受験生のためのWEBマガジンヨコ知リ!
search

【現地実習レポート】観光振興論、地域の特徴や現状の理解によって観光課題を考える!

2019年4月に観光地理学・有馬貴之准教授が着任。担当講義の観光振興論を紹介。

今回は、本年4月に着任した「観光学(観光地理学)」を専門とする有馬貴之准教授の担当講義「観光振興論」で、7月7日に実施された学外実習をレポートします!

観光の状況を的確に把握し、データを根拠に政策立案

観光振興論とは

観光は、自治体や地域にとって地元を活性化させる手段の一つであり、YCUが位置する横浜市においても重要な課題になっています。

観光振興論は、観光学の領域の中でも「観光政策」に主眼を置いた授業です。
現在、横浜を含め全国各地では、観光の力を用いて地域を活性化させる取組みが急増しています。この授業では、観光の状況を的確に捉え、データを根拠に政策を立案するなど、学生が観光について自分自身の考え方を持てるようになることを目的としています。

授業は、講義形式と演習形式をミックスさせた手法(アクティブラーニング)を採用し、教員からの一方的な講義だけではなく、学生自身が自ら調べ、ディスカッションなどを行うことにより、実践的に学ぶことを重視しています。

横浜の街をフィールドに実践学修

学外実習

学外実習は、本授業の最終レポートである「横浜の観光の未来に必要な政策や取り組みを提案する」ための準備にも位置付けられた実践学修です。7月7日の学外実習では、4月の第1回目から授業で蓄積した知見を活用し、横浜を観光客の目線から捉え、またこれからの社会で急速に進むIoTやAIなどの活用も踏まえ、学生一人一人が何をしていけばよいのかを考えてもらいました。

実習は約4時間をかけて、4つのSTEPで進行していきます。

GOAL:具体的な横浜の観光政策や取り組みに必要なアイデアの芽を出す!(ミニ観光政策の提案)

STEP 1

横浜市の観光課題を知る!

学生は、観光・MICE※1都市を目指す横浜市文化観光局MICE振興課・誘致等担当課長から「魅力と活力あふれるサステナブルな都市づくり」と題してレクチャーを受けました。横浜市が持つ課題や4か年計画に基づく戦略と政策を事前知識として入れた上で、本実習の課題をもらいます。

課題は、横浜市が進める観光・MICE政策に貢献する提案となることが条件となります。


※1 MICE
MICEとは、企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字のことであり、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称です。
(観光庁ページより引用、http://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kokusai/mice.html#igi)

STEP 2

みなとみらい地区など横浜をスマホ調査!

学生はグループに分かれ、課題に応じて外国人観光客目線で、横浜の街について、調査を行います。

外国人の目線を持つために、学生は事前にペルソナ設定※2を行い、そのぺルソナになりきり、調査に挑みました。散策エリアは、横浜の主要観光エリアを5つに分けた「元町・中華街」「山下公園」「関内」「新港埠頭」「みなとみらい」。

このエリアごとに各グループは徒歩で調査し、外国人観光客にとって良いところ(オススメポイント)、改善の余地があるところ(改善ポイント)をスマホで写真(コメント付)におさめます。


※2 ペルソナ設定
マーケティングの際に用いられる手法の一つで、商品やサービスを提供するユーザー像を詳しく設定。これにより具体的なニーズ予測や行動特性を把握することができます。

STEP 3

オススメポイントや改善ポイントをGIS(地理情報システム)で表示、考察

90分の散策で、計228枚のスポットを撮影。


スマホ散策で収集したポイントと写真は、ESRIジャパン株式会社に提供いただいたArcGIS online※3上で情報共有しました。ポイントはアップロードと同時に、ペルソナ情報(国籍、年代、性別)、位置情報、コメントなども情報として持つことができ、地図上に可視化することが可能です。
写真には設定したペルソナの情報も表示されるため、より具体的な課題が浮き彫りになるなど、GISを活用することで新たな角度からの発見がありました。
エリアごとに良いところ、改善の余地があるところを考察、共有し、最後の観光提案に向けSTEPを進めます。


