vol.3 選挙制度のあり方を、経済学の手法で分析しています 国際総合科学群 公共経済学 教授 和田 淳一郎(わだ・じゅんいちろう) vol.3 選挙制度のあり方を、経済学の手法で分析しています 国際総合科学群 公共経済学 教授 和田 淳一郎(わだ・じゅんいちろう)

実社会でも判断の規範となる、経済学の考え方

経済学の分析手法を用いれば、幅広いテーマを研究できる

 私のゼミでは、2年生は学生が協力しあって課題に対する統一答案を作るスタイルで、マクロ経済学、ミクロ経済学、数量分析などを学びます。3年生は各自が興味のあるテーマに関する英語の専門書を読み解いて報告し、4年生で卒業論文に取り組みます。
 卒論のテーマは様々で、公共事業や年金問題を扱っている人もいれば、フリーペーパーや著作権ビジネス、ディズニーランドをテーマにしている学生もいます。分析手法として経済学を採用していれば、幅広いフィールドを対象とした研究を行うことが可能です。
 かつての私の卒論は、当時はコンピュータを使った政治と経済を関連付けた実証分析がほとんどなかったため、国内外の大学の先生方に引用していただきました。私も学生の論文の良いものは積極的に引用していきたいと考えています。
 その他に、自主参加という形で、様々なグループワークも行っています。学生は「公共選択学生の集い」といったインゼミ(インターゼミナール)で、他の大学のゼミの学生と討論などを行なっています。
 また、昨年は横浜市の選挙管理委員会の委託を受け、若者の投票率を上げるために、有権者アンケートを活用して投票行動などを分析しました。学生からは「大学の入口辺りに期日前投票所を作ればいい」というアイデアも出ました。大学の立地にもよるのでしょうが、人が集まる場所に投票所を設けるのは効果的な手法ですね。

自由主義経済を生きる素養となる経済学の学問

 ある時、友人に「ゼミ合宿の幹事ができないような学生は卒業させるな」と言われたことがあります。さすがに横浜市大の学生は大丈夫ですが、ゼミの幹事に必要な、段取りを考えた準備、クレームやお金の処理ぐらいは、一般教養でしょうね。
 その意味でも、経済学は自由主義経済の中で生きていくうえでの基本的な素養となります。会社員であろうと公務員であろうと、各分野の細かいことはその職場で勉強しなければなりません。でも、とっさに決断を迫られた時や、重要な意思決定が必要な時にこそ、経済学的な考えた方は判断の規範として役に立ちます。
 私は生まれも育ちも、横浜市西区にある下町です。教員としても横浜市立大学で働き、この街に愛着を持っています。特に自然が残っているキャンパスの周辺は、鎌倉や横須賀にも近く、地元の人間から見ても好立地です。
 横浜はかつて鄙びた漁村だったのが今や人口は約370万人になるなど、たくさんの人が集まってきた都市です。だから、地元のしがらみのようなものが少ないですね。東京と比べても自由に暮らしやすい街なので、地方からの学生や親御さんも安心していただけると思います。

【My Favorite】
 中学からブラスバンド部に所属していて、今でもたまに仲間と演奏を楽しんでいます。学生時代にジャズピアニストの山下洋輔さんと共演して、その時のフルートソロがFM放送で流されたのは、偶然ながらも自慢の一つです。
 大学2年の時リコーダー同好会を復興し、妻との出会いも同好会がきっかけです。人の身長よりも大きなコントラバスリコーダーを先日購入しましたが、吹いているのはもっぱら彼女。私はまだしばらく仕事を続けたいので、本格的に楽しめるのは少し先になりそうですね。