歯肉癌などの口腔癌に対しては、外科的切除を中心に行い、早期症例では、短期の入院機関で良好な結果を得ています。進行例では形成外科などと共同で切除及び再建術を行い、機能を可能な限り温存できるようにしています。また顎の骨を切る手術においてはデジタルテクノロジーを活用し、術後の整容、顔貌の変化をなるべく少なくできるような手術をするようにしています。
横浜市立大学附属病院と連携しており、超進行癌に対しては患者・家族の意向やQOLを尊重し、放射線・化学療法を併用した治療が実施できる施設への紹介を行っています。
口腔癌がんのできている部位や病期、組織の特徴などを総合的に診断して、治療方針を決めますが、一般的には手術療法、放射線療法、抗がん剤による化学療法の3つの方法を、単独あるいは組み合わせて治療します。
治癒率は、がんの発生した部位や病期により異なりますが、口腔がん全体の5年生存率は60~70%です。初期のものではほとんどの症例は治癒しますので、できるだけ早期に受診することが大切です。
他のがんと同様に原因は不明ですが、喫煙、飲酒、う蝕(むし歯)や合っていない義歯などが慢性的に粘膜を刺激することなどの関与が疑われる症例も少なくありません。また、前がん病変(正常粘膜と比べてがんになる可能性が高い病変)である白板症(はくばんしょう)から生じることもあります。