乾癬 -原因と診断、治療について-

乾癬の疾患情報

銀白色の鱗屑(皮膚の粉)を伴う境界明瞭な盛り上がった紅斑が全身に出る病気で、慢性の経過をとります。慢性の機械的な刺激を受けやすい頭部、肘・膝、臀部、下腿伸側などに出来やすいと言われています。爪の変形や関節炎を伴うこともあります。

乾癬の原因についていろいろな研究が進んでいますが、まだ解明はされていません。乾癬になりやすい遺伝的素因があると言われています。遺伝的素因に様々な環境因子(不規則な生活や食事、ストレス、肥満、感染症、特殊な薬剤など)が加わると発症すると考えられています。

乾癬は、他の人にうつることは絶対にありません。
乾癬には、尋常性乾癬、乾癬性関節炎、滴状乾癬、乾癬性紅皮症、膿疱性乾癬などさまざまな種類があります。

乾癬の検査

確定診断のため、皮膚生検(患部の一部を取って、顕微鏡などで調べる検査)を行います。
乾癬の患者さんは普通の方よりメタボリック症候群を合併し易いと考えられていますので、血圧測定やコレステロールなどの脂質検査、糖尿病などの検査も行います。
関節症状の有無については、レントゲンやMRIなどの画像検査に加えて、当院リウマチ膠原病センターに受診して頂き、関節エコーなどを含む検査・診察をして頂きます。

乾癬の治療法

乾癬の治療には、外用や内服、注射剤、紫外線を使った治療などがあります。
外用薬のみではコントロールできないほど炎症が強い場合や、関節炎がある場合は、内服、注射剤を使用する全身療法が適応となります。

外用療法

ステロイド軟膏
ビタミンD3軟膏

内服療法

エトレチナート
シクロスポリン
メトトレキサート
ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬
ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬(関節症性乾癬のみ)
チロシンキナーゼ2(TYK2)阻害薬

注射薬(生物学的製剤)

抗TNF-α抗体製剤:点滴/皮下注射
抗IL-12/23p40抗体製剤:皮下注射
IL-17阻害薬:皮下注射
IL-23阻害薬:皮下注射
抗IL-36抗体製剤:皮下注射(膿胞性乾癬の急性症状のみ)

紫外線療法

紫外線は皮膚の免疫に関係する細胞のはたらきを抑制する作用があります。当科ではナローバンドUVB療法を行っています。