教員地域貢献活動支援事業 令和6年度(2024年度)実施課題
地域実践研究
各年度について学内公募により実施課題を募集し、学内審査により実施課題を決定しています。
令和6年度は8件の課題に取り組みます。
日常歩行データと手軽な電気刺激を組み合わせた地域高齢者向けの簡単で効果的な健康寿命延伸戦略の開発と街づくりにおけるその実装
【代表教員】
西井 基継 講師 医学部 救急医学
【相手先】
医療法人豊樹会 西井クリニック
よこはま港南台地域包括ケア病院
社会福祉法人 若竹大寿会
株式会社MTG
【概要】
転倒や疾病に関わる高齢者虚弱「フレイル」の予測予防と進行軽減は、地域救急医療体制の維持に重要な課題です。最近、日常歩行データを収集解析できる靴「スマートシューズ」や運動の継続が困難である場合の簡便な筋力維持として家庭用電気刺激「EMS」が開発されており、本研究では、横浜及び近隣地域の高齢者を対象にスマートシューズとEMSの健康寿命延伸における有用性を明らかとし、安心安全に暮らせる超高齢社会に対応したまちづくりを推進します。


未来につなぐ持続可能な街を目指した「ファンづくり」-領域横断的アプローチによる地域連携の実証研究-
【代表教員】
柴田 典子 教授 国際商学部・国際マネジメント研究科
【チーム構成(学内)】
有馬 貴之 准教授 国際教養学部
陳 礼美 教授 国際教養学部
黒木 淳 教授 国際商学部
【相手先】
横浜中華街発展会協同組合
【概要】
日本最大かつ東アジア最大の中華街である横浜中華街を対象として、持続可能な街づくりを目指した多面的な「ファンづくり」のあり方を検討し、実証研究を行います。国際商学部、国際教養学部の4ゼミでチームを組んで、マーケティング、観光、消費者行動、高齢者福祉、会計による領域横断的な研究体制を構築し、横浜中華街発展会協同組合と連携して取り組みます。
方法として、データ活用による統計的アプローチと質的研究アプローチを行います。地域との連携および領域横断的アプローチによる相乗効果とソーシャル・イノベーション創出の機会となることが見込まれます。






持続可能な地域医療提供のための医療機能戦略と人材確保・育成のプログラム開発
【代表教員】
原 広司 准教授 国際商学部
【チーム構成(学内)】
後藤 隆久 教授 医学部麻酔科学
稲森 正彦 教授 医学部医学教育学
黒木 淳 教授 国際商学部・データサイエンス研究科
田中 利樹 附属病院医療経営アドバイザー
山村 智和 特任助教 国際マネジメント研究科
【相手先】
地域医療連携推進法人 横浜医療連携ネットワーク
【概要】
国および自治体の財政状況がひっ迫する中で、地域医療を担う病院の経営判断は複雑化し、高度な戦略の構築、マネジメントの実施が求められている。また、地域医療の需要や供給に関するデータは十分に活用されておらず、エビデンスに基づくマネジメント(EBMgt)も進んでいない。そこで本研究では、データを活用した地域医療の需給推計の実施、医療経営人材の確保・育成の実態調査およびプログラム開発・実施を行う。これらにより、地域医療を担う病院の経営力を高め、持続的な地域医療の実現に貢献する。



横浜市在住の食物アレルギーのある中学生と食の専門家が健康な身体づくりを共に目指す「つくる人と食べる人をつなぎ支えるマルシェ」の開発
【代表教員】
橋本 美穂 講師 医学部看護学科
【チーム構成(学内)】
佐藤 朝美 教授 医学部看護学科
【相手先】
よこはまアレルギーラボ
【概要】
横浜市在住の共働き世帯における食物アレルギーのある中学生は食の選択・摂取を自ら判断する機会が多いことから、アレルゲンの誤食リスクが高い。このリスクを予防する支援体制の構築が課題である。横浜市立大学とよこはまアレルギーラボが連携し、横浜の食の専門家と共に「つくる人と食べる人をつなぎ支えるマルシェ」を開発する。食物アレルギーのある中学生が支援を通じて、主体的に健康な身体づくりを目指す。