※3 ArcGIS online
マップを作成、利用、管理するポータル環境を提供するクラウド GIS です。ArcGIS Online が配信するコンテンツや、業務に特化したアプリ、ArcGIS Online 上に作成した独自のマップや他のユーザーのデータに、いつでもどこでも、必要な時にアクセスして利用することができます。
(ESRIジャパンページより引用、https://www.esrij.com/products/arcgis-online/)

STEP 4

考察から分かった情報を元に、観光の未来に向けた提案

考察後、富士通エフサス株式会社の認定プロフェッショナルビジネスコーチの指導を受け、観光提案のためのワークショップを実施。グループごとに「体験スケッチシート」「アイディアピッチシート」の2つのシートを利用して横浜の観光の未来に向けた提案を考えます。


「体験スケッチシート」は情報整理のためのツールで、散策時の時間帯ごとに行動、思考、感情、出来事などをまとめ、整理します。
「アイディアピッチシート」は、提案内容を整理して発表するためのシートです。整理した情報を提案に必要な要素をもれなく記入することで、簡潔にアイディアを共有することができます。

50分ほどのワークショップで各グループが提案を作成。残りの時間で15チームによるアイディアピッチ※4を行い、提案を共有しました。ここでは、アイディアの完成度ではなく、それよりも面白いジャンルや切り口、多様な視点などを共有することが重要視されます。


学生たちは持ち時間30秒で、次々に発表。他チームの提案からこんな発想もあるんだと気づくことが、「観光振興論」の最終レポート課題である「横浜の観光の未来に必要な政策や取り組みの提案」に生かされます。


※4 アイディアピッチ
短い時間で端的に何が特徴か、何をしたいのかを次々に共有していく、思考整理方法の一つです。

学外実習後の最終レポートタイトル

7月末の最終レポート「横浜の観光の未来に必要な政策や取り組みを提案する」として学生から提出された課題タイトルを一部ご紹介します。


エココンシャスで水を感じる観光都市・横浜
初上陸のあなたも今日から"I'm NOT a stranger!"作戦
レンズ越しで大好きな人と観光する横浜市
もう迷わなイみなとみらイ
歩かずにどこまでも行けてしまうんだって!?Inみなみとみらい21
ヨコハマめぐりかた大改革ー「魔法のじゅうたん」交通システムを見直す
海底ホテルーホテルはテーマパーク
観光地・横浜から暮らしの場・横浜へ
他38タイトル

観光振興論、学外実習の協力機関

横浜市文化観光局MICE振興課
株式会社富士通エフサス
ESRIジャパン株式会社

有馬貴之(ありま たかゆき)准教授からのコメント

2019年度に着任いたしました有馬貴之です。現在、日本の多くの大学に「観光学」を学べる学部や学科が設置されています。観光学とは根源的には『「観光」とは何か』を考える学問ですが、その研究は社会学や心理学、地理学、また都市計画やまちづくりといった多様な視点から行われています。また、近年ではビッグデータ等を深く読み込み、分析するというデータサイエンスやマーケティングの視点も重要視されるようになりました。つまり、観光学は、本学が力を入れている教育や各教員の専門性と大変親和性の高い学問領域です。

観光学の『「観光」とは何か』を考える、研究する学生達の動機も実に様々です。今回の授業のように「地域振興」という動機もあり得ますが、単に「自分がより旅を楽しみたい」、「人を喜ばせたい」、「訪日外国人を増やしたい」、はたまた「なぜ人は旅行するのかを知りたい」という動機でも全く構いません。皆さんの旅や観光に対する疑問や目的を、ぜひ本学で解決してみてください。皆さんの入学を心からお待ちしています。
教員プロフィール:
有馬 貴之 准教授

所属:(学部)国際教養学部 国際教養学科
   (大学院)都市社会文化研究科 都市社会文化専攻
学位:博士(理学)
専門:観光地理学
(2019/8/16)

ACADEMICS