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腎臓・高血圧内科

末梢動脈性疾患(PAD)ー疾患情報と治療法についてー

末梢動脈性疾患(PAD)の疾患情報

「末梢動脈性疾患(PAD)は、足の動脈硬化が進んで動脈が狭くなり、血流が悪くなる病気です。これにより、酸素や栄養が足の先まで届かなくなります。脂質異常症や高血圧、糖尿病などの生活習慣病や、喫煙などがPADを起こす危険因子と言われています。慢性腎臓病(CKD)が進んでいる方はPAD になりやすく、日本で透析を受けている方の3人に1人がPAD になっていると言われています。
下記の表の通り、初期は症状が出にくいのですが、病気が進むと足が冷たくなったり、しびれたり、痛んだりします。さらに進行すると、足の皮膚が傷ついて潰瘍ができたり、ミイラ状になったりします。最悪の場合、感染症などをきっかけに生命をおびやかす状態になってしまうこともあり、手術で足や指を切断しなければならない例もあります。

PAD重症度 (Fontaine分類) 特徴的な症状
I度 無症状
II度 間欠性跛行(かんけつせいはこう): 歩き続けると足の痛みが生じ、止まって休むと痛みが改善する。
III度 安静時疼痛: 歩いていなくても足の痛みが出現する。
IV度 足に潰瘍・壊疽が出現する。

PADの検査

初期検査としては足関節上腕血圧比(ABI)測定が行われます。ABI は値が低いと下肢の動脈硬化病変は高度とされ0.8以下で閉塞部位が1か所以上、0.5以下で閉塞部位が2か所以上あるとされています。
PADが疑わしい場合は、さらに詳しく調べるため、造影CT検査、MRI検査、超音波検査、カテーテルによる血管造影検査などを行います。

PADの治療法

PADの治療には複数の診療科が協力しあうことが不可欠であり、当院でも診療科が協力しあいながら治療を進めています。
血液の流れをよくするための抗血小板薬の服用や、PADの危険因子になる生活習慣病の治療を行います。重症の場合には、血流を改善させるためにカテーテル治療や血行再建術を行います。
当科ではPADに対する治療のひとつとして、血液浄化療法(LDLアフェレシス)を行っております。
アフェレシスは、体から血液を取り出し、血液中の余分な物質を取り除いてから、再び血液を体に送り返す治療です。2021年より、Fontaine分類Ⅳ度の潰瘍を有するPAD患者を対象に、レオカーナ🄬という装置が保険診療で使えるようになり、レオカーナ🄬を用いたアフェレシス治療を当院でも行っています。
アフェレシス治療の対象になるかは、ほかの診療科とも検討して判断をいたします。