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理系女子学生・郡さんの研究成果論文が国際学術誌「Structure」に掲載!

理系女子学生・郡さんの研究成果論文が国際学術誌「Structure」に掲載!

生命医科学研究科博士前期課程2年の郡聡実さんが主著者として執筆した論文が、学術誌「Structure」に1月10日(木)付で掲載されました。これは、タンパク質の立体構造観察手法を用いたDNA維持メチル化のメカニズム解明の研究成果について報告したものです。
 
論文
Structure of the UHRF1 Tandem Tudor Domain Bound to a Methylated Non-histone Protein, LIG1, Reveals Rules for Binding and Regulation
※掲載論文はこちらから
 
大学院博士前期課程の学生の論文が、このような国際学術誌に掲載されることは少なく、非常に高い評価を受けたと言えます。今回は郡さんにご自身の研究を紹介いただくとともに、今後についてお話を伺いました。
  

こおり 聡実さとみ さん
生命医科学研究科 生命医科学専攻 博士前期課程 2年
出身校:徳島県立城ノ内高等学校
    横浜市立大学 国際総合科学部 理学系 生命医科学コース
※学生の所属は、現行の学部・学系・コースとなっています。

生体分子レベルで生命の基本原理を知る。その一つであるDNAメチル化とは?

私は、タンパク質の立体構造を観察できる構造生物学的な研究手法を使って、「DNAメチル化」が継承されるメカニズムの解明を目指して研究しています。
DNAメチル化はDNAを構成するシトシン塩基に起こり、これにより遺伝子の働きが封印されます。DNAメチル化の入り方は細胞の種類によって異なります。これにより細胞は、固有の形やはたらき (形質) を持つことができます。このDNAメチル化が親細胞から娘細胞に受け継がれることで、細胞はその形質を維持し続けることができます。つまり、皮膚は皮膚のままですし、肝臓は肝臓のままでいられます。従って、DNAメチル化がどのように維持されていくかを研究することは生命の基本原理を知ることにつながります。



      

DNAメチル化の維持に必須の役割を果たすタンパク質UHRF1と相互作用因子LIG1に着目。地道な実験とデータ解析

DNAメチル化はゲノム情報(A,T,C,Gの塩基配列情報)と同様に、親細胞から娘細胞へ受け継がれます。近年、我々の研究室はこのDNA維持メチル化に必須の因子であるUHRF1が、複製因子LIG1によって複製サイトに呼び込まれることを報告しました。
UHRF1は「ペプチド結合溝」と呼ばれる領域を使って、ヒストンH3やUHRF1分子内のリンカー領域と相互作用します。これらの相互作用因子と比較して、LIG1は最も強い結合親和性を有しています。しかし、なぜLIG1がUHRF1と最も強く結合できるのか、またLIG1の結合によってUHRF1の高次構造がどのように変化するのか、その詳細は不明でした。そこで私は、UHRF1とLIG1複合体のX線結晶構造解析や、LIG1が結合したときのUHRF1の構造変化の解析に取り組み、構造生物学的な観点からLIG1によるUHRF1の複製サイトへの呼び込みの分子機構を明らかにしました。


      

DNA維持メチル化の新たなメカニズムの解析に成功。学術誌「Structure」に論文投稿!

私はこれまでの研究によってUHRF1とLIG1複合体のX線結晶構造解析に成功し、その詳細を国際学術誌「Structure」に論文投稿しました。
具体的には、立体構造情報をもとにした生化学的な解析や哺乳類細胞を用いた相互作用解析 (Pierre-Antoine Defossez氏) によって高親和性結合に重要な部位を同定しました。
さらに、X線溶液散乱や高速原子間力顕微鏡 (金沢大学バイオAFM先端研究センター) を用いた解析から、コンパクトで閉じた構造をとるUHRF1は、LIG1の結合によって開いたフレキシブルな構造に変化することを明らかにし、この高次構造の変化がUHRF1の機能を制御していることを論文内で示唆しました。この研究成果から、様々ながん細胞で高発現し異常な細胞増殖にも関与するUHRF1の機能を阻害するような薬剤の開発につながることが期待されます。

ヒトの身近にあるタンパク質の研究で生命科学に貢献できる研究者を目指す!

