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診療科・部門案内

血液・リウマチ・感染症内科

自己炎症性疾患の診断と治療法について

疾患情報

周期的に炎症を繰り返す疾患群です。広義にはベーチェット病、成人スチル病、痛風などが含まれます。狭義には家族性地中海熱、最近ではVEXAS症候群などの遺伝子変異に関連する疾患が含まれます。
研究の進歩により次々に新しい疾患が発見されています。当科では16歳以上の自己炎症性疾患に対応可能です。
多い自己炎症性疾患はベーチェット病(全国で最大規模の約250人の患者さんが通院しています)、成人スチル病、家族性地中海熱、VEXAS症候群、PFAPA症候群です。その他Schnitzler症候群、WDR1欠損症、Aicardi-Goutieres症候群、慢性再発性多発性骨髄炎の診療経験があります。

症状・検査

1日から1週間程度の発熱、関節痛、皮疹、腹痛、口内炎などの症状が年に3回以上繰り返し起きます。感染症、悪性腫瘍、その他の炎症性疾患を除外する必要があります。
採血では炎症が起きている時にはCRP、白血球などの炎症所見が上昇しますが、炎症がない時には正常に近い値であることが重要です。自己抗体は陰性であることが多いです。
先天性の自己炎症性疾患である家族性地中海熱などいくつかの疾患では、遺伝子検査をすることが保険でも可能ですが、遺伝子診断で病名が判明するケースは成人では少ないです。
自己炎症性疾患の患者さんでは、受診されるときに症状が消えていることが多いです。
そこで、1ヶ月程度の毎日の体温測定(熱型の記録)、症状の記録(皮疹が出ている場合には写真で記録)をお願いしています。当科に受診される前に、熱型・症状、過去の検査所見などを持参頂けるとスムーズです。
ベーチェット病では採血した部位が腫れることがあります(針反応)。
成人スチル病では発熱時に淡い紅斑が出現します。
PFAPA症候群では発熱時に首のリンパ節が腫れ、口内炎ができます。
これらの症状も写真などで記録しておいて頂けると診断の参考になります。

診断

疾患毎に異なりますが、発熱、関節痛、皮疹、口内炎などの症状が繰り返されることと、採血上での炎症反応を確認することが診断に重要です。
家族性地中海熱ではコルヒチンという薬剤が効くことが診断に重要です。
遺伝子検査は成人の自己炎症性疾患の診断に必須ではありません。
VEXAS症候群では末梢血のUBA1という遺伝子の変異を調べることが必要ですが、保険適応でないため研究での検査となります。

治療法

多くの自己炎症性疾患ではコルヒチン、消炎鎮痛剤を使用します。
また、発作予兆時にステロイド15~20mgを頓服頂くことがあります。炎症が治まらない場合には免疫抑制剤を使用します。
ベーチェット病では抗TNF抗体インフリキシマブやアダリムマブ、PDE4阻害剤アプレミラストが保険適応です。
成人スチル病ではIL-6受容体抗体トシリズマブが使用可能です。
家族性地中海熱などの一部の疾患は特定疾患に指定されており、重症度によって医療費助成の対象となります。家族性地中海熱ではIL-1βの阻害剤であるカナキヌマブが使用可能です。

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