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社会の第一線で活躍する卒業生をご紹介!

活躍する卒業生紹介企画の第3弾となる今回は、YCUで物質科学を専攻し、現在、株式会社パイロットコーポレーション・湘南開発センターで企画・開発業務に携わる浅原さんを取材しました。1年目からプロジェクトリーダーに抜擢されるなど信頼厚い活躍をみせる浅原さんに、仕事についてのお話や、研究活動に明け暮れていたという学生時代のエピソードを伺いました!

これから先も、「書く」という文化を支え続けられるよう挑戦し続けたい

株式会社パイロットコーポレーション
湘南開発センター

浅原あさはら 正紘 まさひろ さん

・国際総合科学部 理学系 物質科学コース 2016年 卒業 (※現 理学部 理学科)
・生命ナノシステム科学研究科 物質システム科学専攻 2018年 修了

現在の主な業務内容ついて、教えてください。

私が取り組んでいる業務の概要は主に
・教育や社会に潜在するニーズを汲み取り、新しい筆記具を企画・開発する業務
・お客様からのご意見等を受け、既製品の改良や改善を目指す業務
の2つ。私は筆記具の中でもシャープ芯などの固形芯に関する商材を主に取り扱っていますが、企画~開発~小スケール生産を経て、工場スケール生産の見通しをつけるまで一貫して携わります。
まず、各店舗に伺う営業担当がお客様や販売店様からの声を集めたり、ネットやSNSなどの書き込みから意見を拾いあげたり、社会情勢などの背景も考慮しながら潜在的なニーズを探っていき、企画の方向性を検討します。
開発のフェーズでは、たとえば素材の構成成分の比率を変えてどう変わるかなど、さまざまな角度からPDCAサイクルを回して小スケールでテストを行います。方向性が定まってきたら大スケールでの開発を行い、生産担当に引き継ぎます。

業務において、意識していることや心がけていることはありますか?

多くの方に日常的に使用していただく商品を扱っており、私が携わったモノが“そのままのカタチ”でお客様の手に渡る、といっても過言ではないと思っています。そのため、この商品が販売店に陳列された時、お客様の手に渡った時に、お客様がどう思うのか・どう感じるのか、ということを常に意識しながら業務に取り組んでいます。私自身も幼い頃から筆記具が好きで長年使ってきましたので、ユーザーとしての気持ちはよくわかります。開発側の立場となりましたが、お客様目線第一を心がけています。

固形芯を電子顕微鏡で観察

固形芯の濃度や筆感を確認

固形芯のCT観察

働き始めて戸惑ったことや苦労したことなどがあれば教えてください。

幅広い業務に一貫して携われるやりがいを感じている一方で、業務のスピード感には戸惑いました。学生時代の研究活動では、時間をかけるほど正確なデータに近づくことができたためデータ取りに明け暮れていました。 そういう性格上、すべて気の済むまで時間をかけてやりたい気持ちが強かったのですが、筆記具は開発や改良のサイクルが早く、限られた時間の中で自分の100%の力を出せるような時間や力の使い方のバランスを掴むのはなかなか大変でした。現在は少しずつですが、自分が納得できるようなバランスで仕事を進められているなと感じていて、学生の頃よりはかなり成長していると思います(笑)。

やりがいを感じるのはどんな時ですか?

現状ではまだそこまで達していませんが、自分が開発した商品が世に出て、使ってもらって、喜んでもらえる、ということが一番うれしい瞬間ではないかと思います。ありがたいことに現在ひとつのプロジェクトのリーダーを任されていますので、今はその瞬間に向かって頑張っているところです。
他にも、改善策を自分なりに考えてみて上司に伝え、「それでやってみよう」と評価してもらえた時にも喜びを感じます。私の所属する部署はフラットな組織ですので、誰でも意見を出しやすい環境で、若手の声を積極的に聞こうという意識が皆に備わっています。「当たって砕けろ!」ではないですが、私は挑戦したいという思いが強いタイプなので、いろいろな挑戦をさせてもらえるのは非常にありがたく、やりがいを感じる日々ですね。

将来のビジョンや今後考えていることなどはありますか?

