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三上雅史さんが日本育種学会優秀発表賞を受賞

三上雅史さんが日本育種学会優秀発表賞を受賞

生命ナノシステム科学研究科 生命環境システム科学専攻博士後期課程3年の三上雅史さんが、平成30年9月22日-23日に日本育種学会主催の第134回講演会で発表を行い、優秀発表賞を受賞しました。
なお、三上さんは平成28年第129回、平成29年第131回講演会においても優秀発表賞を受賞しています。
今回の受賞について三上さんにお話を伺いました。

講演内容
「NGをPAMとして認識する改変型SpCas9を用いた植物のゲノム編集」

 

第134回講演会日本育種学会では、植物のゲノム編集についての発表をしたとのことですが詳しく教えてください。

三上雅史さん(研究室にて)
今回の学会では、「NGをPAMとして認識する改変型SpCas9を用いた植物のゲノム編集」というタイトルで口頭発表を行いました。生物のゲノムを自由に改変できるゲノム編集技術の進歩が著しく、その中でもゲノム編集のツールの1つであるCRISPR/Cas9は昨今脚光を浴びています。CRISPR/Cas9を用いたゲノム編集では、ヌクレアーゼであるCas9がゲノム中のprotospacer adjacent motif (PAM)と呼ばれる配列を認識するために、PAM配列はターゲット配列を選択する際の制限要因となっています。現在、幅広く用いられているStreptococcus pyogenes由来のCas9 (SpCas9)のPAM配列は5’-NGG-3’ (N:任意の塩基) であるため、異なるPAM配列を有するCas9の探索やSpCas9の変異体の作出により、ターゲット配列の選択性を広げる試みが行われています。本研究では、東京大学 大学院理学系研究科 生物科学専攻の濡木理教授の研究室が開発した5’-NG-3’をPAM配列として認識する改変型SpCas9 (SpCas9-NG:*1) を用いて、植物の標的配列切断と標的配列部位にCからTへの塩基置換導入ができることを報告しました (*2)。

*1
Nishimasu H, Shi X, Ishiguro S, Gao L, Hirano S, Okazaki S, Noda T, Abudayyeh OO, Gootenberg JS, Mori H, Oura S, Holmes B, Tanaka M, Seki M, Hirano H, Aburatani H, Ishitani R, Ikawa M, Yachie N, Zhang F, Nureki O (2018) Engineered CRISPR-Cas9 nuclease with expanded targeting space. Science 361:1259-1262

*2
Endo M*, Mikami M*, Endo A*, Kaya H*, Itoh T, Nishimasu H, Nureki O, Toki S (2018) Genome editing in plants by engineered CRISPR–Cas9 recognizing NG PAM. Nature Plants https://doi.org/10.1038/s41477-018-0321-8
*These authors contributed equally 

今回の植物ゲノム編集の発表においてのポイントを教えてください。

野生型のSpCas9は、5’-NGG-3’をPAM配列として必要であるため、ゲノム領域の出現頻度の観点では、1/16しか標的にすることができませんでした。一方、SpCas9-NGは5’-NG-3’をPAM配列として認識するため、これまでの4倍の領域を標的とすることができます。そのため、標的配列の選択性の自由度を増加させることがいかに重要かを伝えるように発表内容を工夫しました。第129回、第131回の講演会に続いて、今回の日本育種学会でも受賞できたことは、今後の研究を行うためのモチベーションの向上につながりますので、より一層研究等を頑張りたいと思います。

YCU(生命環境システム科学専攻)を目指す、後輩や受験生・高校生に向けてメッセージをお願いします。

賞状
横浜市立大学では私が所属している農研機構(正式名称:国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構)の他に、理化学研究所や海洋研究開発機構等、多くの機関の研究室と連携しています。生命ナノシステム科学研究科では、授業のカリキュラムの中に、研究機関の研究者の講義を聴けるチャンスもあり、このような機会があることは横浜市立大学独自の良さだと思います。多岐に渡る専門分野の研究者と関わることは自身の研究の視野を広げることができるとともに、様々な視点から研究のアドバイスをもらうことができるため、研究の面白さを実感することができると思います。農研機構は、金沢八景キャンパスとは雰囲気は違いますが、こうした研究機関で研究を行うことは、将来、研究者を目指したい方にはとても魅力的な環境だと思います。また、横浜市立大学は他大学と比べて、学生数は少ないように感じることがあると思いますが、その分、教員の指導が密に行き届き、十分なサポートが得られるのも特色の1つです。

研究室指導教員 土岐精一先生からのコメント

ゲノム編集技術は、農業分野においても大変注目を集めている技術であり、世界的にとても競争率が高く、研究の独創性や新規性だけではなく、成果を短期間で出すためのスピードも求められる状況にあります。三上君は学部4年生(2013年)からこれまでに植物のゲノム編集の分野で様々な研究成果を出してきましたが、今回の賞を励みにして、より高みを目指し、植物科学の基礎と応用の発展に貢献できる研究者になることを心より期待しています。

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