが流れています。しかし、視点はそれほど変わりません。世間的には、物理、化学、生物などに分かれていますが、基礎的なところは共通しています。物理が嫌いだから生物をやるというのは大きな間違いです。

今の時代でこそ、生物の研究をする上でますます物理が必要になっています。事実、化学や物理の視点から生命を解き明かす時代になってきています。いろいろな分野から多角的にモノを見ることは大切ですし、新しい研究を行っていくためにもとても重要なことです。

高校までは答えがあるものしか解いていませんよね。大学からは、答えの無いものにトライします。その学びのスタイルは、大きく違ってきます。もともと小学生ぐらいまでは科学に興味のある子が多いのに、中学、高校と問題を解かされていくうちに嫌いになっていく子も多いようです。

大学では、科学本来の醍醐味が味わえます。もともと興味のあった科学に、ぜひ突き進んでください。最近は学生の理科離れが叫ばれていますが、21世紀も世界が発展していく上で、科学の力は不可欠ですし、大きな役割を担う分野ですから。

(2012.5.18更新)

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