横浜臨床研究ネットワーク 第12回実務者会議開催報告

2024.10.03

報告

2024年9月12日横浜市立大学サテライトキャンパスにて、「横浜臨床研究ネットワーク第12回実務者会議」を開催しました。

実務者会議は、横浜臨床研究ネットワークの活性化及び協定病院間の連携強化、また、業界の最新動向に関する情報交換等のため開催されており、今回は第12回目の開催となりました。協定病院の治験・臨床研究担当医師や担当事務等だけでなく、横浜市医療局及び神奈川県立機構からもご出席いただき、改めて横浜臨床研究ネットワークの活性化に向けて意見交換がなされました(現地参加者:28名、オンライン参加者:6名)。

※「横浜臨床研究ネットワーク」は、2014年に横浜市立大学附属2病院及び横浜市内を中心とする13の医療機関によって設置され、有機的に連携し臨床研究や治験等を実施することで、横浜市民並びに神奈川県民のみなさまへ最先端の医療の提供、それぞれの医療機関における医療の進歩に繋げることを目指しています。
 

開催概要

【日 時】  2024年9月12日(木)15時00分~16時30分
【会 場】   横浜市立大学みなとみらいサテライトキャンパス/Zoom
【内 容】 
 
開会のご挨拶    小林共創イノベーションセンター副センター長
YCU共創イノベーションセンターの紹介    留目共創イノベーションセンター長 
横浜臨床研究NW最近の取り組み        仁田横浜臨床研究ネットワーク部門長
神奈川県立病院機構 阿南英明理事長からの応援メッセージ 
産婦人科における多施設共同研究の紹介と協力施設へのお願い    産婦人科学 水島准教授、松永助教
臨床研究の最新動向について            佐野信頼性保証室職員 
閉会のご挨拶     柳田臨床試験管理室長

当日の内容(抜粋)

YCU共創イノベーションセンターの紹介

共創イノベーションセンター長 留目 真伸

現代は組織を超えて、社会の中でヒト・モノ・カネを新結合させていく活動・取り組みが求められるオープンイノベーション2.0の時代に突入しています。そんな新時代における価値創造を求めて新設されたYCU共創イノベーションセンターのパーパスからシーズのインキュベーションプロセス、オープンイノベーションによるエコシステム形成、さらには9つの社会アジェンダ(テーマ・目標)に関する提案について紹介されました。

横浜臨床研究ネットワーク(NW)最近の取り組み

横浜臨床研究NW部門長 仁田 学 講師
2023年4月以降の活動として、NW事務局による協定病院への訪問、横浜市医師会や他の地域NWとの情報交換、治験依頼者である製薬企業との意見交換等について報告されました。成果として、ホームページにおける治験情報の検索の難しさという課題に対し、治験情報を一元化し、併せて治験実績を集計することで本NWの特徴・強みの分析、可視化したことが報告されました。これらの取り組みを通じて、YCU横浜早期膵癌診断プロジェクトや妊婦に対するHPV検診等具体的に本NWが協働し進めている事例についても紹介されました。
 

阿南英明理事長からの応援メッセージ

神奈川県立病院機構 阿南 英明 理事長
病院や研究におけるDXの重要性とともに本NWへの期待についてメッセージをいただきました。DXによる情報共有の促進や分散型治験研究といった新たな手法の利用、そして依頼企業、研究者に加え、患者さんが主体者として参画するというPPI(Patient and Public Involvement)により、患者さんが日常生活に近い環境で研究へ参加者として携わるようになるだろうとの示唆をいただきました。本NWへは、病院における事業経営、研究遂行における資金獲得の難しさがあるなかで、DXを活用しながら日本の臨床研究の在り方を変える基盤となることを期待しているとのコメントをいただきました。 

当院産婦人科における多施設共同研究の紹介と協力施設へのお願い

横浜市立大学附属病院 産婦人科学  松永 梨沙 助教
現在、協定病院7施設を含む10施設が参画し、横浜市立大学産婦人科学教室が進める妊婦に対するHPV検診の従来法(細胞診)に対する非劣性の検証を目的とした介入研究(HOPER Study)について紹介されました。国内の子宮頸がん検診における課題や本研究の目的、HPV検診の運用に向けたプロトコルの検証等の社会的意義について共有され、改めて協定病院での症例集積や研究への参画に関して協力の依頼がされました。 

※臨床研究(HOPER Study)について
https://www.yokohama-cu.ac.jp/res-portal/news/2024/20240911miyagi.html

臨床研究の最新動向について

次世代臨床研究センター信頼性保証室 佐野 千尋
本年6月に臨床研究法の一部改正が公布され、特定臨床研究等の対象範囲が見直される点、さらに研究目的で研究対象者に著しい負担を与える検査等を伴う研究が臨床研究法の適用となる点について紹介されました。また本年4月に施行された「次世代医療基盤法」の改正のポイントとして、1.「仮名加工医療情報」の創設(利活用も含む)、2.NDB等の公的データベースと匿名加工医療情報の連結、3.医療情報の利活用推進に関する施策への協力が挙げられる点について紹介されました。 

参加者からのメッセージ

横浜市医療局 高橋 正海 医療政策部長
全国的に地域NWにおける成功事例が多くはない中、本NWも設立から10年が経ち試行錯誤の中、成果として情報の集約化、実績の可視化とともに、具体な研究において連携がされていると感じた、とのお話しをいただきました。
また、これまで試行錯誤してきた10年の経験をもとに、今後はNWを活用して成果を創出していく10年となるよう期待しているとコメントをいただきました。
 

当日の様子

 講演の様子
オンライン参加者からの質問
現地参加者による記念撮影 
会終了後の意見交換会の様子