天疱瘡・類天疱瘡 -原因と診断、治療について-

天疱瘡・類天疱瘡の疾患情報

天疱瘡・類天疱瘡は、いずれも免疫が自分自身を攻撃してしまう自己免疫疾患の一つであり、自己抗体により皮膚や粘膜に水疱(水ぶくれ)やびらん(ただれ)、紅斑を生じる疾患です。

天疱瘡では、血液中に皮膚、口腔粘膜、食道などの粘膜の表面にある接着をつかさどる蛋白(デスモグレイン)に対する自己抗体(抗表皮細胞間抗体)が産生されてしまい、その自己抗体が蛋白の接着機能を抑えるため、水疱ができ、その水疱が簡単に破れてびらんが生じてしまいます。一方、類天疱瘡は、血液中に表皮と真皮の境となる基底膜部にある接着をつかさどる蛋白(BP180)に対する自己抗体(抗表皮基底膜部抗体)が産生され、表皮と真皮の接着が悪くなり水疱を作ります。

どちらの病気もどうして特定の人に自己抗体ができるのかははっきりしていません。

天疱瘡・類天疱瘡の検査

確定診断のため、皮膚生検(患部の一部を取って顕微鏡などで調べる検査)を行います。
血液検査では、天疱瘡では抗デスモグレイン1、3抗体を、類天疱瘡では抗BP180抗体を測定します。保険収載されている自己抗体が陰性となる症例もあります。

天疱瘡・類天疱瘡の治療法

天疱瘡、類天疱瘡の治療は、いずれも治療導入期と治療維持期に分けて考えます。
治療の第一選択薬は基本的には自己抗体産生の抑制を目的としたステロイドの内服になります。
ステロイド内服により治療効果が不十分と判断した場合は、免疫グロブリン大量静注(IVIG)療法、血漿交換療法などの追加治療を考慮します。

ステロイド内服
免疫グロブリン大量静注(IVIG)療法
血漿交換療法
リツキシマブ(天疱瘡のみ保険適応)
ステロイドパルス(保険適応外)
免疫抑制剤(保険適応外)