能登半島地震の応急対応・被災者支援の取組みと課題を反映させた横浜型事前復興まちづくりの推進
【代表教員】
石川 永子 准教授 国際教養学部・都市社会文化研究科
【チーム構成(学内)】
鈴木 伸治 教授 国際教養学部
後藤 寛 准教授 国際教養学部
【相手先】
横浜市都市整備局、横浜市総務局、横浜市建築局、横浜市中区
住みよいまち・本郷町3丁目地区協議会
【概要】
令和3~5年度に本事業で実施した横浜型事前復興まちづくりの成果を活かし、横浜市を中心とした自治体やまちづくり協議会と連携して実施する。新たな視点として、
①災害対応の観点から被災社会の課題を整理する。特に能登半島地震の対応で神奈川県内で参考になる点を抽出し、災害対応と事前復興のつながりをつくる(横浜市が志賀町等に派遣した市職員への聞き取り等から)。
② ①をうけて、横浜市の特に木造密集市街地が抱える課題について市民の意識を知るため、3地区の住民へのアンケート調査を実施する。
③ ①②の知見を、現在すすめている「横浜型事前復興まちづくり」の活動や市職員等の研修に活かし(代表者は研修講師)、能登半島地震のリアルタイムな復興タイムラインに沿って、横浜市での事前復興の課題をワークショップ形式で検討し、その成果を反映させていく。また、GISやPLATEAU(次世代型3D都市モデル)等を活用した事前復興ワークショップの手法を探る。
④ ①②③の成果を、横浜市内の多くのまちづくりに取組む地域組織が活用できるような普及啓発資料や地域で取組むワークショップを自ら開催できるような教材として開発し、本学のエクステンション講座(年1回連続講座を開催)研究室のホームページ掲載等を通じて、広めていく。また、県内の半島部の地域など、能登半島地震に共通する地域でも、①~④の知見を活かし、事前復興の取組みを広げていく。
学生コンサルタントによる金沢区を拠点とする中小企業の経営課題の探索と改善提案:LINKAI横浜金沢で働くことの魅力のビジュアル化を目指して
【代表教員】
伊藤 智明 准教授 国際商学部
【チーム構成(学内)】
後藤 優 特任講師 研究・産学連携推進センター
石田 翔太 客員研究員 国際マネジメント研究科
【相手先】
特定非営利活動法人Aozora Factory
【概要】
本研究の目的は、経営学分野の学術的な知識に基づく経営実践への関与の一手法であるプロセス・コンサルテーションと質的心理学で提唱されているビジュアル・ナラティヴの手法を用いて、金沢区の地域課題の一つである「地域魅力の認知不足」の解決に寄与する示唆を得ることである。この示唆を得るために、本研究では、プロセス・コンサルテーションの手法を学んだ学生(横浜市立大学国際商学部)と、LINKAI横浜金沢に集積する企業で働く人びととの交流のための場づくりに取り組む。加えて、「金沢区で働くこととウェルビーイング」をテーマにした絵画の共同制作に取り組むことで、継続的な活動基盤を整備していく。




「リベラルアーツとしての都市経験」の学際的探究—「まち」を豊かに経験するリテラシーについて考える
【代表教員】
角田 隆一 准教授 国際教養学部
【チーム構成(学内)】
有馬 貴之 准教授 国際教養学部
【相手先】
TOKYO PHOTOGRAPHIC RESEARCH PROJECT
【概要】
地域文化の活力の減退や無個性化・均質化が叫ばれて久しい。そこに住まう/訪れる私たちは、それでも「文化的に豊かに生きる」ことはいかにして可能だろうか。本研究は、この切実な地域課題の解決の糸口を「リベラルアーツ」の観点を重視した都市空間経験に求め、そういった経験を切り拓き、そのリテラシーを若年層に育成していくような、新しい金沢八景の「ガイドマップ」の制作を試みる。それはもちろんよくあるような観光ガイドブックではない。社会学を中心としながら、様々な学問やアート文化実践の専門家と分野横断的にコラボレーションし、リサーチに基づいて進められていく特異な「地図」となる。これにより、持続的で本質的な金沢区の文化的魅力の“再発見(気づき)”に繋がることを願っている。






軽度認知障害(MCI)に直面する当事者の視点を活かした認知症予防につながるMCIへの対策プログラム構築への挑戦—若い世代との協働を通じて—
【代表教員】
佐藤 みほ 准教授 医学部看護学科基礎看護学
【チーム構成(学内)】
西井 正造 助教 先端医科学研究センター コミュニケーション・デザイン・センター
菅原 遥 研究補助員 先端医科学研究センター コミュニケーション・デザイン・センター
村田 尚寛 共同研究員 先端医科学研究センター コミュニケーション・デザイン・センター
【相手先】
横浜市富岡東地域ケアプラザ
【概要】
認知症患者の増加やそれに伴う社会的ケアの負担増大を背景に、認知症の効果的な予防は喫緊の課題とされている。本研究では金沢区、神奈川区、神奈川県葉山町との連携協働により軽度認知障害(MCI)に直面する当事者が主体となり地域の若年層とともに、科学的根拠に基づく簡便な MCI スクリーニングツールを実装した MCI への対策プログラムを作成する。MCI への早期介入策の充実、医療人材や保健福祉政策実践者、自治体と協働可能な研究者育成への展開を目指す。




