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生命ナノシステム科学研究科・藤島志穂さん、日本質量分析学会ベストプレゼンテーション賞最優秀賞を受賞

未解明の負イオンの組成推定に挑戦!

日本質量分析学会ベストプレゼンテーション賞最優秀賞を受賞した藤島さん
本学生命ナノシステム科学研究科博士前期課程2年の藤島志穂さんが、令和元年5月15日(水)から17日(金)につくば国際会議場(茨城県つくば市)で開催された日本質量分析学会第67回質量分析総合討論会にてポスター発表を行い、ベストプレゼンテーション賞最優秀賞を受賞しました。
討論会では、これまで構造が不明とされていた質量20の負イオンに着目し、その組成をH4O-のように推定し、その生成機構について発表。構造が未解明であった負イオンの組成推定が評価され、今回の受賞に至りました。

講演題名
「大気圧プラズマ中に発生する負イオンH4O-の生成機構」
藤島


ふじしま
 志穂しほ さん

生命ナノシステム科学研究科 物質システム科学専攻 博士前期課程 1年
出身校:福岡県私立 西南学院高等学校
    横浜市立大学 国際総合科学部 理学系 物質科学コース
研究室:高山研究室(質量分析学)
※国際総合科学部理学系は、2019年に再編され理学部になりました。
藤島さんの研究は、質量分析学を用いて行われたものです。
質量分析学とは、原子や分子などの化学物質の質量を測定し、その質量から未知物質を同定したり、化学構造を推定したりする学問です。原子や分子は目に見えないとても小さなものです。これらは一般的な重力を用いた重量測定はできないため、一個一個の原子や分子を気体のイオンにして、真空中を運動させて質量を測定する必要があります。気体状のイオンにして得られた質量データを解析することで、新たな知見を得ることができます。質量分析学は原子や分子を介する全てのサイエンスと関連するため、医学や薬学、天文学や環境学、材料学など様々な分野で用いられています。

そんな質量分析学を駆使し、未解明の負イオンに注目した藤島さんに研究を紹介いただくとともに、研究のきっかけや発表に際して工夫したこと、今後の進路についてお話を伺いました。

<用語説明>
質量分析:
原子や分子の質量を測定する技術。具体的には、原子や分子等を何らかの方法で気体状のイオンとし(イオン化を参照)、真空中で運動させ、電磁気力を用いて質量と電荷数の比(m/z)に応じて分離・検出する技術。

イオン化:
質量分析における「イオン化」とは、試料分子または原子を気体状のイオンにすること。
イオン化法には、真空中でイオンを生成する方法と大気圧下でイオンを生成する方法がある。試料の物理化学的性質によって適したイオン化法を選択する。

これまでに未解明であった質量20のマイナスイオン。

— 研究内容を教えてください。

藤島:私の研究を一言で言うと、マイナスイオンの研究です。一般的に「マイナスイオン」として広く知られる言葉は学術的には「負イオン」と呼ばれ、大気中に存在する負イオンは非常に複雑な過程を経て生成され、存在しています。そのため現在でも未解明な点が多く、これらを解明することは大気環境学やイオンの化学反応にとって非常に重要となります。私は針に電圧をかけることで大気中の成分をイオン化し(※)、質量分析装置によって得られたデータを解析することで日々研究を行っています。今回の発表では、これまでに報告がなく通常では考えられないイオン(H4O-)に着目し、このイオンが何からできているのか、またどのようにできているのかについて考察した結果を発表しました。この研究は、負イオンに関する知見を深め、負イオン発生装置や空気清浄機などの性能向上に繋がるだけでなく、気象学や環境学、医学などの発展に役立つと考えています。

※「大気圧コロナ放電イオン化法」
針電極の大気圧コロナ放電により大気成分又は溶媒分子をイオン化して反応イオンを生成するイオン化法

あえて選んだ難しい道。誰も解明していないイオンを深く知りたいという好奇心。

高山研究室メンバーの集合写真。指導教員の高山教授(右から2人目)、関本准教授(右端)、藤島さん(右前列から5人目)

— どのような経緯でこの研究を始めたのでしょうか?

