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内分泌・糖尿病内科

糖尿病 -診断と治療法について-

糖尿病の疾患情報

糖尿病は血糖(血管内のブドウ糖)の濃度が上昇することで発症します。血糖は膵臓から分泌されるインスリンというホルモンにより一定になるように制御されています。インスリンは血糖を筋肉や肝臓に移行させることにより血糖の過度な上昇を抑え、各臓器にエネルギーを供給する働きを有していますが、インスリンの分泌が低下することにより血糖が上昇し糖尿病が発症します。インスリンの分泌低下以外では肥満に認める内臓脂肪の蓄積も重要です。内臓脂肪からはインスリンの効果を低下させるサイトカインなどが分泌され、インスリンが効きにくい状態になります。これをインスリン抵抗性と言います。このインスリン分泌低下とインスリン抵抗性が糖尿病発症の主要な原因となります。

初期の糖尿病では症状が出ないことが多いですが、高血糖が続くことで年単位で血管の合併症が出現します。特に神経周囲の血管、目の網膜、腎臓などの合併症を来たし、心臓の血管障害では狭心症、心筋梗塞、脳の血管に障害を起こした際には脳梗塞の原因となります。

また急激に発症する急性発症1型糖尿病や劇症1型糖尿病では口渇、多飲、体重減少などの症状が特徴的であり、意識障害を来たし生命に関わることもあります。

糖尿病の診断について

糖尿病の診断には、血糖値(空腹時血糖、随時血糖)、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)などを用います。また糖尿病に特徴的な症状も診断に重要です。また糖尿病が疑われる際に75g経口ブドウ糖負荷試験を行うこともあります。また補助的な診断として、GA(グリコアルブミン)や1,5-AGなどを測定することもあります。

糖尿病の検査について

糖尿病の診断は主に血液検査で行います。インスリン分泌能、インスリン抵抗性の検査以外にも糖尿病には多くの合併症があるため、以下の様な検査を行います。

インスリン分泌能、インスリン抵抗性の評価

  • インスリン分泌能
    血液検査、75gOGTT
  • インスリン抵抗性
    CTによる内臓脂肪測定、骨密度検査での脂肪、筋肉量測定

糖尿病合併症検査

  • 糖尿病神経障害
    神経伝導速度、自律神経障害の検査(CV-RR)
  • 糖尿病網膜症
    眼科の受診を勧めています
  • 糖尿病腎症
    尿検査で尿中のアルブミン、尿たんぱくの検査を行います
  • 悪性腫瘍
    CTを撮影し、悪性腫瘍の有無を調べます
  • 骨粗鬆症
    骨密度検査
  • 動脈硬化
    脈波伝搬速度

 必要に応じて脳MRI、頸動脈超音波検査などを追加します。

糖尿病の治療法について

食事療法・運動療法

食事療法に関しては、管理栄養士による栄養指導を受講していただくことが可能です。運動療法に関しては糖尿病教室にて運動療法の指導を行います。

経口血糖降下薬

経口血糖降下薬はインスリンの分泌を促進する薬剤とインスリンの分泌を促進せずに血糖を降下させる薬剤に分けられます。インスリン分泌能やインスリン抵抗性の評価をした後に、病態にあわせた薬剤を選択します。

インスリン

インスリン分泌が低下している1型糖尿病ではインスリンの治療を行います。インスリン分泌が保たれている2型糖尿病でも糖毒性の解除目的にインスリンを用いることがあります。その後にインスリン療法を中止し経口血糖降下の治療に変更することも可能です。

GLP-1受容体アゴニスト(GLP-1RA)

GLP-1受容体アゴニストはインスリン分泌を増強する以外に食欲を抑制し体重の減少効果も有しています。また、心疾患や腎疾患への有益な効果が報告されている薬剤です。

AHCL、SAP、isCGM

インスリン分泌能が低下している1型糖尿病の患者さんにインスリンポンプ療法(AHCL、SAP)を積極的に導入しています。インスリンポンプ療法では持続グルコースモニタリング(CGM:Continuous Glucose Monitoring)を行いながら、血糖値に合わせてインスリンがポンプから注入されます。
またインスリン治療をしている1型糖尿病、2型糖尿病患者さんではFreeStyleリブレⓇを用いた血糖モニタリングの導入も行っています。

肥満手術

当院の消化器病センター(外科)、精神科、栄養部と協力し肥満手術を行っています。