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「いのちの授業@川崎市立有馬小学校わくわくプラザ」レポート

「いのちの授業」低学年向けアレンジ版

■日時:2018年9月5日(水)、15:00~16:00
■場所:川崎市立有馬小学校わくわくプラザ
■主催団体:横浜市立大学医学部看護学科 いのちの授業グループ
■活動した学生/9名
■授業の規模:小学生約60名(1・2年生約40名、3・4年生約20名)
 

だんだんと重くなっていく胎児の成長から、自分の成長も感じてもらう

  

 本学の学生向け助成金事業である「学生が取り組む地域貢献活動支援事業」で8年連続採択され、子どもたちに向けていのちの大切さを伝える授業を行っている医学部看護学科「いのちの授業グループ」。今年度は、川崎市の放課後活動である有馬小学校わくわくプラザからの依頼をうけ、初めて小学校低学年を中心とした訪問授業を行いました。今回はあくまで放課後活動内のプログラムであるということ、授業時間も1時間であるということで、通常5~6年生向けに行っている小学校での授業内容を大幅に見直し、新たなプログラムとして組み立てての試みでした。



 川崎市の「わくわくプラザ」は市内すべての公立小学校に併設され、放課後・土曜・長期休業日など、利用を希望する小学1年生から小学6年生までが、遊びを通じて仲間づくりを図る拠点となっています。有馬小学校のわくわくプラザでは「有馬こども文化センター(児童館)」と連携して毎年“いのちの大切さを伝える取り組み”をしているそうです。
 1年目の一昨年は、本・ニュースなどを読み聞かせて目と耳で伝え、昨年は日野原重明先生の「いのちの授業」を引き継いでいる団体の方に来ていただき歌と詩・絵本で伝えたそうです。そして3年目となる今年は、もう少し踏み込んで具体的に伝えたかったとのことで、HPで本学の「いのちの授業」を見つけ、連絡いただいたとのことでした。当日の様子をレポートします。
 
 前半の座学では、導入としてグループが用意した“受精卵カード”を子どもたち全員にプレゼント。このカードにはお母さんの絵が描かれており、ちょうどその子宮のあたりに、小さな針孔を開けてあります。この針孔を教室の照明にすかして見ると、本当に小さな光が入ってきますが、それが、子宮に宿った胎児の最初の大きさであることを、自分の目で確かめてもらいました。子どもたちからはびっくりしたような歓声が上がり、このカードを大切にポケットにしまっている子どももいました。
 その後子どもたち6名にお願いして、受精後お母さんの子宮の中で徐々に成長していく胎児の重さや身長の変化、感覚の発達など成長の過程を説明しながら、月齢ごとの子宮袋に入った胎児のぬいぐるみを抱っこすることで感じてもらいました。
 子どもたちからはその大きさの変化に驚きの声が上がります。最初の1ヶ月の時は片手の親指と人差し指で持てるくらいの大きさだった胎児が、見る見る大きくなって、出産直前にはずっしりと腕に体重を感じられる大きさに成長した姿を目の前にした子どもたち。講師の学生から、私たち自身も周囲のさまざまな人の支援を受けながら成長し、現在の私たちがあるということを伝えると、皆顔を見合わせてうなずき合っていました。
 

赤ちゃんの気持ちに寄り添った体験から、周囲の人にも感謝の気持ちを

 前半の座学で、自分の成長には周囲の人の支援があったことを理解した後は、後半の体験の時間です。3グループに分かれて、「おむつ交換体験」「抱っこふれあい体験」「バイタルサイン測定(心音聴取)」を順番に回ってもらいました。
 


 おむつ交換体験では、赤ちゃんは股関節が柔らかく脱臼しやすいという身体的特徴があるため、足の裏と裏を合せて持ち上げる、首が座っていないので首を支えて抱っこする、などを伝え、実際におむつ交換をやってもらいました。初めての経験という子どもがほとんどなので、皆ものすごく緊張し真剣な顔つきで取り組んでいました。おむつのテープを留めるとき、指3本分入れてきつくならないようにしてあげる、などもきちんとできて、「赤ちゃんが気持ちの良いようにお世話してあげたい」という、子どもたちの優しい気持ちが見て取れました。子どもたちはこういった体験を通して、まだ言葉を話せない赤ちゃんの気持ちを汲みながらケアすることで、自分の身のまわりにいる他の人に対しても、思いやりを持って接することの大切さに気づいていくのでしょう。
 3つの体験が終わったあとは全員座ってもらい、いのちの大切さや、自分と同じように今隣に座っているお友だちもそれぞれが大切で唯一無二の存在であることを伝え、それを受け止め、お互いに尊重し合うことが大切であることを伝えました。
 短い時間でしたが子どもたちの笑顔からは、初めての経験を楽しんでくれた様子がわかりました。そしてこの日の体験は、いつか本当の赤ちゃんと触れ合う時にきっと役立ってくれるだろうこと、そして参加した子どもたち同士がお互いに思いやりの気持ちを持ち、いのちの大切さを理解してくれたであろうことが、下記のような子どもたちの素直な声からもわかり、学生たちも手ごたえを感じたようです。
 
 

【子どもたちの感想】

「赤ちゃんは股関節が柔らかいので気を付けないといけないと言われたので、気にかけた。指を3本入るようにしてテープを留めた」
「心臓がドクドクと言っていておもしろかった。お友だちと聞き合った。皆速さが違った」
「赤ちゃんのことをたくさん知った。心臓は赤ちゃんのほうが速いと思った。あとおむつ交換の時は、股関節が柔らかいので気を付けないと、と思った」
「友だちより赤ちゃんのほうが心臓が速かった」
「今まで赤ちゃんを抱っこしたことはなかったけれど、お父さんになるにはこういう経験が必要だと思った」
「大変だったけれど、すごく赤ちゃんと遊べたしいろいろなことができて楽しかった」
「赤ちゃんが泣くときはおむつなのかな?ミルクなのかな?自分はまだよくわからない」
「意外と難しい。おむつの留め方やおしりふきは『どれくらいの力でやればいい?』って思ってしまう」
 
 

【学生の感想】

 今回はイレギュラーな授業でしたが、子どもたちからは素直な言葉をもらい、学生にとっては何よりのプレゼントになったようです。小学校の6年間という年月の間に子どもたちは大きく成長するので、その年齢に合わせたプログラムは今後まだブラッシュアップしていく必要があると思いますが、学生自身も今回の経験を通して、自信の学びに活かしていってくれることでしょう。
 「赤ちゃんの触り方など、年齢が小さくてもとても丁寧で、指を2本入れないといけないなど、良くわかってくれていると思いました」
「こういった場での授業は初めてで、内容も簡単にしました。1・2年生だと、声がけをしてもなかなかその通りにならないのではと思い、妊婦体験はやめて抱っことおむつ交換を入れたのですが、喜んでもらえて良かったです」
「いつもは5年生が中心ですが、1年生のほうが反応にためらいがなく、ストレートに返ってくるのでやりやすかったと思います」
 
 
 ボランティア支援室 コーディネーター 柳本記

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