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「身近に迫る危険ドラッグ〜その実態と身体的影響」を開催しました

2014.12.12
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「身近に迫る危険ドラッグ~その実態と身体的影響」を開催しました

横浜市立大学地域貢献センターと保健管理センターは、エクステンション講座「身近に迫る危険ドラッグ~その実態と身体的影響」を12月12日(金)、金沢八景キャンパス第I講堂で開催しました。
神奈川県警察本部で薬物取締に長く関わっていらした志水佳比古さんと依存症の治療にあたってきた附属病院児童精神科青山久美助教による講演に、70名あまりの受講者が熱心に耳を傾けました。
会場には、危険ドラッグに関するいろいろな資料も展示されました。

薬物乱用の恐ろしさとその実態、正しい知識について

講師:志水 佳比古(神奈川県警察本部刑事部組織犯罪対策本部薬物銃器対策課)

神奈川県警察の志水さんからは、多くの麻薬取締の現場経験から、違法薬物がなぜ怖いか、どうしてやめられないか、というお話がありました。検挙する犯罪の中で、薬物の犯罪は一番多いそうです。タバコやアルコールと違法薬物との違いは、社会生活ができなくなることで、どんなに社会的地位があろうと良識があろうと、一度経験するとその体験がフラッシュバックし、自ら求めてしまう—そのいろいろな事例に受講者は聞き入っていました。危険ドラッグは違法薬物の成分が検出されないと薬物乱用で検挙できないため、その後の更生が難しいとも。
「危険ドラッグ等に走るのは、その人の弱いところが原因。誰しも持っているものなので、『まわりの人に頼る』『自分自身の元気・やる気・根気・勇気の4つの気を育てる』ことが手を出さない方法であり、また、関わってしまったら『医療機関での治療』『警察への通報』を行うことが大切」とのことでした。
最後に「薬物乱用(犯罪)の無い明るい平穏な社会にするためには、教育、法律、検挙についてしっかり考え取り組んでいかなければならない。自分の健康、家族の健康、仲間の健康に気を付けて、日々の生活を送ってください。」というメッセージがありました。

危険ドラッグはなぜ『危険』なのか~依存性物質が脳や精神、行動に与える影響~

講師:青山 久美(横浜市立大学学術院医学群 附属病院児童精神科 助教)

青山助教からは、危険ドラッグの治療にあたった経験から、身体的影響、依存症の解説が行われました。
「危険ドラッグは2012年から若者を中心に急激に患者数が増えました。次々と指定されていない成分を加えたものが出てきているため、その作用・症状・影響の実態はつかみ切れていません。成長期に中枢神経系が侵されてしまうだけでなく、薬物中心の生活をすることによって、通常の社会生活から学び、育つという経験ができなくなってしまうため、その後の人生に非常に大きな影響を及ぼすことになります。未成年者のタバコなどもゲートウェイドラッグといって、違法なことへの抵抗がなくなり、薬物につながる危険性もあります。」と、実際の患者さんの事例の紹介がありました。
最後にまわりの人はどのように支援すればよいか、傾聴や動機づけ、医療機関や自助グループへの紹介、家族を支えることなどについてのお話がありました。
薬物依存は「治癒」しないが「回復」「成長」はできるという講師の言葉が受講生の心に残りました。
受講生から講師のお二人への質問で終了しましたが、その後も講師への質問や受講生同志の会話などが長く続いていました。

受講者の声から

「講演者の熱意が伝わる良い講演でした。具体的なお話で分かりやすかった。」
「現在、自分のまわりには該当者がいないが、手を出しやすい現代ですので、ぜひ知識は求めたかった。」
「精神論だけでなく、科学的根拠を合わせて聞くことで、より危険性、毒性を知ることができました。また、報道されていないさまざまな事象を知り、他人事だと思っていた危険ドラッグが非常に身近に迫ってきたように感じています。」
など、受講者からたくさんの感想が寄せられました。

(2014.12.19 地域貢献センター)
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