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マーケティング最前線におけるデータの活用事情とは

マーケティング最前線におけるデータの活用事情とは

データサイエンス学部では、実社会におけるさまざまなデータ分析の活用事例について学ぶ「データサイエンスセミナー」を開催しています。今回のセミナーは、全日空商事株式会社の武井実氏にお話しいただきました。

企業はマーケティング活動で、どうデータと向き合うのか

全日空商事株式会社はANAグループの多角化事業を担う総合商社です。同社はANAの機内で販売される人気商品を買い付けたり、ワインの選定やエンタテインメントコンテンツの提供等を行っているほか、空港のお土産店ANA FESTAや免税店ANA DUTY FREE SHOPの運営をはじめ、航空関連以外の事業も幅広く手がけており、グループでさまざまなデータを収集し、戦略に生かしています。
 講義に先立ち、登壇した武井氏からまず本日のゴールが示されました。コミットメントとして挙げられた到達点は①企業がマーケティング活動において、どうデータと向き合っているかを知る ②その中で、どういう悩みを抱えているかを知る ③何を意識して毎日を過ごせばよいか、「何かしらの気づき」を得る、という3点。「全員がゴールするまで講義は続けます」という頼もしい言葉で講義は始まりました。

不可能を可能にしてくれるのがデータの存在

数々のヒット商品を生み出すためのベースになっているのがマーケティング活動です。なかでも大切なのは4つの「P」。Product(製品の価値)、Price(価格)、Place(流通ルート)、Promotion(広告やクーポン)という4つの視点からまとめると、企業はヒットする商品を組み立てやすいと言います。

さらにCustomer Value(価値)、Cost(コスト)、Convenience(利便性)、Communication(コミュニケーション)というお客様目線からの4Cを加えるようにシフトしています。ここで活躍するのがデータです。

しかし、膨大なデータを集めても、どう分析したらよいのか、どう活用したらよいのか分からず、多くの企業にとって大きな悩みとなっています。
「ここでひとつの方程式を解いてもらいます」という同氏の言葉。示されたのは「X×Y×(Z+2)=100」という数式で、「Zの値を求めよ」というものです。制限時間の30秒後「こんな問題は解けません。僕も大学で教わりませんでした」との解答。そのままでは答えの出せない問題も、例えばX×Y=10と仮定すると、Zの値は8であることが導かれます。X×Yの解が10なのか、20なのかは、仮説と検証を繰り返さなければわかりません。企業では毎日こうした難問に直面し、正解を導き出すために、仮説を立てて答えを探し続けているのだそうです。
 マーケティングの基本となるのが、この「仮説立案」。仮説と検証を繰り返すために必要なのがデータで、分析して生かせる人材を企業は必要としているのです。

単にデータをため込んでも意味がなく、どう活用するかがそのポイントです。経験やカンを補完したり、売上や企業の価値を上げることにも役立ちます。これまで不可能だったことを可能にしてくれるのがデータなのです。

データをどう捉えるのか、切り口や視点を変えると見えてくるモノ

後半は演習として、同社が実際に使っている「ナマ」のデータから、どんなことが読み取れるのかを話し合いました。まず、顧客の併売状況を可視化した表からどの商品を購入した人が同時に何を買っているかを読み取ります。ここで学生が、「ビール」を購入した人が必ずしも「つまみ」を買ってはいないものの、「つまみ」を買った人は「ビール」を同時に購入する傾向が高いと発言。まさに大正解だと同氏も驚かれました。企業はこうしたデータから「ビール」と「つまみ」を近くに陳列するなど、売り場づくりを考えていきます。

同氏は学生に期待することとして、情報感度を上げて、「なぜ?」 と数回考えてみることなどが大切だと話しました。未来は想像から創造することで切り拓かれるのだそうです。

学生の心をしっかりと惹きつける講義で教室内の空気はひとつになり、全員が初めに示されたゴールを迎えることができました。受講した学生からは「企業がどんなデータをどう活用しているのか、具体的に分かって興味深かった」などの声が聞かれました。 
講師プロフィール:
全日空商事株式会社
武井 実(たけい・みのる)氏

43歳、入社21年目。1998年入社、旅行営業部 配属。2000年Eコーマース事業[ANAマイルがたまるサイト A-style立ち上げ]。2002年広告メディア事業[立ち上げ]。2007年経営企画室[中期経営計画立案に参画]。2010年ケンブリッジ語学留学。帰国後、広告メディア部。2015年ロイヤリティイノベーション事業。2016年ANA出向[ANA−X株式会社 設立準備室]。2017年デジタルマーケティングカンパニー 事業推進部。2018年ANA FESTA株式会社および全日空商事デューティーフリー株式会社 兼務出向。

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