新型コロナウイルス感染症の影響もあって、一人一台タブレット端末をもつなどのICT教育への推進が加速していくのではないかと思っています。ただ、ICT教育の推進によって「筆記具」をなくしたくないという強い想いがあり、「書く文化」を未来に残せるようなものを生み出したいと思っています。

入社の経緯について、教えてください。

就職活動について考え始めた時、篠崎一英研究室で学んでいた「化学」で「誰もが幸せになれるものって何だろう?」と考えました。その時にパッと閃いたものがボールペンのインクで、考えていくほど昔から筆記具にお世話になっていて、幼少期に好きな筆記具で絵を描いたことや、苦しかった受験勉強の思い出がよみがえってきました。「人生のどれくらいの時間を書くことに費やしてきたのだろう?」と考えた時に、「誰もが子供のころから扱い続ける商品に携われるのは幸せだ! 筆記具の会社に入りたい」と改めて思いました。筆記具の会社をいくつか受けましたが、“書く、を支える”という力強いキャッチコピーが、自分の将来のビジョンと一緒で素晴らしいなと思い、パイロットコーポレーションを強く志望しました。私が入社した年はちょうど100周年で、会社がこれほど長い間ずっと「書く」を支えてきたのだということを実感するとともに、この会社に貢献したいと思いました。

自粛前の休日は同期とドライブやBBQに行くことも

自粛期間はパズルに夢中。今は2000ピースに挑戦中!

学生時代で印象に残っている出来事はありますか?

やはり研究活動ですね。修士論文の追い込みがとても苦しくて、、、。研究活動は好きで、さまざまな実験をしていたのでデータはたくさんありましたが、ストーリーとしてうまく繋がらず「絶対何か見落としているものがある」と思いました。寝る間も惜しんで模索しましたが、なかなか導き出せずかなり焦る日々でした。そんな時に支えてくれたのは篠崎先生や研究室の同期など、研究室メンバーでした。具体的な研究の話ではなくても、少し話しをするだけでも救われましたね。彼らがいなければ途中で投げ出していたと思います。結果的にストーリーが繋がり、修士論文発表会では発表賞をいただけました。打ち上げでは少し酔っていたこともあり、号泣しながら同期に感謝の気持ちを伝えました(笑)。この瞬間がとても印象に残っていて、しっかりと感謝の気持ちを伝えることができてよかったと思っています。

大学院在学中に海外リトリート(台湾)でオーラル発表をしたときの様子

同じく海外リトリート(台湾)。まさに英語への苦手意識を克服した瞬間です

YCUでの経験で、現在に生きていると感じることはありますか?

あんなに苦労した研究活動ほど苦しいことはそうそうないだろう、とポジティブに思えるようになりました。また、その時の経験から、自分で自分自身をマネジメントすることの大切さも知りました。ある程度の無理はするけど、し過ぎない。これが大事です。
もうひとつは人間関係でしょうか。当時の理科館ではさまざまな研究室が集まっていて、専門分野問わず立場も年齢も上の方々と話す機会が多くありました。他分野の研究をしている方々の話を聞き、それを自分の研究にフィードバックすることもありました。小さな施設だからこそ、誰が何をやっているのかをより近くで知ることができ、より吸収しやすい。現在の職場でも上の年代の方々と話すことに変に気構えることなく、異なる商材の企画・開発に携わっている方々と積極的に交流し、自分から必要な情報を取りに行くことができています。

YCUの良いところはどんなところだと思いますか?

多くの価値観に触れられるところだと思います。多くの人に関わり、多くの価値観や背景に触れ、より密に交流することができる環境があるのはYCUの一番の魅力だと感じます。1年次では学部の垣根を越えて、他学部の学生と教養ゼミの講義で横浜へフィールドワークに行きました。医学科や看護学科の学生もいて、さまざまな価値観や背景をもつ人に接することができて純粋に楽しかったですね。今は状況的に難しくなっている面もあると思いますが、小さなキャンパスだから気軽に関わることができ、授業の後も一緒にご飯を食べたり、一緒に遊びに行ったり、交流を広げやすい環境だと感じていました。

高校生や受験生に向けて、メッセージをお願い致します!

学部の垣根を越えた友人や、苦楽を共にした研究室の仲間たちとのつながりが今の私の価値観や多くの可能性を引き出し、筆記具の企画・開発という「やりたい!」と思える仕事に就くことができました。
横浜という海と山に囲まれた都市にある大学だからこそ経験できることや、教職員と学生の距離が近いからこそ専門を深く追求できる環境で、みなさんの中にある沢山の可能性の芽を育て、YCUから社会へ羽ばたいてほしいと思います。

「ヨコ知リ!」アンケート(締め切りました)

ご回答いただいた方の中から抽選でYCUオリジナルグッズをプレゼント! 当選者の発表はグッズの発送をもって代えさせていただきます。
※グッズの指定はできません。

(2020/10/13)

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