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未来社会のカギとなる「AI」と「人間」の協働

社会におけるデータ活用の実際を知る、第1回「データサイエンスセミナー」を開催!

2018年4月、首都圏で初めて誕生したデータサイエンス学部で、実社会でのさまざまなデータ分析の活用事例について学ぶ「データサイエンスセミナー」を開催。第1回は、株式会社三菱総合研究所の村上文洋氏にお話いただきました。テーマは「データ活用で変わる社会」。電子行政、オープンデータ、ユニバーサルデザインを専門とする村上氏が携わるプロジェクトの事例から、国内外の企業のAIを活用した取り組みまで、さまざまな具体例を交えながら「行政サービス」をメインにその現状と将来について語っていただきました。



人気漫画を例に、オープンデータの可能性を解説

導入では、インターネットなどを通じて誰でも自由に入手し、利用できるデータの総称である「オープンデータ」について解説。漫画『ブラックジャックによろしく』の作者である佐藤秀峰氏が自身の作品をオープンライセンス化(商用・非商用の区別なく、事前の承諾を得ることなく無償で二次利用を許可すること)したことによる社会的な影響について言及し、「コンテンツそのものに魅力があれば、オープンデータは爆発的に拡散していくものです」という見解を示しました。

東日本大震災後、電力会社が電力需給情報をオープンデータにしたことで、スマートフォンや「Yahoo! JAPAN」のトップ画面で電力使用率がわかるなど、新たなサービスが次々に登場したことにもふれ、オープンデータの可能性についてもお話いただきました。

 


行政サービスは、データ活用で変わる

少子高齢化が進む日本。「合計特殊出生率が人口維持に必要な2.07を大きく下回り、人口減少に拍車がかかるなか、地方自治体の財政が逼迫し、橋梁の補修が行えないなど行政サービスを維持できない自治体も増えてきています」と、村上氏は指摘します。そこで活用したいのが、パーソナルデータ。導入のオープンデータの話に続き、「データ活用で変わる行政サービス」をテーマに、①予測・予防 ②マスから個 ③民間サービスの活用 という3つの視点から解説いただきました。

具体例としてあげられたのは、過去の犯罪記録などのビッグデータをもとに、犯罪の発生を予測し、パトロールを強化することで犯罪発生を未然に防ぐ犯罪予測サービスや、各病院のレセプト(診療報酬明細書)を電子データ化し、ジェネリック医薬品の使用促進や医療費の分析などを行う広島県呉市の取り組みなど。

「公共のデータ、行政サービス、民間サービスがそれぞれの機能を共有しあうことで、行政はコストの削減、住民は利便性や安全性の向上、企業はビジネスチャンスにつながる」ということを、図やイラストなどを用いてわかりやすく説明いただきました。



行政サービスでもAIを活用!?

働き手が減る中で、価値ある行政サービスを維持するために必要だと考えられているのが、「AI(人工知能)」と「データ活用」。例として、神奈川県川崎市、静岡県掛川市の協力を得て、2016年9月に三菱総研が実証した「AIスタッフ子育て版」について説明いただきました。

「AIスタッフ子育て版」は、休日保育の利用法や時間外保育サービスの活用法など、子育てに関する問い合わせや相談について、AIが回答するという行政サービス。「実際に利用した地域住民の評価は軒並み高く、これを機に全国の自治体と協働で、行政サービスにおいてAIを活用することについての意見交換や、AIスタッフによる総合案内サービスを実証するプロジェクトが進められています」とのこと。

行政分野におけるAI活用の今後の可能性として、「住民からの問い合わせ対応、翻訳、犯罪や火災などの災害の予測・予防、統計データをもとにした政策立案の支援、道路や上下水道といった社会インフラなど、さまざまな分野での活用が期待できます」と、村上氏。

「AIが広まるにつれ、『これまで人間がしてきたさまざまな仕事をAIに奪われるのではないか』といった『AI vs人』という発想をされる方が多いですが、それよりも、『AIをうまく活用する人 vs 使わない人』という発想で位置づけられると思います。AIと人間が『対立』するのでなくうまく『協働』していくことが、これからの時代に求められているのではないでしょうか」という、最後のメッセージが印象的でした。


データサイエンス分野で活躍するために必要な専門知識と高い職能技術を蓄え、多様なビッグデータから新たな社会的価値を創造できる人材を育成するYCUのデータサイエンス学部。

身近な題材を用い、データの利活用法や将来性についてわかりやすく示された第1回の「データサイエンスセミナー」は、たくさんの学生の興味・関心を集め、セミナー中にさまざまな質問も寄せられ、大盛況のうちに幕を閉じました。

「将来への目標がイメージできました」
 
セミナーを聴講したデータサイエンス学部1年生の浦優太さんに、本日の感想を伺いました。「今は1年次のため数学を中心とした基礎科目の授業が多いのですが、本日のセミナーを聞いて、自分たちがこれからどのようなことを目標に勉強していけばいいのか、具体的にイメージすることができました。日本はこれからますますAIが必要な時代になっていくと思います。僕たちが一生懸命勉強し、新しい日本をつくっていくのだということを、改めて実感しました。」
膨大なデータの利活用が拓く未来についてのヒントが引き出せる「データサイエンスセミナー」。今回を皮切りに、今年度は全11回の開催を予定しています。

講師プロフィール:
村上 文洋(Murakami Fumihiro)氏

株式会社三菱総合研究所 コンサルティング部門 社会ICTイノベーション本部ICT・メディア戦略グループ主席研究員、一級建築士。1960年愛知県生まれ。名古屋大学工学部建築学科卒業。専門は電子行政、オープンデータ、ユニバーサルデザイン。政府の電子行政分科会、オープンデータワーキング、規制改革推進会議などの委員を務める。
趣味は日本酒と猫。特技はマジック。
株式会社三菱総合研究所
総合シンクタンクならではの科学的・学術的なアプローチで、社会とお客様の「課題解決」・「価値創造」に貢献する企業。

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(2018/6/7) 

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