先端医科学研究センター先端医科学研究センター
search

循環器・腎臓内科学 大澤助教が日本高血圧学会Young Investigator’s Award最優秀賞を受賞しました!

2014.10.30
  • TOPICS
  • 研究

循環器・腎臓内科学 大澤助教が日本高血圧学会Young Investigator’s Award最優秀賞を受賞しました!

循環器・腎臓内科学 梅村 敏教授が会長をつとめる日本高血圧学会の第37回総会が、平成26年10月17日~19日にパシフィコ横浜で開催されました。附属病院腎臓・高血圧内科 大澤正人助教が「受容体結合因子ATRAP/Agtrapを介した腎尿細管機能制御と血圧調節」の研究成果により、Young Investigator’s Award (YIA)最優秀賞を受賞し、10月18日に開催された総会にて授賞式が行われました。
この賞は独創的な研究の奨励と若手研究者の育成を目的としており、国内で行われた高血圧学に関する研究でこの1年間に発表された優秀論文のfirst authorで40歳未満の個人に贈られるものです。
日本高血圧学会は、1978年に金子好弘氏(本学名誉教授)によって創設され、高血圧を中心とする研究、啓蒙活動、学術集会の開催、ガイドライン策定などを通じて国民の健康増進に大きく寄与してきた学会です。
今回受賞の研究内容の一部は、Kidney International(国際腎臓学会誌)の9月号に論文発表として掲載されました(Ohsawa M, Tamura K, Wakui H, et al. Deletion of the angiotensin II type 1 receptor-associated protein enhances renal sodium reabsorption and exacerbates angiotensin II-mediated hypertension. Kidney Int. 2014 Sep;86(3):570-81. doi: 10.1038/ki.2014.95.)。

循環器・腎臓内科学田村功一准教授、涌井広道助教、大澤正人助教らの研究グループは、今回、腎尿細管において高い発現が認められるATRAP/Agtrapの機能的意義に着目し、標的遺伝子組み換え法により全身性にATRAP/Agtrapを欠損させたATRAP/Agtrap欠損マウスを作成いたしました。そして、生体においてATRAP/Agtrapの欠損が受容体情報伝達系の生理的活性には影響を与えない結果、臓器の形態形成や生理的循環機能制御などには変化がみられない一方、慢性的な病的環境下での受容体情報伝達系過剰活性化による循環制御異常(高血圧や関連の臓器障害など)が増悪することを明らかにしました。
研究グループはこれまでの研究において、ヒトの慢性糸球体腎炎(IgA腎症)においても正常者では高発現が認められる腎尿細管でのATRAP/Agtrapの発現が、腎障害の進展にともない減少していく減少がみられることを明らかにしています。これらの結果は、腎尿細管でのATRAP/Agtrapが生体において慢性の病的刺激環境下での高血圧や腎障害を抑制しうる内在性の新規システムとして機能している可能性を強く示唆する成果と考えられます。

なお、本研究成果の一部について、大澤助教が本年6月13日~16日にイタリア、アテネで開催された第25回国際高血圧学会/第24回欧州高血圧学会(ISH/ESH 2014 - 25th Scientific Meeting of the ISH (joint with ESH))にて報告を行い、The New Investigator Committee Poster Award, Finalistに選出されました。

※本研究成果は、厚生労働省「循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業」、日本学術振興会、日本老年医学会、ソルト・サイエンス研究財団などの研究助成によるものです。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加