藤島:私はもともと「世の中の全てのものが原子や分子で成り立っている」ということに興味を持ち、物質科学コース(※)に進みました。その中でも質量分析学研究室はまさに、世の中のものを原子や分子レベルで測定しており、自身の興味と近い研究ができると感じて選択しました。実際に所属して研究を進めていくと、様々な物質を測定する上で基盤となる「大気負イオン」において未解明なことが多くあることが分かり、「負イオンについてもっと深く知りたい!」と感じたことから現在の研究は始まっています。学部で研究できる期間は約1年半と非常に短く、じっくり研究を行うには十分ではありませんでした。私は、このテーマに関する研究をより深く追求したいと思い、大学院へ進学しました。またこの研究の難しさは、前例のないことが多い未知な現象に出会うことだと思います。実験の進め方や考え方を、教授や准教授、他研究室など様々な方から助言をいただき、教科書や前例の常識に捉われず「何でもやってみること」を大切にすることで日々研究に取り組んでいます。

※物質科学コース
国際総合科学部理学系に設けられているコース。理学部ではコース制を採用していません。

ポスター発表は相手との “対話” 。聞き手の関心事を読み取って発表に生かす

— 発表に際して準備したこと、工夫したことを教えてください。

藤島:今回の発表で私が特に意識したのは “相手の立場に立って説明をすること” です。自分自身は研究内容についてよく知っていても、相手に理解してもらわなければ議論は進みません。ポスター発表のいいところは対話形式で自身の研究内容を伝えられることです。そこで私は、対話の中で相手の専門やバックグラウンドを把握して、自身の研究内容で相手が興味を持った関心ポイントを意識した発表をすることを心がけました。元気よく、自信を持って発表するのはもちろんのこと、「聞き手」を意識した発表が今回の受賞に繋がったと感じています。

研究開発員として食を通じて世界中の人々に幸せを届けたい

— 今後の進路を教えてください。

藤島:今回このような大変名誉ある賞をいただき、これまでご指導いただいた教授や先輩、また研究に協力してくれた友人など、関わる全ての人に感謝しています。今後はYCUで学んだ質量分析の知識や研究活動の中で培った思考力、研究計画立案・実行力などを活かし、食品メーカーの研究開発員として食を通じて世界中の人々に幸せを届けていきたいと考えています。

YCUを目指す受験生に向けてのメッセージ

金沢八景キャンパスのいちょう並木
藤島:YCUの魅力は主に2つで、【少人数制教育であること】【英語教育に力を入れていること】だと思います。特に理学部の研究室配属は、教授1人に対して学生が1~3人ほどと非常に少なく、生徒ひとりひとりに教授の目が行き届いており、とても恵まれた環境だと日々実感しています。また本学は国際的に活躍できる人材を養成するためのカリキュラムが設定されており、現在私が英語に抵抗なくグローバルに研究活動ができているのも、この大学のおかげだと感じています。受験勉強は大変だと思いますが、夢に向かって頑張って下さい!

指導教員の関本奏子准教授からのコメント



ベストプレゼンテーション賞 最優秀賞、おめでとうございます。

藤島さんは3年前(2016年)に当研究室に配属されて以来、私自身が本学の学生時代から継続している大気圧コロナ放電の基礎研究を行っています。研究テーマを決める際、「先生が“同定していない”イオンについて研究したい」とあえて難しい道に進もうという彼女の気概に感心しました。結果として、過去に全く報告のないイオンの同定に成功し、今回の受賞につながりました。今後はこのイオンの生成過程を考察していきます。非常に難解なテーマですが、彼女らしいアプローチで解明してくれることを期待します。

ヨコ知り!1問1答

藤島さんも数年前は受験生。受験生時代のことを1問1答でお聞きしました。

1.YCUをいつ知った?
高校3年生
 
2.なぜYCUを選んだ?
自分の学びたい学部があったため
 
3.試験前日の過ごし方は?
しっかり寝る

4.センター試験の結果はどうだった?
模試と変わらず・・・

5.試験当日のマストアイテムは?
時計、チョコレート

6.おすすめ参考書
最後は教科書

7.1番勉強した場所・時間帯
塾の自習室・放課後

8.試験当日の失敗談
当日は平気だったが、前日の下見の時に電車を間違えた
 
9.受験勉強中のリラックス方法は?
美味しいものを食べる

10.受験勉強中、よく聴いた曲は?
嵐「ファイトソング」

11.その当時の将来の夢は?
食品会社の研究開発職に就くこと
(2019/7/30)

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