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診療科・部門案内

耳鼻いんこう科

頭頸部癌

頭頸部癌の疾患情報

頭頸部は顔面から鎖骨までの範囲のうち、脳、脊椎、眼球を除く、首、口、鼻、のど、唾液腺、甲状腺などの部位を指します。呼吸や食事など生命維持に必須の機能や、発声・構音、味覚などの社会生活を送る上で欠かせない機能に関わる部位です。これらの領域にできる癌を総称し頭頸部癌と呼びます(下図)。

甲状腺癌を除く頭頸部癌は年間約3万3千人が罹患し、悪性腫瘍全体の3%です。65%を占める5大癌(胃癌、大腸癌、肺癌、子宮癌、乳癌)に比べて発症頻度が少なく、男女比は男性が77.5%、女性が22.5%と男性に多くみられます。

頭頸部癌の代表的な発生部位は、口腔(29.2%)、下咽頭(20.9%)、喉頭(17.7%)、中咽頭(17.0%)です。

頭頚部がんが出来る部位の図頭頚部がんが出来る部位の図

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会HPより

頭頸部癌の検査

視診・触診、頭頸部内視鏡検査、血液・尿検査、心電図検査、頸部CT検査、頸部MRI検査、頸部超音波検査、PET-CT検査、上部消化管内視鏡検査など。

頭頸部癌の治療法

手術

最も根治性が期待できる治療方法です。病変の大きさにより切除範囲が決まるため、病期が進行して切除範囲が大きくなる場合は手術により失われた機能を補うために形成外科と共同で再建手術を行います。

早期癌に対しては内視鏡下腫瘍切除術を行っています。また中咽頭癌、下咽頭癌、声門上型喉頭癌に対してはda Vinci ロボット支援下の腫瘍切除術を行っています。

放射線治療

早期癌に対して臓器機能温存と根治の両立が期待できる治療方法となります。一部の進行癌に対し、臓器機能温存の希望が強い場合は薬物療法(抗癌剤)と放射線治療を同時に行う化学放射線治療も行っています。放射線治療機器は有害事象の軽減が期待できる強度変調放射線治療(IMRT:Intensity-Modulated Radiation Therapy)を優先的に使用しています。

また根治手術後の病理学的検査で再発リスクが高いと判断された場合、術後放射線治療または術後化学放射線治療を行います。術後化学放射線療法を行う場合、1泊2日の短期入院を繰り返しながらシスプラチンを毎週投与する方法を用い、従来の半分程度の入院期間で治療を行うことが可能になりました。

薬物療法

一部の進行癌に対し、臓器機能温存の希望が強い場合は導入化学療法を行っています。再発・転移症例に対しては免疫チェックポイント阻害剤の投与も行っています。また一定の条件を満たす患者さんに対しては当院がんゲノム診断科と協力しがん遺伝子パネル検査を行い、標準治療以外で効果の期待できる薬物の投与を行っています。

頭頸部アルミノックス治療(光免疫療法)

切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌に対し頭頸部アルミノックス治療を行っています。治療適応には条件があるため、当院がん看護部または当科セカンドオピニオン外来へお問い合わせください。