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【開催概要】市民講座「ラクトフェリンの内臓脂肪低減効果の発見と機能性食品としての実用化」

2017.02.10
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「ラクトフェリンの内臓脂肪低減効果の発見と機能性食品としての実用化」

平成29年2月10日(金)開催概要

講師 :村越倫明(横浜市立大学客員教授/ライオン株式会社研究開発本部生命科学研究所 所長)

今回は、「ラクトフェリンの内臓脂肪低減効果の発見と機能性食品としての実用化」と題して、横浜市立大学客員教授・ライオン株式会社研究開発本部 生命医科学研究所 所長である村越 倫明氏が講演を行いました。
講演に先立って、本講演を監修した平野 久特任教授から、村越氏についてこれまでの共同研究における取組を含めて紹介されました。その後の村越氏の講演では、会社概要から現在までに取り組んできた生活習慣病・QOLの研究開発について説明した上で、機能性食品事業におけるラクトフェリン研究の解説を行いました。ラクトフェリンは母乳から見つかった多機能タンパク質で、生体調節機能(感染防御・免疫力の向上・鉄の吸収促進)を有しています。このラクトフェリンの持つ歯周病に対する予防効果を研究する過程で、ラクトフェリンがメタボリックシンドロームの原因である、内臓脂肪を低減する効果を持つ可能性を発見しました。その作用を踏まえ、胃で分解されず、腸まで届く加工技術(腸溶性)を導入した結果、腸溶性ラクトフェリンは血中の総コレステロール濃度の上昇を抑制する効果があり、特に悪玉コレステロールに対する抑制効果が強いことが分かりました。加えて動脈硬化予防効果が認められ、脳梗塞や心筋梗塞といった循環器系疾患の予防にも、効果的な機能性食品であることが期待されています。それらの研究成果を元に、「機能性表示食品」の消費者庁届出番号A1としてラクトフェリンを世に送り出した経緯についても解説を行いました。講演の最後には、今後も更に人々の健康寿命に貢献できるよう、研究を進めていきたいと締めくくりました。

質疑応答では、非常に多くの質問が寄せられました。受講者の方からは「ラクトフェリンの実用性を知ることができました」「ラクトフェリンの効果を試したいと思いました」「研究から商品化までのプロセスを興味深く理解できました」というご感想をいただきました。
今後も当センターの研究成果情報を講座やWEBサイト、広報物等を通じて皆さまに公表していきますので、何卒よろしくお願いいたします。
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