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診療科・部門案内

HIV診療チーム

基本方針

HIV診療チームはHIV感染症の治療を行うだけでなく、HIV陽性者が抱える様々な問題に対して
多職種からなるチーム医療を提供し、HIV陽性者のQOL向上を目指しています。

部門の概要

1985年に日本国内で初めてHIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染者が報告され、当院ではその翌年1986年からHIV診療を行っており、のべ700名以上のHIV感染患者を診療しています。HIV感染症の治療が確立する以前は、HIV感染症はいずれ後天性免疫不全症候群(エイズ:AIDS)を発症し、様々な感染症に罹ることで死に至る病でした。その後1995年に開始された多剤併用療法により、HIV感染者の予後は劇的に改善し、近年ではさらに診断技術や治療薬の向上によって、比較的早期に治療開始された症例ではHIV非感染者と同等の寿命を全うすることができると言われています。

しかしながら、HIV感染は未だに感染性の高い、必ず死に至る不治の感染症といった誤解が払拭されず、HIV感染者に対する偏見や差別が根強く残っています。そのためHIV感染者は感染が判明したことによるストレスを始め、家族やパートナー、職場への告知など人間関係の問題、HIV感染を契機に就業を継続することができなくなるなど経済的な問題を抱える方が少なくありません。このようにHIV診療はただ疾患を治療するだけでなく、様々なサポートを提供する必要が出てきます。

当院は2007年5月に神奈川県エイズ中核拠点病院へ選定されてから、神奈川県においてHIV診療の中心を担うべく医師、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー、カウンセラー、医事課地域連携担当職員で構成されたHIV診療チームを結成し、HIV感染者が抱える問題に多角的に取り組み診療にあたっています。2020年には院内の医療の質向上・安全管理センター管轄の組織横断的医療チームの一つとして公式にチーム化され、活動を継続しています。

実績

令和5年度HIV診療チームの実績の棒グラフ令和5年度HIV診療チームの実績の棒グラフ
※各年1月時点での通院患者数

令和5年度1年間で23名の新規患者が紹介されて
おり、現在300名を超える方が定期通院しています。

活動

毎月第4水曜日:HIVカンファランス
多職種による情報共有・各症例への対応検討
配布資料の作成・配布他
要請のあった医療施設を対象にHIV研修会の実施

年間スケジュール

5月:神奈川県医療従事者エイズ・HIV診療研修会
9月:首都圏ブロックエイズ治療中核拠点病院多職種・行政連携会議
   神奈川県HIVフォーラム
10月:エイズ症例研究会
11月:HIV感染者・エイズ患者の在宅医療・介護の環境整備事業 実地研修
12月:各ブロック都道府県・エイズ治療拠点病院等連絡会議
2月:歯科医療従事者のための感染対策講演会
(開催月は年度によって変わることがあります)

またHIV患者の受け入れにあたり事前にHIV感染症に関する講習をご希望される場合は
オンラインおよび出張研修会も実施可能となっています。

今後の課題

国内で新規に診断されるHIV感染者数はここ数年ようやく減少傾向にありますが、未だに多くの新規感染者が診断されています。HIV感染者は治療を受けて血液中のウイルス量が抑制されることによって、感染性がほぼなくなることが報告されています。つまりHIV感染者をいかに早期に診断し、治療につなげるかがHIV感染拡大予防に重要であると言えます。
当院に紹介されてくるHIV感染者は行政の行うHIV匿名検査だけではなく、様々な医療機関で診断されています。下記の症状や疾患はHIV感染者で認められることが多いとされています。このような患者を診察した医師の方は是非HIV検査の提出をご検討ください。またご自身でこれらの症状が気になる方は行政の行うHIV匿名検査の受診をお勧めします。もしHIVスクリーニング検査が陽性であった場合は当院までご紹介下さい。

また近年ではHIV感染者の予後が劇的に改善したことからHIV感染者の高齢化が問題となってきています。HIV感染者の高齢化に伴い、合併症が増加することでエイズ診療拠点病院以外の医療機関に受診する機会が増えてきています。ところがHIV感染を理由にがん検診や一般診療を断られるという事例が未だにあります。HIV感染症は長期生存が期待できる慢性疾患となった今、HIV感染症に対する誤解を解き、広く受け入れてもらえるように情報提供を行っていくことも本チームの使命だと考えています。