当院の取組み

がん診療 消化器病センター内科

肝細胞がんについて

肝細胞癌は肝臓原発の癌であり、世界では5番目に多く、癌による死亡は男性で2位、女性で6位である。中国は肝癌が世界で最も多く、年間約33万人が死亡し、B型肝炎がその最大原因である。日本では年間約3万名の方が肝癌で死亡しているがC型肝炎ウイルスがその最大原因である。C型肝炎ウイルスの排除が可能となり、今後は減少していく可能性が高い。しかしながら非アルコール性脂肪肝(NASH)からの発癌は急激に増加している。またC型肝炎のウイルス排除した後も線維化が進展している症例や高齢者からは発癌する場合があり、ウイルスを排除しても定期的な画像診断が必要である。

症状

原則として無症状である。 腫瘍が増大し10cm以上になると腫瘤をご自分で触れる場合がある。症状がでるのは癌から出血した場合には当然の腹痛とショック症状。また骨に転移すればほかの癌と同様に痛みを伴う。

診断

慢性肝疾患の方に対し、定期的に超音波でスクリ-ニングし、肝内に結節があれば、dynamic CT, dynamic EOBMRI、造影超音波で精査する。肝癌をもっとも早期に発見するのはEOBMRI肝細胞相であり、low signalである場合はすでに肝癌もしくは将来肝癌になる可能性が高く、3か月ごとに画像で経過をみていく必要がある。撮影したdynamic CT,またはdynamicをリファレンスにし超音波で同期させた融合画像を用い、EOBMRI low signalに相当する結節を超音波で同定し、血流評価・生検で肝癌の早期診断が可能である。早期発見、早期治療が可能になってきた。

病期  図を参照

病期病期

治療概要 図を参照

治療概要治療概要

治療実績

ラジオ波熱凝固療法

3cm 3個以下を対象。2000年から累積約 1,200例施行。

外科治療

全身状態がよく、完治可能な症例が対象。年間15名前後。当科では内科と外科が協力して治療にあたっている。内科を紹介されても外科でオペしていただくことがある(逆に外科に紹介されても内科治療をすることあり)。

カテーテル治療

多発し局所制御が不可能となったら肝動脈塞栓療法を施行する・もっとも適応範囲が広く、年間150-200例実施。

薬物療法

6年前から抗がん剤(分子標的薬 ネクサバール)の経口投与を施行中. 当科では累積180名に投与。癌の進行を少しでも遅らせる目的。

放射線治療

当科ではオペとRFAが困難な症例で、完全壊死を狙うために体幹部定位放射線療法を大船中央病院の放射線治療センターで実施している。最近2年間で30名以上の方の治療をお願いしている。

緩和医療

癌が進行した患者さんと相談しBest supportive careを行っている。

治験、臨床研究および先端医療情報

当センターでは治験として、
 
  1. 新たな分子標的薬のLenvatinib(登録終了)を局所療法の適応のない患者さんに投与する、
  2. Sorafenibが無効になった際に投与する治験、Tivantinib(登録中)、Regorafenib(登録中)
  3. RFAまたはオペ後の再発予防であるビタミンA誘導体であるペレチノイン(登録は終了)
    針を刺さないで肝癌を熱凝固壊死する集束超音波治療を研究中(現在装置を調整中)
  4. 医師主導の臨床試験として、進行肝癌症例へのsorafenib投与に対して、肝動注の先行投与の有用性の検討を多施設共同の前向き試験(OPTIMIS試験)で施行している(登録中)

補完代替医療(健康食品・サプリメントなど)

有効性のあるものは特定されてない。フイルターでいれたコーヒーは肝がんの出現を抑制するとの報告がある。

療養生活でのアドバイス

無症状の場合は運動の制限はない。むくみやすくなるので塩分をひかえたほうがよい。血清アルブミンが低下していれば分枝鎖アミノ酸製剤の内服(リーバクト、アミノレバン)の内服が有効である。

そのほか

超音波で肝臓の固さを測定可能なエラストグラフイーを導入し、肝臓の固さを定期的に繰り返し観察可能。固い肝臓から肝細胞癌が発生しやすいといわれている。

セカンドオピニオン

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