子宮内膜症・深部内膜症について

子宮内膜症・深部内膜症の疾患情報

子宮内膜症は生理がある女性の10人に1人にあるといわれる頻度が高い疾患です。子宮内膜症により月経困難(生理痛)、過多月経(出血量が多い)、不妊症、月経時以外の下腹部痛、性交時痛、排便痛、吐き気などの症状が起こり、まれに癌化もあるとされています。
子宮内膜症の治療は低用量ピルやジエノゲストなどのホルモン治療がまず行われますが、ホルモン治療でも症状が改善しないもの、妊娠希望があるためホルモン治療が行えない方、癌の疑いがある方に対しては手術が行われます。
子宮内膜症の中には腸管や子宮周囲の靭帯など骨盤の奥に病巣が広がる場合があり、これらを深部内膜症といいます。深部内膜症は産婦人科医でも診断が難しい疾患ですが、当院は子宮内膜症を専門とする医師が在籍しており、正確な深部内膜症の診断に努めます。

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子宮内膜症の検査

MRI、超音波検査、採血、内診、問診票による症状診断。

子宮内膜症・深部内膜症の治療

卵巣腫瘍摘出術・付属器摘出術

卵巣に子宮内膜症の病巣がある場合には卵巣の子宮内膜症病巣を摘出します。患者さんの年齢、挙児希望の有無により卵巣・卵管ごと摘出するか、卵巣を温存して子宮内膜症病巣のみ摘出するか検討します。
卵巣を温存した場合でも内膜症病巣切除により卵巣機能が低下する可能性が近年指摘されており、のちの妊娠に影響を与える可能性があるため、当院では卵巣温存手術に際しては可能な限り卵巣にダメージを与えない術式を行う工夫しています。

深部内膜症手術

深部内膜症は骨盤深部の手術となり、非常に難易度の高い手術です。県内でも深部内膜症の手術を行っている施設は多くありませんが、当院では最新の腹腔鏡手術システムを用いてインドシアニングリーンを使用した深部内膜症病巣を行うなどの工夫など学会などで深部内膜症に関する多数の発表を行っています。
また、近年深部内膜症切除が体外受精まで含めた妊娠率を向上させるといった報告が増えており、不妊症の患者さんに対しては生殖医療センターの医師と協力して最善の手術ができるような体制をとっています。また、子宮内膜症手術は術後もホルモン治療などが必要となることもあり、術後もフォローもしっかり行っています。