vol.1 温かみのある企業再生の戦略的な手法の研究を進めています 国際総合科学群経営管理論 准教授 芦澤 美智子(あしざわ・みちこ) vol.1 温かみのある企業再生の戦略的な手法の研究を進めています 国際総合科学群経営管理論 准教授 芦澤 美智子(あしざわ・みちこ)

経営への理解は、実践によって深まる

ゼミでは学生が自らの手で『会社』を運営します

 経営管理論は、社長のような経営管理者の立場から経営全般を見渡してとらえる学問で、広範な分野を扱います。ですから私のゼミでは、理論だけではなく、実践にも重点を置いています。
 その一つが、大学祭に出店するカレーやパンケーキの模擬店を、会社形態に見立てたプロジェクトです。学生たちは5人1組のチームを組んで、会社設立から事業計画立案、投資家募集、出店、決算監査、株主への配当まで一連の流れを自分たちで行いました。
 実際に第一線で活躍しているベンチャーキャピタル(投資会社)や会計士の助言を受けながら、彼らは事業計画を立て、自ら実行していきます。そのなかでは、生産管理や財務管理、組織行動やリスクマネジメントなど、経営管理論の様々な論点を横断的に扱う必要が出てくるのです。
 実践の中で理論を理解して、理論と実践を行ったり来たりすることは、経営管理論への理解を深めるには非常に効果的だと考えています。


どんどん外に出て、いつかは社会に貢献できる人に

 横浜市立大学に来てまず気付いたのは、少人数教育が徹底していることです。ゼミの人数は1学年10人単位。学生の授業参加へのモチベーションを高く保ち、教員から一人ひとりにきちんとフィードバックを行うことが可能です。
 もう一つは、学生がとても元気なことで、勉強に対するエネルギーも、すごく感じます。日本に元気がないと言われていますが、ベンチャー企業や社会起業家は元気ですし、若い人たちが世の中に出て行けば、これまでと違う新しい時代が来ると思います。
 「どんどん外に出なさい。世界は広いのだから、いろんな経験をしなさい」
 これは、私が大学時代に恩師から受けた言葉です。20歳のときゼミ合宿で台湾に行くまで海外に出たことも飛行機に乗ったこともない私ですが、「社会に出て活躍し、世の中の問題を解決し貢献できる人になりなさい」という言葉をシャワーのように浴びせられて、考え方も大きく変化しました。
 「外に出なさい」という同じ言葉を今、私は学生の皆さんに伝えています。大学で勉強しながら、人間関係など社会人としての土台を築き、社会でもインターンやNPOなどで様々な経験を積んでいく。東京にも世界にも近い横浜は、それができる場所なのです。

[My Favorite]
 学生にも薦めているのが、フェイスブックのCOO(最高執行責任者)であるシェリル・サンドバーグ氏の著書『LEAN IN』(リーン・イン) です。彼女の一つ一つの言葉には学術的な裏付けがあり、将来を変えていくのは私たち一人ひとりだという勇気を与えられます。
 「キャリアははしごではなく、ジャングルジム」と彼女は言います。けっして一本道ではなく、時には横に行ったりしながら上を目指していく。それは私も実感してきたことです。リーダーを目指す人や、男子学生にもぜひ読んでいただきたいですね。