今後は、博士後期課程に進学を予定しています。タンパク質の「かたち」からその機能を理解する構造生物学は、生命現象の解明において重要な分野です。構造生物学という観点から生命科学研究に貢献できる研究者を目指し、研究活動を続けていきたいと考えています。

YCUを目指す受験生へのメッセージ

鶴見キャンパス
理学部では、3年次の研究室配属までに物理学や化学、生物学などを幅広く学ぶことができます。その中でも、特に生体分子に興味のある方にはぜひ鶴見キャンパスで私たちと一緒に研究を楽しんでほしいです。鶴見キャンパスでは、生命現象を原子レベルや分子レベルで解明し、創薬や再生医療につながるような基礎研究を行っています。研究施設も充実しており、研究環境としては非常に恵まれていると感じています。

指導教員の有田恭平准教授のコメント

構造生物学研究室有田グループ(前列右:郡さん、後列右、有田准教授)
よくやった!おめでとう!! 
 
 
Structure誌は構造生物学の分野では歴史と権威がある国際学術誌です。
本研究では郡さんが主体となって実験とデータ解析を行いました。博士前期課程の学生としては特筆すべき研究成果を挙げることができましたが、これは郡さんが常日頃から研究に真摯に打ち込んできたからであります。また、今回の研究を通して多くの研究技術や知識だけでなく、様々な研究者との出会いもありました。タンパク質1分子の動きを観測する高速原子間力顕微鏡の測定では、金沢大学の古寺哲幸准教授の指導を仰ぎ、新しい構造解析の技術を修得できました。この研究プロジェクトを一緒に立ち上げたフランス国立科学研究センターのPierre-Antoine Defossez氏からは、英語での学術論文作成のテクニックを学ぶことができました。こうした研究者との繋がりも大切にしつつ今後も研究に励んでいただきたいと思います。
郡さんは博士後期課程に進学予定ですが、今回の研究成果をステップにしてさらなる飛躍をされることを期待しています。横浜市立大学の後輩を牽引していく素晴らしい成果を挙げられることを願っております。


生命医科学研究科構造生物学研究室有田グループ
生体分子(タンパク質、タンパク質複合体、タンパク質-DNA複合体)の立体構造を精密に決定し、その立体構造に基づいて生体分子が関連する生命現象を解明する研究をしています。研究対象となるタンパク質は、ヒトの生体内で活発に働いており、あらゆる生命現象を制御しているため、この生命現象を解明することで、病気の治療などにつながることが期待されています。
 

ヨコ知り!1問1答

素晴らしい研究成果をあげた郡さんも数年前は受験生。受験生時代のことを1問1答でお聞きしました。

1.YCUをいつ知った?
当初は関西圏の大学をリサーチしていたので、
YCUを知ったのはセンター試験後です。
 
2.なぜYCUを選んだ?
理化学研究所と連携した生命医科学コースがあり、
研究環境の整ったYCUなら最先端の研究ができると思い選びました。
 
3.試験前日の過ごし方は?
しっかり睡眠をとる

4.センター試験の結果はどうだった?
思い通りの点が取れましたが、国語だけは大失敗しました。

5.試験当日のマストアイテムは?
寒さ対策のカイロ・ひざ掛け

6.おすすめ参考書
大堀に聞け!理系生物達人への道(代々木ゼミナール)

7.1番勉強した場所・時間帯
予備校の自習室

8.試験当日の失敗談
横浜の人の多さに圧倒され、駅で迷子になりました。
 
9.受験勉強中のリラックス方法は?
友達と談笑

10.受験勉強中、よく聴いた曲は?
MONGOL800 「小さな恋の歌」
(2019/2/7)

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